1.森の中なう
「・・・い・・・ろ・・・」
あれから私はどれだけ寝ていたのだろうか。
1年、1ヶ月、もしかしたらたった数時間の話かも知れない。
「お・・・おき・・・・・・」
微かに聞こえる声と川のせせらぎに私は起こされた。
誰だかわからないが、小さな子供のように、透き通った高い声だった。
「おーい・・・ろー・・・」
重いまぶたをやっと開ける。
そこにいたのは、小さな小さな幼女だった。
それが上から私を見下ろしていた。
「やっと起きた、なんでこんなところで寝てるの?」
幼女は少し怒った様子で聞いてきた。
しかし、寝ぼけた私にはいまいち伝わらない。
「ふ?りゃれ?」
かなり見っとも無いような声を出してしまった。
「え?なによ、もう一回言って?」
当然幼女には何を言ったのか分からなかった様子。
私は起き上がってもう一度言う。
「えっと、あなたは誰、って。」
「私?私はリーサー。」
幼女を起き上がってよく見ると、身長は大体5歳くらいだろうか。
緑色の髪は肩まであり、前はパッツンだ。
そして、白と青を基調としたヨーロピアンな服を着ていた。
「ねえ、おねーさんはなんでこんな所で寝てたの?」
幼女の素朴な質問に私は頭を悩ます。
正直私もなんでこんな森の中で寝ているのかが分からない。
「それが分かりません。私、気づいたらここに居て・・・・・・」
「へえー、そうなのか。じゃあおねーさんは迷子だね。」
迷子といわれ、少し腹が立ってしまったが、よく考えれば確かに私はどこから見ても迷子だった。
「私、村までの道、知ってるから来る?」
突然の助け舟に私は驚く。
「え、いいのですか?」
「いいよ、前にママから人助けは大事だって言われたから。」
目の前の幼女が天使に一瞬見えた。
私は幼女に感謝をする。
「ありがとうございます、えっと、リーサーちゃん。」
「いいよいいよ。さ、行こ!」
嬉しそうな幼女は森を歩き出す。
私はそれの後ろについて行った。