第1話 ようこそ幸荘へ
こんばんは今回から恋愛ものを書いていきます!
12話完結予定です!
ピンポーン……。
ピンポーン……。
「すみませーーんっ!」
この春、私立遠鹿学園高等学校2年生に進級した俺。
『水城 海』
この学校に進学したのは両親が認めてくれるそれなりの成績で女子の制服が好みだったからだ。
うちの両親は厳しい。高校に進学する時、将来1人暮らしする時のためにもと
突然家から締め出され高校から少し離れたところに家を借りて1人暮らし。
家事も炊事もできる、運動も勉強も人並み以上にできる。
自分で言うのもなんだが顔だってそんなに悪くない。
「だが!!彼女ができない!」
高校に進学すれば彼女の1人や2人できるだろうとは思っていたが現実はそう甘くはなかった。
そうこうしているうちに貴重な高校生活の3分の1が終わってしまった。
時は少し遡る。
春休みに入って3日目のことだった。ある事件が起きたのだ。
俺が家を留守にしている間隣の家が火事になり俺の家に火が移ってきたのだ。
不幸中の幸いにも1階のキッチンと隣の空き室にしておいた部屋が焼けるだけに終わり
全焼はま逃れ、私物もほとんど燃えることもなく済んだのだ。
住む場所を無くした俺はとりあえず両親の住む家に荷物を送り実家に一時的に帰宅した。
「あんた早く次の住む家探しなさいよ??」
「わかってるよ、春休み中にはまた引っ越すから」
そして春休み期間を使って引っ越し先を探したが近場に借りられそうな家はなかった。
やっとの思いでみつけた住居。そこは遠鹿学園が管理している寮だった。最後の1室だったのですぐに手続きもした。
両親は寮なら家賃も低くなるし学校から割と近いからいいわねと
了承はしてくれたもののいきなりの寮生活に不安を感じた。
その寮は「幸荘」またの名を幸せ荘と呼ばれている。
なぜ幸せ荘と呼ばれているかというとそこに住めば彼女、彼氏ができる、願い事が叶う、頭が良くなるなんて噂があるからだ。全く信じてはいないが本当なら嬉しいものだ。どうしてこんな噂があるのにこの寮のこの1室は空いているのか。そんなことも思ったが住居が決まったのだから気にする必要もない。
そんなこんなで短い春休みも明日で終わり。
そして今に至る。
「すみませーーーん!誰かいませんかー?」
幸荘の入口のインターホンを鳴らし声をかけるが誰か出てくる気配はない。ドアを引くと鍵はかかっていなかった。
「お邪魔しまーす……。」
ゆっくり音を立てないように扉を開けながら中に入った。
(まるで、泥棒みたいじゃねーか)
そう思った矢先だった。
「動くな」
低い女性の声が後ろから聞こえた。
カチャッという音ともに後頭部になにか当たる感覚を覚える。
「ああああっ、あのっ、おおお、俺今日ここに越してきた水城なんですけど!」
「知ってるよ、両手を挙げてこっちを向け」
後ろを振り返ると170cm程の身長、長い黒髪のスーツ姿の女性が自分の方に拳銃を向けて立っていた。
「ちょっ、タンマ!待って撃たないで!それ偽物だよな!!」
(背高いな、めっちゃ美人、つーかどっかで見たような)
「さて偽物でしょうか?」
引き金に指がかかっていく。偽物だと信じていてもなかなか怖い。
「ちょちょちょ待って待って待って待ってうわぁーっ!」
すると誰かが走る足音が背後から近ずいてくる。
振り向こうとすると拳銃でカチャッっとおでこを押された。
(なんなんだよこの状況、俺にどうしろと)
「歓迎のダイビングキーック!!」
背後からの衝撃に拳銃を突きつけられた女性の方に倒れてしまう。
ドサッ。
モニュッ。
(顔あたりに柔らかな感触、それにいい匂い)
「うわ幸ちゃんにダイブとかやるーっ!私はしーらないっと」
そのさっきとは違う高い女の声と共に足音が遠ざかっていく。
「貴様いい度胸だ。私の胸は柔らかいか?」
拳銃を向けていた女性はゆっくりと立ち上がり近寄ってくる。
「ごごごごごめんなさい!!!いや、決してわざとではなく、いまのは不可抗力と言いますかご馳走様といいますか、とりあえず落ち着きましょ?」
「それが貴様の最後の言葉だな」
ゆっくりと右拳を握りしめ、振りかぶる
「いやいやいやいや、いやーっっっ!」
「問答無用っ!」
目が覚めると見覚えのない天井、しかし周りには引越しで送った荷物があった。
「全く、何だったんだよ……。顔痛いわー」
「あ、目が覚めた??」
ベットの下から1人の女の子が出てきた。
「うわぁっ!びっくりしたー、どこから飛出してんだよ!」
「どうだったさっきの歓迎のダイビングキック!」
「歓迎も何も何なんですかいきなり!あなたのせいで酷い目にあいましたよ!」
「まあまあ、幸ちゃんの胸の感触柔らかかっただろー?」
「まあそれは認めるけど……」
「もう一度眠るか?」
ビクッ!!
ドアから先程の女性が睨みを利かせている。
「いえ結構です。すみません」
「ならよろしい。さっきのは水に流そう、さあこっちに来て皆に挨拶だ」
飛び蹴りをくらった女の子に小声でこう尋ねた。
「そういや幸ちゃんって言ってたけど、あの人何ですか?」
「ん?遠鹿学園の教師の人だよ??」
「はぁ!?何やらかしてくれてるの、俺の高校生活終わった」
「いいからいいから!さあ行くよ皆が待ってる!」
名も知らぬ女の子に手を引かれ部屋を出て廊下を歩きリビングらしき所に連れていかれた。
そこにはおそらく同じ学生と思われる人が数人とその教師がいた。そして口を揃えて言う。
「ようこそ!幸荘へ!」
海が幸荘で暮らすことになりました
引越し早々ドッタバタな感じになりました(笑)
2話も今週中に投稿出来ると思いますお楽しみに!