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れきけんへ入部!!

 キィ〜……とまた重い扉を開けると、すでに先輩達は用意を済ませていた。

『高良くん!れきけんへ、ようこそ〜!』

 パァン!パァン!と、まばらにクラッカーを鳴らす。

 歴史的遺物研究部、略して《れきけん》か……

「これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね!こうくん!」

「は、はい?」

 燃華(もえか)先輩はあだ名をつけるのが好きなようだ。

「数少ない男子同士、仲良くしましょうねっ!」

「あなたは本当に男子生徒ですか……?」

「え?」

 あ、やっちまった……先輩キョトンとしちゃってるよ……。

「す、すみません!なんでもないです……」

「よろしくね、松村くん」

 羽鳥(はとり)先輩は手を差し伸べてきた。

「はい、こちらこそ」

 なんだか、商談相手の女社長と握手してる気分。

「そういえば、この部活はなんで3年生がいないんですか?」

「この部活は、私と燃華が中1の時立ち上げた部活なの。だから先輩は誰もいないのよ。まぁ、最初は拷問部なんて名前だったから仕方ないんだけどね」

「そうだったんだ……」

 名前が九割だと思うけどな……。

 結構長い期間活動しているんだな。

「そういえば、新入生に配られた部活動リストには、拷問部で載ってたっぽいですよ?」

「あ、確かにそうでした」

 名前……書き換えられてなかったな。

「だから新入生来ないのか!くっそ〜!はっちゃん!今すぐ書き換えてもらいに行こ!ね!」

「い、いや、新入生2人来たしもう十分でしょ……あんまり人数増やしたくないのよ……」

 羽鳥先輩はちょっと押され気味に言った。

 ……2人?

「僕の他に、あと1人いるんですか!?」

「あぁ、言ってなかったっけ?まぁ、もうすぐ来るから待ちましょ」

「あ、はい……」

 とりあえず同級生がいて助かった……。

 いや待てよ?その人は拷問部に入部しようとした人?

 それって……。

「失礼しま〜す……」

 入ってきたのは、またもや可愛い見た目をした女子生徒。

 猫目、少しボサボサな髪。

 今度は女子の制服だから間違いない。

「初めまして、1年B組の猫間 三毛(ねこま みけ)です!よろしくお願いします!」

「よし、じゃあもう一度自己紹介しよっか!」


 その後、同じ自己紹介が繰り返された。

「よし、やるべきことは終わったね!」

「緊張しましたね〜」

 水守(みもり)さんとは今日初めてあったけれど、これが嘘だというのはなぜか分かった。

「でも、まだまだこれからよ?初めての後輩、きちんと教育していきましょう?」

『おー』

 2人が声を合わせて言った。

 こんなのんびりした会話で忘れそうになるけれど、あの3人は大富豪である。

 信じ難いな……まぁ、権力者も、普通の人と変わらないってことだよな。

「早速で悪いが、皆んなに伝えなきゃいけないことがあるの」

「え?なになに〜?」

「1番早く来る学校行事である、《体育祭》が迫っているわ」

『おぉ……』

 先輩達は神妙な面持ちになった

 ……っていうか迫っているっていっても体育祭は9月だし……。

 今はまだ4月だから余裕があるんじゃ……。

「体育祭で、何かするんですか?」

 僕ら1年生はキョトンとしている。

「この学校の体育祭では、全部活動対抗リレーがあるの……そして、そこで1位をとった部活はどんなことでも一つだけ自由に叶う権利をもらえるの。この特権は、私たちにはとっても重要よ」

「それじゃあ、今までずっと死守してきたって事ですか?」

「……」

「……」

「……」

「なんで全員黙り込む」

 もしや……。

「今年こそ一位をとるのよ!」

 今まで全部逃してきたな、この人達。

「でも、先輩が中一の頃から四年くらい取れてないわけですけど、どうするんですか?」

「今年は何がなんでも一位を取るの……どんな手を使ってでもよ……」

 目が怖い。

 マジな目だ。

 絶対企んでるって。

「具体的には何を……」

「それを、これから話し合うんですよ。まぁ、今までみたいに体力づくりじゃ、もう通用しないかもですけど」

 もう通用しないっていうか、通用したことがないんじゃないか。

 そう言いたかったが抑えた。

 この数分でだいぶ成長したもんだ。

「ではこれから、歴史的遺物研究部緊急会議を始めます」

 羽鳥先輩はなぜか改まった言い方で言った。

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