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カメラが映す異世界  作者: とけそうなあいす
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プロローグ

辺りは暗く20時を回ったところだろうか。

息を切らして走る。


やってやった!景山瑛二朗の心の中はその一言で埋め尽くされていた。

色々な情報網を経てやっとつかんだ大きな闇。それを自分のカメラで納めることができた。

何という幸運であろうか!


「やったっ……やってやったぞ!」


人気のない道にたどり着いた俺は心の中にある言葉を大きな声で叫んだ。

近所迷惑?そんなもの知ったことか!俺はやってやったんだ!


この写真を売り込めば明日の新聞の一面、更にはニュース番組も特番を組むレベルだろう。


息が切れ、汗が頬を垂れる。手を膝について深呼吸をする。

全力疾走なんていつぶりだろうか?高校の時の体育以来かもしれない。

社会人になってから運動などしていなかったし、もう体力は限界だった。


自分が来た道から誰かが駆けてくる音がする。

振り返るとサングラスを掛けた黒い服の男が向かってくるのが見えた。


ヤバい、追ってきたのか!?


俺は限界だと悲鳴を上げる体に鞭を打ち、駆け出した。

闇雲に路地から路地へ駆け抜けた。

走って走って走って開けたところに出た。そこには大きな川があった。


そこで何かが背中に刺さった。


熱い。痛い。経験したことのない感覚が襲った。


「お前は知りすぎたんだよ。」


そう後ろの男は呟くと俺を川に突き落とした。


疲弊した体は動かなかった。


あぁこれで俺は終わってしまうんだ、やっと掴んだのに、やっと暴けると思ったのに。

こんなことが許されていいわけがないんだ……絶対に、絶対に……


朦朧とした意識の中、カメラの入ったカバンを抱いた。


そこで俺の意識は途絶えた。



音が聞こえた。さわさわと。何の音だろうか。


目を開くと眼前には青空が広がっていた。


雲一つない青い青い空。体を起こし景色を見た俺は呆けた。


何故こんなところにいるかわからない。

そこから見える景色は壮大だった。

遠くには大きな山がみえ連なっている、また草原の緑は映えて光っているようだった。


「すげぇ……」


無意識に出てきた一言だった。だが、この一言がすべてだった。

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