れきけん!!
僕は、とんでもない人に出会ってしまったのかもしれない……。
「明日から授業が始まるが、初っ端から遅刻などしないように〜」
「あ〜い」
全員やる気のない返事をする。
今日は高校の入学式だった。僕の晴々しい高校生活が幕を開けたわけだ。
正確には、始業式かな。
この学校、叢雲学園は中高大一貫校である。
僕は高校からこの学校に転入することになった。
「まぁ、まずは部活だよな……」
僕は中学の始めの頃はバスケ部に入っていたが、あまり馴染めず退部した。
その後はずっと帰宅部だ。
「できれば文化系部がいいな…」
そう言って僕は部活動の表を眺める。
「吹奏楽部……は、僕音楽苦手だし、手芸部……は、僕不器用だし、拷問部は……拷問部!?」
待て、おおよそ学校ではあってはならない部活が!
「気になる?1年生くん」
「え?」
「歴史的遺物研究部、来てみない?」
目の前には、可愛い系の女子がいた。
言い方からして先輩だろう。
でも今、歴史的遺物研究部って言った?
僕が言っていたのは拷問部だけど……。
まぁこんな先輩が拷問部なんて名前の部活に属してるなんて思えないし、歴史的遺物研究部のことなんだろう。大丈夫大丈夫。
……それに、こんな可愛い先輩に言われたら、男なら行くしかないだろ!
「はい……行ってみます!」
「よろしい!」
先輩に連れられて、僕は校内の別棟に来ていた。
部活棟というわけでもないその建物の前には平仮名で《れきけん》と書いてあった。
……もしかしてこれ全部が歴史的遺物研究部の所有物……?
「まさかな……」
「1人でブツブツ言って、どうしたの?」
「あ、いや、なんでもないです」
危ない……最近独り言が多い気がするな……
「そっか」
「あ、あの!」
当たり前のようにその建物に入っていこうとする先輩をつい引き止めて聞く。
「ん?どうしたの?」
「ここって全部……その歴史的……研究部?が所有してるんですか……?」
「うん!ここと、あと1個持ってるよ〜」
あと1個!?マジかよ……。
れきけん半端ねぇ……
「いざ!歴史の彼方へ!」
そう言って先輩は重そうな扉を開けた。
普通豪邸にあるだろ、こんなもん。
「おぉ?新入生やっと男の子きましたか!」
扉の向こうには、一見女子っぽい顔立ちをした人が立っていた。
よりも気になるもの。
奥の方にずらっと……というか今僕の横にもズラァ〜っと広がっている様々な道具の数々……。
多分これ……拷問道具だよな……。
「おーい!名前をお聞きしてもよろしいでしょうか〜!」
なぜかその人は近ずいてこないで、遠くから大声で呼びかけてきた。
「松村!高良っていいま〜す!」
「こうたくん〜?」
「こうらです〜!」
こっち来いや。
「ささ、行こ行こ!」
近ずけば、分かった。
顔がわかるのに何で服装がわからなかったんだって話だが、その人は男子生徒の制服だった。
この顔で男かよ。
世の中が信じられなくなりそうだよ。
「あら、新入生?」
今度は大人びたキレイ系の美人がきた。
「よし、全員は揃ってないけど、自己紹介しちゃおっか!来てない人は追い追いということで……」
「まず、私は加藤 燃華って言います!」
そう言って名刺を差し出してきた。
高校生で名刺かよ……って、ん?
燃……華か、燃なんだ。萌じゃないんだ。
「一応2年生で副部長だよ!」
「あれ、2年生なんですか?てっきり3年生かと……」
「この部活は、3年生がいないんだ」
「え、なんでですか?」
「それは後で話すよ〜、さ!次々!」
次は、さっきの女子っぽい男子生徒だった。
「僕は、水守 悠斗って言います!よろしくね!」
声はそこそこ高いけど、男子だな……。
「あとは私ね」
キレイ系の人が口を開いた。
声も見た目にあって大人びている。
「私はエリザベート羽鳥。この部の部長をやってるわ」
エリザベート羽鳥?
「なんだか芸名みたい……あっ!」
思わず口に出してしまった!
とても失礼なことを……。
「失礼ね。ハーフなのよ、私」
そりゃそうだ。逆に日本名だったらびっくりだ。
「そう!はっちゃんハーフなの!だから日本的にしたら羽鳥エリザベートかな?」
「あぁ、そういうことですか」
「それに!羽鳥さんと加藤さんはあの大企業《羽鳥グループ》と、その姉妹会社であり、多くの人気芸能人を輩出している《加藤プロダクション》のご息女なんですよ!」
2人して胸を張っている。
マジかよ……羽鳥グループっつったら、あの大手スポーツ会社のヒノや、大手食品メーカーの江戸とかが入っているところじゃんか……。しかも加藤プロダクションってあの人気俳優古峰 信康とかがいるところだよな……。
「そんなこと言ってるけど、水守だって……」
「まさか……水守さんまで……?」
「水守くんはあの三つ星のレストラン《紫雲》のご子息だもんね〜」
紫雲も聞いたことあるぞ……めっちゃ高いのに、一度食べると忘れられず、何度も何度も食べにきてしまう料理店……。
そりゃ、こんな大富豪が3人よれば、でけぇ棟の一つや二つ買えるよな……。
「そういえば、この部活の内容伝えてなかったわね」
「あぁ!忘れてた!」
忘れんな。
「ここは部長!お願いしまーす!」
絶対めんどくさいと思ったなこの人。
「この部活は、別に拷問を実践する部活じゃないの。拷問の歴史などを自分たちの学習内容と照らし合わせて、関連性を持たせて学んでいく。それがこの拷問部改め、拷問研究会よ!」
よっ!と言って後の2人が横で紙吹雪を投げていた。
歴史的遺物研究部どこ行った。
「拷問について学ぶか……」
「まぁ、当初はこれを目的としていたけれど、今となっては他のものにも興味が湧いちゃって、生活の中にある歴史などを研究する《歴史的遺物研究部》ってなってるけどね」
うん……思ったより普通の人達だな……。
「どお?この部活入ってみない?」
「この部活に……入ってみます」
『やったぁ!!』
何だかすごい喜んでくれた……。
「じゃあ早速入部届け出して、明日から部活に来てね!」
「はい!」
石垣に囲まれ、黒い瓦が厳かな雰囲気を醸し出す大きな御屋敷
「父上、母上、ただ今帰りました」
「おかえりなさい」
見るからに高そうな着物をきた綺麗な女性
その奥に見える部屋には、強面のおじいさん……まぁ男性がどかっと座っていた。
「おぉ、おかえり高良」