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きく地蔵、きかぬ地蔵 その1
昔むかし、あるところに、
貧しいながらも、働き者の人々が住む村がありました。
ある日、一夜の宿を求めて、
旅の僧侶が村に立ち寄りました。
村人はその僧侶に、精一杯のおもてなしをしました。
実はその僧侶の正体は、仏さまでありました。
仏さまは、村人たちの心からのもてなしのお礼に、
二体のお地蔵さまを残していくことにしました。
「一体は『きく地蔵』。
なんでも願い事をきいてくれるもので、
村の東側におくように」
それを聞いた村人たちは、とても喜びました。
「もう一体は『きかぬ地蔵』。
なんにも願い事はきいてくれないもので、
村の西側におくように」
それを聞いた村人たちは、不思議に思いましたが、
僧侶の言うことなので言われたとおりにしました。
さて、村人たちは、
なんでも願い事をきいてくれる、
『きく地蔵』のところに通い始めました。
「お金持ちになりたい」
「きれいな嫁さんがほしい」
「頭の良い子供がほしい」・・・
本当に何でも願い事がかなっていきます。
村はどんどん豊かになっていきました。