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一話 わたしの体質と仕事

 お腹が、痛い。

 下腹部を襲う、重い痛みに、仕事場のろうかの壁にもたれ掛かりながら、座り込んでしまう。

 

 痛いよぉ。

 

 生理なんて嫌い。


 毎月、毎月、きっちりと来るし。

 かと言って、来ないと困るんだけどさ。

 お腹を抱えて、うずくまる。

 

 前半の仕事を、痛みに耐えながら、何とか終わる事が出来たのは、いいのだけれど、お腹の痛みは酷くなるばかりで。

 多分、顔色も悪かったんだと思う。

「半休取って大丈夫だから、もう、寮に帰って、休みなさい。」

 って、うちの洋菓子一課の主任から、声をかけていただきました。  

 うちの洋菓子一課は、女の人ばかりの職場で、女性の事情に優しくて、ほんと働きやすいんだ。

 

 ただ、後少しでロッカールームなのに、動けないよぉ。

 

 わたしって結構、生理痛が酷い方なんだと、自分でも思う。

 って言うか、緊張したり、冷えたり、食べ過ぎたりしても、すぐにお腹が痛くなってしまう体質だったりします。


 実は、今の会社に入ったのも、短大の受験に緊張して、お腹を下してしまい、テストどころでは無かったと言う、悲しいけれど、誰にも言えない事情があったりしました。

 一応、いくつかの短大を受けていたんだけど、悲しい事に、全て桜が散ってしまいました。

 浪人は父が許さず、父の弟にこの会社を、紹介してもらったのです。


 わたしの名前は、岩城志保。25歳。彼氏いない歴25年を、絶賛更新中。

 身長は、150cmジャスト。顔立ちはごく普通。ちょっと童顔気味かなぁ。

 この体質のせいで、太れないので、友達にうらやましがられるけど、いいものではないよぉ。

 脂肪が付かないって事は、胸はささやか、お尻はペッタンコ、ウエストもくびれていないと言う、寸胴な体型なんだから。

 時々、町を歩いてると、高校生に間違われる事もあり、悲しいかな、中学生に間違われた事もありました。

 

 わたしの勤めている会社は、洋菓子の製造販売をしている、中小企業です。

 今、わたしが配属されている洋菓子一課は、主に喫茶店や直営店に卸すケーキを主に製造しています。

 食べ過ぎると、お腹が痛くなってしまうけれど、ケーキは大好き。

 よく、父の弟の大輔おじさんが、うちの会社のケーキを、お土産で持って来てくれていたので、おじさんの紹介で就職出来て、嬉しかったな。

 主任さんがデザインする繊細な飾りのケーキを作っていくのって、ほんと楽しいの。

 クリームブリュレは、表面のカラメルゼされた砂糖のパリパリ感と、ねっとりと濃厚な舌の上でとろける様な味わいに、中に仕込まれた洋梨のコンポートのサッパさがよく合っていて、とっても美味しいの。

 コロネパイのパイ生地も、口の中に入れると、ホロホロと解ける様に崩れて、サクサクで、中に入っている、生クリームと洋酒が入っているカスタードが合わさると、言葉が出なくなるくらい、美味しいの。

 因みに、一課もあれば、ニ課もあって、洋菓子ニ課は、焼き菓子や、ケーキに使うスポンジケーキなどを主に製造しています。

 ここで作られる、シフォンケーキがまた絶品なんだから。しっとりとしていて、

ふわっふわで、美味しいのよね。

 

 クリスマスの前には、営業さんから総務までみんな総出でクリスマスケーキを作るんだけど、わいわいと、高校生の時の文化祭の準備の時みたいで、楽しいの。

 イヴには寝不足でフラフラになるけれど、わたしには一緒に出かける彼氏も居ないし、仕事は一段落しているから、お休みだし、残業代も出て、美味しい行事なんだよね。


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