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循環する日々
最初に蜘蛛男に出会った、確か三日後だったと記憶している。僕は昨日と今日、今日と明日の境目を見失いつつあるのだ。とにかく、三日後に蜘蛛男は再びベランダに現れた。最初に会った時より幾分精根尽きた様子であった。伸びきったゴムのような表情を浮かべ、目で空中に漂う何かを追っているように見えた。
「やあ」「アイス・コーヒーでも飲むかい?」
「ああ・・・」と言葉を区切り、何やら思索巡らすかのような表情のまま固まっている。
「・・・いや、今日はやめておくよ」と蜘蛛男は言葉以外の何かを吐き出すように言った。
その形容し難い何かを理解しようと勤めてみたが、考えてみれば僕は蜘蛛男のことを何も知らないのだ。僕の想像力が理解に至るには、いささか情報が不足している。インターネットで検索しても、その情報を埋め合わせることはできないだろう。
「また、また来るよ」