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紅い月  作者: ソムク
28/31

神北剣①

 ランキング戦。

 2年生と3年生で実戦形式の模擬戦をして1位になったチームの願い事を学院長が叶えてくれるという催し。実戦の慣れ、仲間との絆、強敵に立ち向かう知恵etc. 色々と成長に繋がる為少しでも真剣に取り組んで欲しいとう学院側の願いから、先ほどのような大判振る舞いな商品が用意されている。

 だが実際は3年生が優勝する事がほとんどで、2年生の中ではそんなに盛り上がってない感じだ。

 学院の歴史の中で2年生が優勝したのは過去2回、その内の1回は今の生徒会長が2年生の時、つまり昨年、会長のチームが取っているらしい。その事を月夜が聞いた時、じゃあ尚更今年の2年生は望み薄なのではと思った。

「という感じなんだけど、私達はどうしようか」

「まずはクラス代表になる所からですね。まあ1位を目指すのであればですが」

「……私は別に出なくても」

「ただでさえ3人しかいないもんね」

 割とやる気の出ない3人。叶えたい願いと聞いても特に思い浮かばない。

 実戦形式で学べるのは良い点であるが、負けたらそこで仕方ないなというスタンスで行こうと思う。3年生とか強そうだし。

「一応夜夜ちゃんにも確認しないとだよね」

「居ないやつの事は別にいいのでは? 月導とか特に」

「司はそうだろうけど」

 月夜が念のためスマホで夜夜に連絡をすると、すぐに返信がくる。

『弱気はよくないな。優勝しようよ。私痩せたいな』

 返信の画面を2人に見せる。

 痩せたい。そんな理由で? と一同は目を見合わせた。だが夜夜らしいと言えばらしいのか。

『それに私そろそろまた戻るからさ。クラス代表は余裕っしょ! だから全身全霊全力で。美少女子高生を信じてよ』

「こいつ、そんなに痩せたいならもっと他の方法があるのでは?」

「それは言ったら駄目だよ。それにまた戻ってくるって事は良い知らせだよね」

「良い知らせなんですかね? またあいつの相手をすると思うと、想像疲れしてきます」

「……なにそれ」

『そういえば護衛対象の子と一緒に帰るから仲良くしてあげてね』

 護衛対象とは? と一瞬思ったが、言われてみればそういう任務なのだと聞いたような気がする。

 そんな事までするのか、と感心した月夜だったが、話を聞いた限り護衛というか主に道案内と暇つぶし役みたいなもののようだ。どうやら先方が学院に居る知り合いに会いたいが、立場が立場だけにふらっと寄るみたいな軽いテンションでは来られないらしい。

 そんなに相手方の事を他人に話していいのだろうかと思いながら、一応あまり記憶に留まらないように流し聞きしていたので忘れていた。いったいどんな人が来るのだろうか。

「護衛? そういえば言ってましたね」

 月夜のスマホの画面を見ながら、夜夜の言葉に顔をしかめる雷太。

「学院に知り合いが居るらしいけど誰なんだろうね」

「何処かの国のお偉いさんですよね? 学院長とかじゃないですかね」

「そうだよね」

 ランキング戦、夜夜と護衛対象の相手、狂夜の事など考える事がいっぱいで悩みの種が尽きない月夜。

「月夜さん? どうしました」

 余程思い詰めた顔をしていたのか、雷太が心配そうにしている。

「いや、ちょっと考える事が多くてね」

「そうですね。とりあえず目の前に来る問題から解決していくしかないですね」

「そうなると、まずはランキング戦のクラス代表かな」

「そうなりますね。クラスの雰囲気は俺達でいいんじゃないかって感じでしたが、先生がしっかり模擬戦して決めるって言ってましたし、そこからですかね」

 月夜達としてはクラスで推薦されるのは嫌なのだが、雰囲気はそういう空気だった。

 不本意とはいえ、端から見ればよくやっているように見えるのだろう。

 クラスによっては推薦でチームを選ぶ所もあるらしい。たしかりんか達がそんな感じの事を言っていた。しかし月夜達のクラスは先生の考え方で、皆にしっかり競いあってほしいとの事でクラス総当たりで決める。

 先生のその考え方は理解出来るし、月夜達としても実力で判断されるのは良いと思う。

「とりあえずは3人で戦わないといけないだろうから、何か作戦を考えないとね」

「正直クラス内なので、しっかり対策を立てれば3人でも乗り越えられそうですけどね」

「厳しくはあるだろうけど。多勢に無勢なんて言葉もあるから」

「ただ俺達と戦うチームは無駄に恐縮してきそうで、別の意味でやりにくくはなりそうですね」

「ほんと、私達が特別ではないのにね。まあやるからにはお互いきっちりやりたいね」

「まあほどほどにですね」

「そういえば、私は特にないんだけどさ、雷太君達はもし勝ったら何か叶えたい願いはあるの?」

 月夜に問われ雷太は考えるような仕草をする。

「うーん。強いて言うなら、強くなりたい。とかですかね」

 恥ずかしそうに俯く雷太。

「……私は雷太と一緒に居たい」

「それならわざわざ願わずとも叶えてやるよ」

「……じゃあ、特にない」

「強くなりたいか。そういう願いでも大丈夫なの?」

「あの学院長の魔法ですし、出来そうですけど」

「それなら困ってる人を助けたいとかでも叶うのかな?」

「あ、いや、流石に全ての人ってなると厳しいんじゃないですか」

「そっか。じゃあもし私達が勝った時の願いは、痩せたいか強くなりたいに決定だね」

「俺のは強いて言えばくらいなので、無理に願わなくても大丈夫ですよ」

「なら、痩せたいに決定ってことで」

「なんていうか、こんな下らない願い掲げてるのは俺達くらいでしょうね」

「アハハ。まあそれなりに頑張ろうか」

「モチベーションは上がらないですが」

 苦笑いを浮かべる月夜と雷太。

「そうだ。確認なんだけど、雪野ちゃんはどのくらい戦えるのかな?」

 月夜の言葉に雷太が暗い顔で考え込む。

 遠征での出来事は記憶に新しい。雪野に魔法を使わす怖さは拭いきれない。

「雪野なら――」

「……大丈夫。私も頑張りたい」

 雪野なりに償いの意識があるのか、雷太の言葉を遮り自分の意志を口にする。

「……ううん。頑張れるから、一緒にやりたい」

 手にグッと力を入れながら、ポツポツと言葉を続ける雪野。

「雪野ちゃん。無理はしなくてもいいんだよ」

「……大丈夫だよ。それに、何かあっても雷太が守ってくれるんでしょ」

 約束の押しつけではない。信頼の眼差しで雷太を見る雪野。

「おう! 任せとけ」

 にかっと笑い、親指をグッと立てる雷太。

「ありがとう雪野ちゃん。とっても心強いよ」

「……ん」

 月夜としてはほぼ2人で戦う事も覚悟していただけに、雪野が頑張ってくれるのは有り難い。

「よし、じゃあ改めて作戦会議しようか」

 そのまま3人で色々と話し合う。

 必勝なんてテンションではないが、夜夜の願いもあるし、雪野の言葉もある。

 そこそこのモチベーションを持ちながら、月夜達のランキング戦は始まった。


☽☽☽


 月夜としては予想外な事に、クラス代表を決める戦いは連勝出来ていた。

 そしてタイミングが良い事に、夜夜がもう少しで戻ってくる。

 この調子でいくとクラス代表は月夜達で決まりになってしまうだろう。

 放課後の演習場で練習をしながら、月夜達は夜夜が姿を見せるのを待っていた。

「あいつ、いつ頃来るんですかね」

「もうすぐじゃないかな。ここで待っててって連絡が来ただけだけど」

 突然、戻るから待っていてと連絡があったのが昨日の事。

 夜夜のする事だ。気長に待つつもりの月夜だったが、存外早く件の人物は姿を見せた。

「やっほー、お久し! 美少女子高生帰還! 元気だったかい? 3人とも」

 目が隠れる程長い前髪でハイテンション。相変わらず同一人物とは思えないギャップぶり。

「あ、うん。元気だったよ」

「ニャハハ。その返事は元気な人の返事じゃないよ。私の明るさに目を眩ませているのかな」

「お前、相変わらず賑やかだな」

 戻って来てくれたのは嬉しいが、やはり本人を目の前にすると、少しテンションに押され気味の月夜と雷太。

「そういえば、誰かの護衛中じゃなかったの?」

 このままでは話が進みそうになかったので、月夜は話題を切り替える。

「そうだそうだ。おーい! 入っておいで」

 月夜の言葉にハッとなり、後ろを振り向き声をかける夜夜。

 月夜達も夜夜の後方に目を向けると、2人の人影がこちらに歩いてきていた。

「紹介するよ。こちらかの有名な西の巫女姫、月詠(つくよみ) ルナ=エトピリカ姫とボディガードの(つるぎ)君です」

「ご紹介に預かりました。月詠 ルナ=エトピリカです。よろしくお願い致します」

「エトピリカ様の護衛、神北(かみきた) (つるぎ)と申します」

 夜夜に紹介された2人は丁寧にお辞儀をする。

 気品ある祭服に身を包む、綺麗な金髪の少女ときっちりとスーツを着こなした黒髪の少年。

 2人とも年齢的には月夜達より少し下くらいだろうか。あどけなさが残る面持ちだが、何処か大人な印象を抱くのは、その丁寧な物腰が原因か。

「あ、紅 月夜です」

 少し気圧されていた月夜だったが、慌てて自己紹介をする。

 月夜に続き、雷太と雪野も軽く挨拶をする。

「はい! これで挨拶も済んだし皆仲良しだね」

「いや、そんな早くは無理だろ」

「おいおい、それは気の持ちようだぜ、ライチさんよ。君から歩み寄る意志があるのかい?」

「思い出したようにその渾名使うな」

 早速雷太と夜夜は賑やかに言い合いを始める。

 月夜は何か懐かしい光景に笑顔を浮かべながら、改めて2人の来訪者を見つめる。

 凜とした高貴な雰囲気が漂う少女と、実直で誠実そうな少年。

 月夜の視線に気付いた少年が会釈をして、柔らかい微笑みで話しかけてくる。

「ところで、皆様これでお揃いですか? し、月導さんは来られないのでしょうか?」

「神北君だっけ。司の事知ってるの?」

 突然司の名前が出て、少し驚く月夜。

「どうぞ、お気軽に剣とお呼び下さい。道中、夜夜さんに月導さんの話を聞いたものですから、少し気になりまして」

「なるほどね。でもごめんね。たぶん司は来ないよ」

「そうですか」

 少し気になっていただけにしては、ショックが大きいように見える剣。

「大丈夫ですよ、剣。時間はあります。気長に待ちましょう」

「ありがとうございます、エトピリカ様」

「そうだよ、ツルギー。ツッキーの行動なんて予測出来ないんだし、待ってたらいつの間にかだよ」

 雷太とのじゃれ合いは終わったのか、夜夜が急に会話に入って来る。

「それじゃ、姫ご一行はどうする? とりあえず今日は帰る? せっかくだし学院を案内しようか」

 いつもの調子で話している夜夜。月夜はその言葉になんとなく引っかかりを覚える。

 いや、少し前から何か流してはいけない事を流してしまっていたような気がする。

 月夜は少し冷静になり、今までの会話を思い出す。

「あれ? 姫!? 巫女姫って言った!?」

「え? どのタイミングに対するツッコミ?」

 ハッと気付き、大きな声を出した月夜に対して、ツッコむ夜夜。

「あ、いや、ごめん。一瞬冷静さを失ったよ」

「まあ生きてればそういうこともあるさ。ドンマイだよ、月夜ちゃん」

「でもやっぱり聞き間違いじゃなかったんですね。俺もつい流してしまってました」

「2人とも客人の前で良くないぞ。ここに御座すは間違いなくかの有名な巫女姫様ご本人だよ」

「そう思うならもっと丁寧に紹介しろよ」

「だって私そういう身分的なの興味ないし、さっきも言ったでしょ、気の持ちようだよ。人類皆友達ってテンションだから」

「お前と常人を一緒にするな。俺は典型的な一般人だ」

「一般人でもそう悲観することはないぜ。少年よ大志を抱け」

「悲観じゃねえ、皮肉だよ」

「まあまあ、ツルギーや姫達もそんな恭しく接して欲しい訳じゃないし、せっかくのお忍びだよ偶には立場なんて忘れたいじゃん」

「お前が言うな、お前が」

「大丈夫ですよ。夜夜さんの仰る通りですので」

 雷太と夜夜のやりとりをクスクスと笑いながら見ていた姫が優しく声をかける。

「あ、ありがとうございます」

 思わず背筋を伸ばす雷太。

 そんな雷太の態度も無理はないのかもしれない。巫女姫という名はそれほど有名だった。

 西にある大国の姫で、なんと神の声を聞く事が出来る巫女なのだとか。

 その力で国を成長させ、数々の困難を予測して事前に防いだきたという。

 それだけでも十分有名だったのだが、3年前のある事件でさらにその名は広まった。

 その事件とは、簡単に言えば龍殺しである。

 現代に龍なんて生物が確認される事も珍しいが、それを従者の騎士が1人で討ち取ったという話だ。その騎士は龍殺し(ドラゴンスレイヤー)という二つ名までついたらしい。

 姫の力も凄い、従者も凄い。龍という話題性。その一件の噂は瞬く間に世界中に広がった。

「あれ? という事はもしかして」

 姫の噂を思い出していた月夜がふと何かに気付き剣に目を向ける。

「お? 月夜ちゃん気付いた? やっと気付いちゃった? そうです! 何を隠そう、このツルギーこそ、姫を守り1人で龍を狩った騎士。龍殺し(ドラゴンスレイヤー)その人です」

「いえ、僕は何も大した事はしてないです。全部師匠のおかげなので」

 夜夜の派手な紹介に、照れた表情を浮かべながら謙遜する剣。

「そんな事はないと思うけどな。でもあなたがそこまで言うなんて、その師匠ってのはよっぽど凄い人なんだね」

「そうなんです! 師匠は本当に凄い人で尊敬出来る恩人なんですよ」

 月夜の言葉に、年相応な少年のように無邪気に答える剣。

「師匠が居なければ、僕もエトピリカ様もとっくにこの世界にはいません。あ、でも連絡をあまりくれないのは良くない点です」

「そうなんだ。そんなに立派な人なら会ってみたいな」

「でもその師匠ってのが凄くても、実際に龍を倒したのは君なんだろ。だとしたら大した事ない何てことはないと思うけど」

「あの時はただ必死だっただけで。とにかくルナを守りたい一心で」

「それでも、大したものだと思うけどな」

 自分とは違う者を見るように羨ましそうにしている雷太。

「なるほどね。雷太っち、間違えた、ライチ。君は勘違いをしているよ。そこのツルギーは何も特別な魔法は持ってない。出来るのはただの簡単な身体強化さ。本人の言う通り普通のいたいけな少年だよ」

「じゃあなんで、そんな功績を残せたんだ?」

「人より一歩踏み出す勇気を持っていた。タイミングとかもあるだろうけどね。たったそれだけの違いだよ」

「そうですね。あの頃の僕なんかよりも轟さんの方がよっぽど強いと思いますよ」

「そんなもんか」

「さっきたったそれだけの違いとは言ったけど、実際は土壇場で一歩踏み出せる人なんてほとんど居ないと思うからツルギーも立派な事に違いはないよ。ツ、師匠の助けがあった事を差し引いても君の意志の強さは尊敬に値するな」

「自慢の従者ですから」

 剣を褒められ嬉しかったのかエトピリカが胸を張る。

 まだ何処か納得がいってなさそうにしている雷太を見て、夜夜が妙案を思いついたと手をポンと叩く。

「雷太っち。せっかくだしツルギーに手合わせして貰えば? 今日はもう無理だけど、来週の授業終わりとかどうせ暇でしょ?」

「そうですね。僕の方こそ胸を貸して頂きたいです」

「俺としても有り難い申し出だが」

「じゃあ決まりだね。先に行っとくけど、負けても落ち込むんじゃないぞ。強くなりたいのなら自分の現在地をしっかり把握しとかないとね。ツルギーも手加減しなくていいからね。一国の姫の護衛がたかが学生程度に舐められたらお終いだよ」

「たかが学生なんて微塵も思っていませんが、善処致します」

「こうも俺が負ける風に言われると、事実だとしてもひっくり返したくなるな」

「いいねいいね。若人達よ、励みたまえよ」

「何処目線だよ」

 夜夜の思いつきで決まった雷太と剣の手合わせ。

 あくまで剣は謙虚な態度だったが、おそらく雷太にとっては格上と経験をつめる良い機会だろう。

「雷太君頑張ってね。別に龍殺しに勝っても構わないんだよ」

「待って下さい、月夜さん。応援は有り難いですが、俺その台詞に似た死亡フラグを聞いた事あります」

「大丈夫。死にはしないから、当たって砕ける精神でいこう」

「え。なんですか、この流れ。俺来週死ぬんですか?」

「いいね、リラックスしてきたでしょ?」

 月夜の気遣いに困惑していた雷太は笑顔になる。

「なんとなくだけど雷太君思う所がありそうだったから。そんなのじゃ実力発揮出来ないよ」

「月夜さん。ありがとうございます」

「困ってる人は助けるのが当たり前だから」

 感嘆の声を漏らす雷太に、何でもない事のようにしている月夜。

「話も纏まった事だし今日は解散かな。それじゃ姫達も行こうか。あれ? 結局どうするんだっけ。学院見てく? お婆ちゃんに会っていく?」

「そうですね。お祖母様にお伝えしたい事もあるのですが、今日の所は帰りましょうか」

「そっか。送ってくよ。今からの時間帯なら私は超強いから、偶にはツルギーも落ち着けるタイミング欲しいでしょ」

「心遣い感謝致します」

 そのままエトピリカ達を連れて出て行く夜夜。

「私達も帰ろうか」

 月夜達3人も帰り支度を始める。

「それにしても、今日は驚いたね。夜夜ちゃんの護衛があんな有名人だったなんて」

「まあ、あいつはあんなのでも一応この学院の長の孫娘ですからね。あんなのでも」

「それに実際に会ってみると、巫女姫も龍殺しも若くてそっちもびっくりだった」

「それは俺も思いました」

 世界は広いのだと実感する月夜。

 龍を狩る騎士もいれば、神の声を聞けるという人もいる。さらにそんな人達が、尊敬するような人もいる。

「そういえば」

 誰に言う訳でもなく、月夜からポツリと言葉が漏れ出る。

「どうしました?」

 続く言葉を待っていた雷太が疑問符を浮かべる。

「え? 私何か言った?」

「あ、はい。そういえばって呟いてましたよ」

「嘘? 恥ずかしいな。考えていた事が出ちゃったみたい。話す程でもないから気にしないで」

 頬を紅くして誤魔化す月夜。

「分かりました」

 そういう事もあるかと納得する雷太。

 その後は普通に解散して、それぞれ帰路についた。

 寮までの短い道のりを月夜はとぼとぼと歩きながら、先ほどふと浮かんだ事を思い出す。

 そういえば、司も龍を召喚? していたな。司なら龍殺しも出来るのだろうか? 

こんな文章を読んで下さりありがとうございます。

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