2話
私は幼女と森の中を歩きながら考える。
私の指には少し金色がかった金属で出来た、指輪が付いていた。
今までこのような指輪をつけていた記憶は無い。
この森で目を覚ました時に初めて気づいたものだ。
少し、興味本位で抜いてみようとしたが、結構ガッチリと指に巻きついており、私の力では取れそうに無かった。
まあ指輪のことは今はどこかに置いておくとする。
私と幼女は歩き続け、話すうちにいつの間にか仲良くなってしまった。
「ねえ、おねーさんの名前は何?」
「私?私は・・・・・・」
少し、間をおいて私は名前を言った。
「タナカ。」
「へえ、タナカか。珍しい名前だね。」
幼女はその目を宝石のようにして話を聞いてくれた。
「なるほど、本当におねーさんは気づいたらこの森で寝てたのね。」
「そう、何か知ってることってある?」
「知らない、私まだ子供だし。」
そうか、子供にこの話は厳しかったかも、と少し反省する。
そして、しばらく話しながら歩いていると周囲が明るくなってきた。
どうやら森を抜けたようだ。
森の先には一面の草原。
久々に感じる直射日光が私にはまぶしく感じた。
そして、その草原の中に、小さな集落が見えた。
「ほら、あれが私の村!」
小さいが、家が3、4軒そして結構広めの畑。
村らしい村だった。
と、村のほうから少年が走ってくる。
幼女と同じく、緑の髪。だけど、スポーツ少年らしい、ショートヘアーだった。
「おーい、リーサー。母さんが呼んでる・・・って、誰だこの女。」
少年は私に気づいたようだ。
どうやら彼は、幼女の兄のようだ。
「あ、おにーちゃん、この人、迷子のタナカさん。」
思ったよりもダイレクトな説明で私も驚く。
まあ、子供らしく、純粋でいいと思った。