07. 帰り道
ロープウェイの広場にたどり着いたのが16:00。
山行にしては少し遅い。まあ無事にたどり着けてよかった。
とはいえ、俺の脚はもうガクガクである。
「そういちろう、なんかがくがくしてない?」
バレている次女は健全そのものだ
素直に答える。
「……膝が、割ともうアレで……」
「老けるって嫌だね。おとーさん、私がロープウェイの列とっとくから、そのベンチで休んでなさい」
そう言って率先して次女が列に並んでくれるの。いままでこんなことあった? なかったよ。
次女、ちょっとは成長してくれたかな。がくがくなのほんとだから嬉しい。
10分ほど休んで次女が並んでくれていた列に合流する。
「すまんかった、ありがとうな」
「そういちろうも歳だからね、わかるよ」
わかるな。
「お土産場見てくるね」
なにも変わってないやんけ。
次女は、木曽駒ケ岳饅頭を買ってきた。クラスで配るんだってベタ過ぎない?
お前、いま夏休みの真っ最中だけどその饅頭は保つのか?
ロープウェイを下って17:00。駒ヶ根駅まで下って18:30。
電車に乗って、ぐったりした次女を抱く。あれだけテンション上げてたんだから、
もう気力も尽きているだろう。1回乗り継ぎはあるが、それはあと2時間半後のことだ。
今はこの子を抱いて、今日この子のが考えたことに思いを馳せていよう。
連れてきてやってよかった。次女よ、お前の素直な心根はよく分かった。
そのまま育ってほしい。山ガールでも森ガールでもいい。今日の体験を忘れないでいてくれ。
次女を抱いたまま、いつのまにか俺も眠っていた。