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死が二人を分かつ時

【夏樹】

 私は、宮本夏樹みやもとなつき二十五歳。

 いきなりですが、私は死んでしまったらしい。

 目の前では、私の葬式が行われています。

 涙を、堪えるお父さんに、涙を堪えることのできないお母さんと双子の妹の夏海なつみ。そして、毅然とした態度で立っている婚約者の早瀬修一はやせしゅういち

 婚約者の葬儀に、涙のひとつ見せてくれてもと思ったが、彼は人前で弱みを見せる人ではないと思い当たる。

「来月には結婚…」

「飲酒運転の車が…」

 参列者たちの話を聞くと、私は飲酒運転の車に轢かれたらしい…

 らしいというのは、事故の前後の記憶があいまいだからだ。修一の部屋を、一人で出たことは覚えているのだけど…

 しかし、そんなことより問題なのは、車に轢かれたという事実。

 私の身体が、無傷という訳にはいかないよね?

 嫌だなぁ。せめて顔に傷が無ければ良いと切に願う。

 最後に見せる顔に傷があるのは、悲しすぎる。

 修一の傍らに立つ。修一は毅然として立っているが、その両手は握り締められたまま開かれることはない。見ていても、かなりの力が入っているのが分かる。

「修一…」

 話しかけてみるが、彼に私の言葉が届くことはない。

 修一は自分を責めているだろう。いつもは駅まで送ってくれる修一が、あの日だけは私を送ることができなかったのだから・・・

「修一…」

 もう一度、話しかける。でも反応はない。

「自分を責めないで・・・」

 私の声は、もう届かない。自分が死んだという事よりも、その事の方が悲しかった。



【修一】

 額にひんやりとした感触。とても心地いい。俺はゆっくりと目を開いた。すると、婚約者で同僚の宮本夏樹が、手を俺の額に当てていた。

「ごめん。起こしちゃった?」

「来ていたのか。来なくていいと言ったのに」

 夏樹は、冷えた水の入ったコップを差し出しながら笑った。

「病人を放っておけないでしょう」

 その声を聞きながら、コップの水を一気に飲み干す。冷たい水が荒れたのどを癒してくれるようだ。

「病人といっても風邪だし。寝てれば直るよ。それよりも、うつしてしまうほうが申し訳ない」

「好きでやっているのだから、気にしないで。食欲はある?」

「あまりない…」

「それじゃ、お粥でいい?」

「任せるよ。それよりごめん。もう少し寝る」

「うん。できたら起こすから、ゆっくり寝てて」

 キッチンに向かう夏樹の後ろ姿を見送りながら、こういうのもいいなと、小さな幸せに浸っていた。



 翌朝には、風邪はすっかり良くなっていた。

 昨夜は、夏樹の帰り際に、送っていくと言うと「なに言っているの馬鹿」と一喝されたが、顔はうれしそうだった。それ以外は、夏樹の献身的な看病に感謝だ。風邪をうつしてなければ良いけど。

 とりあえずは、感謝のメールでも送っておくかと、携帯電話を手に取ると同時に夏樹が好きという曲を設定した着うたが鳴った。

 電話の相手は宮本夏海みやもとなつみ。夏樹の双子の妹だ。因みに彼女も部署こそは違うが、同期入社の同僚だ。

「おはよう夏海。朝からどうした。仕事のことか?」

「修一…」

 今にも泣き出しそうな声に、少しだけ慌てる。

「いったいどうした?」

「落ち着いて聞いてね。お姉ちゃんが・・・お姉ちゃんが・・・」

 ここまで言って、携帯からは夏海の嗚咽しか聞こえなくなる。

「夏海。どうした?夏樹に何かあったのか?夏海、答えてくれ」

 次の夏海の一言は、俺を驚愕させるには十分だった。

「交通事故で……死んだの……」


途中で放り投げてある未完の小説を投稿して仕上げるつもりだったのですが、なぜか新作のプロット作っていて、しかも第一話まで書いてるし・・・ww


第一話と同じらいのページ数で2、3話の予定ですので、良かったらお付き合いお願いします。

ただし苦手なジャンルになりますので、感想ご指摘がありましたらよろしくお願いします。善処させていただきます。

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