能力大会 実技の授業
手が凍っていて更新できませんでした(暴論)
能力大会 実技の授業
────2週間前
初めての能力大会まで2週間を切った。
今日は一日中実技の演習をするらしい。これから1週間はチーム、次の1週間は個人の練習をするのだが...
「これ...実技...か?」
今現在、俺は剣士として剣の素振りをさせられている。
魔力の扱いが上手い(by弘毅)俺は大剣を使う魔法剣士、水川くんが剣と盾、弘毅は弓でら優斗は補助、夏稀と渡邉さんは魔法使いだ。これらの振り分けは、アビリティや魔法の精度などを元に弘毅と優斗が作った。
まずは役割に応じた個別練習なのだが、
俺は素振り、水川くん、夏稀、渡邉さんは3人で魔法と盾の練習をしている。弘毅は弓、優斗は個人スペースでアビリティの人形操作の練習だ。
俺は素振りが終わったら、夏稀と組んで大剣を盾に使う魔法の練習になる。
「な、夏稀...いいか?」
「あ、うん」
夏稀と向かい合う。まずは初級魔法書にある基本中の基本、氷矢だ。魔法書は基本的に光と闇を除く全属性のことが書かれているが、例えば氷矢だと、属性矢、と書かれており、魔力の練り方などが書いてある。それを自分の属性に適応する形だ。つまり、属性が違っても、戦い方などの大元は変わらないという事だ。
構える夏稀に向かって神力を集中させ、氷を飛ばす。誰でも、自分で作り出した物質なら簡単な操作が出来る。どれくらいの精度かは個々の魔力操作の得意不得意によるらしい。
飛んできた氷の矢を、夏稀は氷の盾で受け止める。
次は夏稀の番だ。
「氷矢雨」
夏稀の十八番の氷の矢を大剣で切り飛ばし、受け止める。この時、大剣に神力を流すのがコツだ。ちなみに、みんなは剣に魔力を通すことは出来ないらしい。魔力操作が得意なだけだと言い訳しておいた。
同じような攻撃の応酬を暫く続け、続いてアビリティの練習にうつる。
水川くんのアビリティは『氷結空間』
渡邉さんは『視点凍結』
夏稀は『氷操作』
だ。
アビリティは、魔力を使わずに使用できるのが特長だ。
他の人のアビリティも含めると...
『氷人形』
氷で作り出した像を動かすことが出来る。ある程度簡単な指示なら聞かせることが出来る。像の作成は魔力に依存する。
『灼氷の矢』
氷で矢を作ることが出来る。氷の温度は約190℃
『氷結空間』
白い霧を出してそこに触れたものを凍らせることが出来る。白い霧は自分から半径10mまで、生物を含まない空間に出すことが出来、霧はゆっくりと動かせる。
『氷操作』
自分の作り出した氷、及び魔力操作の下手な人間が生み出した氷をある程度までの質量、自由に動かせる。
アビリティにもランクがあり、レア、ゴッズ、ジェネシスの3つがあり、優斗はレア、その他はゴッズである。強さのランクとほぼ比例し、稀に進化する。
で、
「俺は...?」
そう。俺はアビリティが分かんないんだ。それでアビリティもなにもねぇよな。
と、言うわけで、
優斗先生ー!教えてくださーい!
「あ...御都は自分のアビリティを模索しておいて」
模索!?
よくわからないので、クルスの能力を使ってみたいと思います!
アビリティ専用スペースに移る。
鉄のインゴットや色んな物質を出してみる。
「くっ...」
激しい頭痛やめまいがする。これがフィードバックか。これが毎回来るとなると、たまったもんじゃないな。
10分ほどで治まってくる。頭が割れるような痛みに、立てなくなるようなめまい。正直ホイホイ使いたいもんじゃねぇな。
さて、どうしたものか。
本当にアビリティがわからないのだ。これはおかしいのだろうか。
まぁ、正直神力操作が得意だから、アビリティを使うまでもないけどな(自慢げ)
お、そうだ。
「おーい、クルえもーん」
「どうしたのだ主人」
くっ!!
渾身のボケがスルーされてしまったのは忘れよう。
「この間の続きをお願いできるか?」
「続きと言うと?」
この前の話、あとの方聞いてなかったんだよね。
「美しく澄んだ魂なんたらかんたらからかな」
「承知した。美しく澄んだ魂を持った者は、神力を受け入れても自我が崩壊しない。その状態で神界に入ると、神界に満たされた神気を吸収し、神水晶を含む魂が形成される。尤も、深海に入るためには、ゲートを開くために莫大な神力、魔力、又は神界で生まれることで手に入る鍵...魂体認証によるフリーパスが必要となり、普通の人は入ることが出来ない」
おいおいそんなものに入った記憶はないぞ。
「そこでもうひとつ手段がある。それは、天界にいるこの世界の神に会うことだ。偶々神に見られ、偶々気に入られ、偶々美しい魂を持っていれば、神獣などとは比べ物にならないくらいの濃い神力を得ることが出来るらしい。まぁ、見たことはないがな」
世界神...
この間の『神』か?
まぁ、きっとクルスの言う後者だろう。
「主人の神力は耐性のない人がうっかり吸ってしまうと神力に酔って倒れてしまうほどに濃い。そもそも神力というのは魔力のように属性という概念がない。いわばすべての属性を併せ持っている状態だ。だから神力を持つ主人は、慣れれば無属性以外のすべての属性を思うように使うことが出来るだろう。無属性というのは、神力が魔力に分かれるあいだに派生して出来た特別な属性だからな。皆は自分が持っていない属性の魔力を吸うと拒絶反応を起こして神力酔いが起きるように、皆は神力を吸うことが出来ない」
聞き捨てならない言葉が...
つまり俺は全属性持ちということか?
確かに他の属性が操れる可能性はある。試したことないし。それもそうだ。そもそも持っていると思わないからな。
この社会には、二属性持ち、と呼ばれる存在がいる。彼らは大体1つの学校に1人ほどいる。あとは、能力団体『月光』にも幾らかいる
望、それから『月光』のリーダーは三属性持ちだ。
二属性以上持つ人はその属性の学校間を一定期間毎に転々とするらしい。なにそれめんどくさい。
え、つまり俺は零(なぜここだけ漢字なのかは知らん)を除く全ての学校を移動し続けるの?なにそれ陰キャの僕にはつらいです。隠そう。説明めんどいし。
まぁ、ここには誰もいないし、いいよな。
「クリエイトクレー_フォーム_コップ_アポイント_アプローバル_アチーブメント」
これは、属性の能力を使う際に、魔力から物質を作り出し、形成する手順を省き、最初から望む形で出す高等技術だ。この間先生が豆知識的な感じで言ったやつを習得した(ドヤ)
できるのは本当に一握りの人だけらしい。魔力を周囲に悟られないように地面に魔法陣を展開し、それを保ちながらそこに条件を付与して実行させるのにえげつない集中力を要するため、常人には使えないものらしいのだ。
利点としては、形成を邪魔されることなく、確実に作れることだ。
発動語句はなんとなく頭の中に浮かぶ。
続いて
「クリエイトフレイム_スコープ_アポイント_アプローバル_アチーブメント」
火...というか炎で土を焼く。
「クリエイトウォーター_アモント_アポイント_アプローバル_アチーブメント」
「クリエイトアイスキューブ_ナンバー_アポイント_アプローバル_アチーブメント」
できたコップに、水と氷を入れる。
飲む。
うん、水だわ。魔法の水...って硬度とかどうなんだろ。あとで望にきこ。
残るのは風、光、闇か。
風...
「クリエイトウィンド_ストレンジ_アポイント_アプローバル_アチーブメント」
ビュォォォォ!と風が吹く。成功だ。
あとは光と闇だが、この2つは物質ではないため、短縮式が使えない。光は浄化とかでまだいいんだが、闇は...アンデッドを作るだとか呪うだとか...
まぁ、薬の作成...かな?
水やポーションに毒を付与して光魔法で浄化すると、上級のポーションが出来るのだ。
まず...
「クリエイトウォーター_アチーブメント」
『 光の力よ 我が神徳の意に従い 再生を────クリエイトポーション』
水に光魔法でポーションを作る。
『 闇の力よ 我が怨恨に従い 永劫の眠りを────カース』
薬に毒を付与することで、普通の毒より強力になる。
薬を飲みすぎると死ぬのと同じような原理だろうか。皮肉?
『 光の力よ 我が仁は望む 彼の者に安らかなる生を────リ·ライフ』
強力な毒を浄化すると、強力な薬となる。ちなみに、アンデッドを浄化する時は光の力よ────安らかな死を、である。安直である。
尤も、闇魔法の使い手は少ないし、アンデッドを作るのはいわゆる禁術である。それもそうだ。ホイホイ作られても困る。
まあいい、それより薬をどうしようか。
怖くて使えないし、でも効果を確認したい。仕方あるまい、アレに頼るのは癪だが授業後に相談しよう。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
水に魔力を通したらポーションっぽくなったということで説明する。自分で言っていおいてなんだが、意味分からない。
「意味が分からないのだけれど...まぁ、それなら良い患者がいるわ。異能警察の新人エリートの方なのだけれど、指名手配犯に強力な呪いを受けているの。」
「回復魔法をかけても、暫くするとまた咳込んじゃって...呪いによって生命力と体力、免疫力を奪われているようよ。このままじゃどうしようもないから、治りそうなものがあればなんでもしてくれって頼まれているの。使ってみましょう」
うわぁ、それ、失敗したら死んじゃうんじゃない?
とりあえず了承のいただいたようなので病室へと向かう。
(これは...)
そこには、皮膚に黒い模様を浮かべ、弱った様子で咳き込む男の姿があった。痛々しい。
看護婦さんが、上級ポーションを口元に運び、男に飲ませる。
と、
「あれ?呪いが...」
模様が消え、男の顔が生気を取り戻す。
気持ちわるいくらいの治りようだ。というか気持ち悪い。
「...」
「...」
「はぁ、やっぱり規格外ね」
────うん。そんな気はしてた。なんとなく治せるような気がしてた。神力のせい?
「あれ?」
少し茶色みがかっている彼の髪に、一房の金髪が混じっているような気がした。
(ま、大丈夫か)
この時、もう少しよく考えていれば、ああなることもなかったのかもしれない。