4、安心
ゆらゆらと、体が揺れる感覚と安心する匂いに意識が浮上しました。
うっらと目を開けると、カイトが大切に抱えてくれていて思わず口元が綻んでしまいました。
「あっ、姫様気がつかれたのですね。では、降りますか?」
その言葉に今度は少し唇を尖らせ
「まだ、ショックが抜けきれていません。もう少しお願いしたいです。」
「はぁ〜、姫様は仕方のない人ですねー。
いつからこんなに甘えん坊になったのやら。」
わざとらしく溜め息を吐きつつも、優しげな眼差しで見つめるカイトに
「いつまでも、甘えていたい年ごろなのです。」
そう答えて目を閉じた。
カイトは私の幼馴染みでもあり、護衛騎士でもあります。
年は20歳で、フォスター侯爵家の次男。
武人の家とあって何代も騎士団長を輩出してきた家柄です。
いずれはカイトも騎士団で役職付きになるでしょう。
護衛の名目で幼い頃より一緒に遊んだり勉強をしたりとして来ました。
それなのに、徐々に距離を取られ始めたのは何時頃からでしょう。
昔のように一緒に過ごしたいのに•••
この気持ちは兄を慕う気持ちなのか、恋愛からくる気持ちなのかはまだ分かりません。
いえ、分かってはいけないのです。
彼は王女の護衛•••、私が嫁ぐ日が来るまでは•••
王女と言う身分でいるうちは、この日常を大切にしようと思いました。
閲覧いただき、ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。
こちらの整理がついたので連投させて頂きます。