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わかったよ、今からがんばるお。

作者: 門外不出
掲載日:2016/04/17

どこか遠くに行ってしまいたいと、

そんな都合のいい遠くなんてどこにも無くて。

こんなのおかしいと思った世界は、

僕をおいて相変わらずそのまま動いてる。


そんなはずは無いと、

何度見直しても現実に変わりはなくて。

あるべきはずの世界は、

望んでもいない形に変わっていく。


僕のいる世界はこんなはずじゃないのに、

こんな世界なら僕がいる意味なんかない。


いろんなことが怖くなって、

僕は部屋から出られなくなった。

こんなことがいつまでも続くわけがないこともわかっているけど、

見ないふりをして誤魔化すしかない。


悪い夢だったと、そうならないかと願って眠りについても、

眼が覚めても何も変わっていない。

僕の願いをかなえてくれるはずのロボットも、魔女も、宇宙人も誰もここには来ない。

僕を特別にしてくれるはずの、魔法も、隠された能力も、秘められた過去も何にも無い。


どうやら僕は普通の人で、もしかしたら、ひょっとしたら、普通どころかダメな人間なんじゃないかなって思い始めてる。

こんなはずじゃなかったのに、時間だけは容赦なく過ぎて行く。

また一つ歳を取り、学生って呼ばれるような歳はとっくに過ぎてしまった。


父さんも母さんもずっと優しく接してくれているけれど、

二人の髪に白髪が増えて、少しずつ老いていっているのも気がついている。

僕はこんな歳になっても、今だに小さな子どものように両親にしがみつき、

ぶら下がって生きているロクデナシだ。


どうしたらいいんだ?

どうすればいいんだ?


このままじゃダメだってわかっているけど、

じゃあどうすればいいんだよ?

僕はダメな人間なんだ。

勘違いして、浮き足立って、あらぬ方向に進んでしまって、

今さらどうしていいのかさえわからないダメな人間なんだ。


今からやり直す?

何をやり直せばいいんだよ。

もう取り返しのつかない時間を僕は無駄に、ホントに単純に無駄に使ってしまったんだ。

そうさ、その時には全く気がついていなかったんだよ。


今さらどうすればいいのさ?

自分で考えろ?

そりゃ、そうだな。

…言われなくっても、ホントはわかってたよ。


だけどさ、出したくない答えなんだよ。

なるべく考えないようにしているけど、

なんとなくはわかっているんだよ。


今のぬるま湯から出なきゃいけないんだろ。

自分一人で生きていけるようにならなきゃいけないんだろ。


わかってるんだよ。

…ただ、踏ん切りがつけられないだけなんだよ。

だって、別に今すぐじゃなくってもいいじゃないか。

ちょっと延ばしにしてここまで来ちまったってやつなんだよ。

だから、僕がダメな人間だって言ってるんだよ。


…わかったよ、明日から何か変えてみるよ。

何、明日からじゃダメだって?

そうやって先延ばしにしてきたからこうなったんだろうって?


お前も結構言うね。いいよ、わかったよ。

じゃあ、今からな。

今から俺は変わるよ、とりあえず、お前と話して安心するのを止めるわ。

長い間ありがとな。


なんだよ、悲しそうな顔すんじゃねぇよ。

お前も歳食ったな、笑って見送ってくれよ。


僕は鏡に映った自分の顔に、無理やりに微笑んでみせた。

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