8、衝撃
ユウタ医師がこの城に滞在し、十日が経ちました。
ユウタ医師はこの城で働く医師に教えるべく市井に降り、人体じっけ•••実地研修をしているとの事。
そのお陰で治療後の屍と化した人々と、嬉々として治療に参加する医師達の姿が王都名物となったそうです。
恐怖でしかありません•••
良く晴れた日の昼下がり、王家のプライベート庭園でティータイムを楽しんでいました。
「今日の紅茶はバラの匂いがするのね。
とても気分が落ち着くわ。」
バラの匂いが燻る紅茶に気分もリラックスしていましたが、突然の衝撃で一気に心臓が跳ね上がりました。
バンッ!と部屋のガラス戸が開く音と同時に
「リアンカちゃん!お父様が•••!始祖呪いになっているのですって!!」
青褪めた顔で王妃らしからぬ行動と共に飛び込んできた言葉に
ガシャーン...!
持っていたコップを落としてしまいました。
ー・ー・ー・ー・ー
お母様と共に風魔法を駆使し、全力疾走でお父様の執務室まで行きました。
勢いよく執務室へ入室した瞬間、お母様と二人蒼白い顔色に早変わりしてしまいました。
「•••王妃様にリアンカ姫様、国王をご心配なさっての事とは思いますが
護衛を振り切ってまで走るのは如何なものでしょうかね?」
執務室に入ってすぐに目に入った人物から飛んできた声がこれでした。
声の主は、カメル宰相。
私にとってお爺様に当たる、お母様の実家カメル伯爵家の前当主ギルベルト・カメルです。
お爺様は普段は優しいのですが、躾や常識には厳しく国王だろうが王妃だろうが
理路整然と理詰めでお説教をしてきます。
次の宰相候補である伯父のナイジェ様もギルベルトお爺様と同じ性格で•••
二人揃うと無敵とさえ言われています。
そんなお説教をお母様と二人久々に受けてしまいました••
「お爺様!王女らしからぬ行動をした事は反省致します!
ですが•••お父様の事を教えて下さい!!」
怒ると厳しいお爺様と分かっていたのですが、お爺様の言葉を遮り声を発してしまい•••
その後、そんな自分を恨むほどのお説教を追加で受けてしまいました。
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