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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

狼さんと沈黙と猫

作者: 猫又二丁目

どうも猫又二丁目です。名前長いので猫又でいいですか。←自分で打つの面倒くさくなってる笑

初投稿で緊張しますが、どうぞ温かい目で見たって下さい。


猫は自由だ。

私は常にそう思う。

猫は沈黙で物を言う。

〝猫は自由だ″




なんて事を考えていたらもう昼休みが終わる。

「はぁ、、、」

空を泳ぐ雲を見てつい溜息を漏らす。

太陽でキラキラ光る金髪のショートカットに、いくつものリングピアスをつけた耳。吊り目と無愛想な瞳。

私は雪宮ゆきみや じゅん

普通…嫌、ちょっと見た目が怖い女子高生だ。

…っと、そろそろ戻らないとやばいな。弁当箱を片付けて、残りのジュースを胃に収める。


キーンコーン…


「ヤバイヤバイッ!これ本鈴じゃねーかよぉっ!!」


ドンッ!!


「ってぇ!」半ば怒り気味に言うと、目の前の女はなにも無かったかのように立ち上がってこう言った。

「貴方は謝りもしないのね。」そんな嫌な事を言われているのに、わたしの目はその女のキラキラ光る瞳だけに集中した。

そして、見下げてくるその女に何故かこう思った。

「猫だ。」


「…は?」目の前の女は私から見て左の眉毛を、ぐいっとあげ、意味がわからないと言う顔をした。


「えっ…。」声に出てたのか!?

何故か私は猛烈に恥ずかしくなった。


…にしても何か忘れてるような。ーーーあっ


「…はぁ、遅刻だ。」

めんどくせぇなぁ。サボろうか。なんて考えていると、上から声が聞こえてくる


「ねぇ、猫ってなによ。」

いかにも、気になります、みたいな目で見てくる。


「教えて欲しかったら、一緒にサボってくれねぇ?」

暇だったんだ。だからおかしな提案をしてみた。


「私は気まぐれなのよ。たまたま今教えて欲しいからついていくんじゃ無くてサボりたい感じだから貴方についていくのよ。だから…」

謎の言い訳の言葉を並べる。

なんでそこで嘘つくのかねぇ。私は頭をクシャクシャしてから、歩き出した。


「…あっちょっと待ちなさいっ!」


パタパタと足音が廊下に響く。


あぁやっぱ猫じゃん。自然に口の力が抜けた。


ギィィッ


思い金属音が鳴る。心地よい風が首筋あたりを吹き抜ける。


「そういえば自己紹介してなかったわね。私はひいらぎ 紅羽くれはよろしく。」

少し微笑んで握手を求める。

「雪宮 潤だ。よろしくな。」

そして柊の手を握る。


「そ・れ・で!猫ってなによ。」

やっと聞けるぞ。とフンスッ鼻息を漏らす。


「そう言うところだよ、ぶふっ!」

目をキラキラさせて答えを求める柊が可愛くてつい笑ってしまう。

「なにがよ!ていうか猫って私だったの!?もう訳がわからないわ!」

ふんっ!と柊はそっぽを向く。

「んな怒んなよ。猫みたいで可愛いんだよ。」

「っ!?か、可愛っかっ…!!」

真っ赤な顔をしてどもっている。また猫って言ったから怒ってんのかな?それとも可愛いって言ったから怒ってんのか?訳がわからん。

「ごほんっ、そういう貴方は犬というより狼見たいな感じよね。」

わざとらしい咳き込みをし、横目に私を見てそう言う。

「…見た目か?それともこの喋り方?性格?」

ちょっと気になったので聞いてみた。


「取って食われちゃいそうな感じだわ。」

クスクス笑って答えた。

「だからどこがだよ!」

「雰囲気が。」

何故か自慢気に答える。

「なんだそれ!」

雑な答えだなぁ。そう考えていると柊が私をじっと見てくる。何も言わずに私の目を恥ずかし気も黙って見てくる。体の芯から熱が伝わるのが分かる。

ドクドクと鼓動を早くする心臓と、見つめあった目がすごく恥ずかしく感じて目を逸らしたくなる。

柊が口を開く。

「たべてもいいのよ?」

挑発的な声だが、こちらを真っ直ぐに見てくる。

私の心臓が気持ちの悪いほどドキドキしている。食べるってなんだよ。どう言う意味だよ。訳わかんねぇ。

「なぁーんて、真っ赤にしちゃって恥ずかしいの!」

長い沈黙の間柊はやっと口を開く。本当に冗談だったのだろうか。私には本気に見えた。いや、それよりもまず、私はとても

ーー腹が立つ

バカにされたことに腹が立ってるんじゃない。

私があの沈黙を破りたかった。先に終わらせたあいつに、腹が立っているんだ。


「いいよ。食ってやる。」

次は私が。私が沈黙を作ってやる。

「…ぇ。」

「柊。黙って目を閉じろ。」

まるで本当に食べるような目で柊を見つめる。

「…っ」

ゆっくりと目を細めて閉じていく。

綺麗なスローモーションのように滑らかなコマ送りのように。

ゆっくりと息を吸う。

口を開けて柊の口を甘噛みする。

「ーっ!」

柊の声が出そうになるのを止めるために、自分の口と柊の口を密着させる。

屋上に小さな水音が広い空気に消える。

柊の口の中全てを舐め取るように必死に舌を動かす。

口を離した時寂しい気持ちが残り胸が痛くなる。

「ご馳走様でした。」

唇を舐めて、いたずらっぽく笑う。

「明日も…残り、いるでしょう?狼さん。」

私の肩に額を置き、少し荒い息を整える。

「私の大好物は自由と気まぐれ、沈黙と猫。

あと、」

柊の肩を持って私の体から引き離す。

「お前だよ。」




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