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『ピシッ』
何かが割れるような音を聞いたと思った俺の目に強烈な光が辺り瞳が焦げるような痛みに襲われる。
だが其だけだ、腹にも両手足にも内側にも痛みと言うような感覚は感じられない。
焦がされるような光に馴れた目が写すのは超希少な金属である魔力順応性質98.6534%のアダマンタイトのブロックで作られ最上位クラスの結界魔法で守られた広大なドーム。
体長45mにも及ぶ俺を入れても殆ど変わらない施設の此処は凄まじく覚えがあった。
俺が直接手掛けたシェルターだからな。
目線を写すと首から下全てを被う石が写ってくる。
道理で痛みが無いわけだな、石化した部位はそもそも感覚を感じないのだから。
「ついに、ついに王が復活なされた・・・!」
「おお、神よ・・・!」
「どうか、我らを助けてください・・・!」
「なにとぞ我々に救いを・・・!」
小さく悲痛だが希望を感じているような悲願の成就に喜ぶような声、それに視線を移すと数百人の知的生命体が平伏して魔力を一点に集めている。
その集められら魔力を変換していたらしい四人の男女は涙に歪んだ顔で歓喜を漏らしていた。
「皆よ表を上げるのだ! 神が復活なされたぞ!!」
中心の四人、その一人が平伏す数百人へ呼ぶと一斉に全員が顔を上げた。
そして漂うのは希望に染まりきった空気、明らかに何かあったのは分かるが何だと言うんだ?
未だに首から下は損傷が酷くて修復されない俺に何を抱いている?
『おい、何事か説明せんか!』
「は、はいぃ! どうか落ち着いてください! 即座に説明いたしますので・・・!」
全員が俺の方に頭を向けて頭を垂れる。
別に凄んだ気は無いんだけどな・・・
そんなに恐れられちゃ話が進まないぞ・・・
「どうか、どうか魔族の暴走をお止めください!!」
『なに? 魔族の暴走だと?』
まさか俺が消えて魔族が勢いづき反乱でも起こしたのか・・・!?
「はい! 邪龍様の仇討ちと教会関係者も構わず攻撃しているのです!」
『やはりか! 俺の仇討ちでそこまで・・・仇討ちだと?』
どうなっている?
ちょっと待てよ!?
仇討ちって何だ?
俺が死んでも魔族になにか起きたとゆう事か・・・?
『よく分からんが其をするには万全で有りたいな、エリクサーを10000本持ってこい。 復活初の命令を成就するのは誰だ?』
「「「「はっ!!」」」」
その言葉と同時に平伏していた四人が何処かに消える。
いや、転移魔法だろうけどな。
しかし俺が不在の間に優秀なのが増えたんじゃないか?
魔方陣の並列構築で位置指定と魔法効果を同時に行いコンマ一秒未満で構築終了させている。
「そ、その、邪龍様!」
『ん? なんだ?』
俺が感心していたら魔力を送っていた集団から立ち上がった少女が俺を呼び掛ける。
周りで突然の行動に冷や汗を流す連中を無視し少女はよく分からんが左肩を右腕で殴り口を開いた。
「邪龍様への復活をお祝いする筈なのですが状況が状況なのです、ご承知ください!」
少女とは思えん口ぶりに少し感心した俺は頭を垂れ汗で床を濡らす連中を一瞥した。
『お前たちも少女を見習って立ったらどうだ? それとも俺に何時までも首を傾けていろとゆう意思表示か?』
そう言った俺の言葉に15人の男女がホッとしたような顔で立ち上がる。
「仰せのままに? って言えば良いのかな龍神?」
『構わないさカルマ、それよりも君が生きていたことに心から喜びを示すよ・・・』
「あれ? 私達は無視なの?」
『そんな事はないさ。 ヒルネ、梓、頬炉義、シュカ、モール、タージン、バルハ、フォーカス、スージュ、ガーム、ラクザルマ、淳吾、サプリル、トール。 それで? 神威は何処に居るんだい?』
「・・・神威は死んだよ、君に会えないのを酷く悔いていたよ最後までね」
『いま、なんて言った?』
俺は、目を丸くしてカルマに震えた声で聞いた。