全ての始まり
高速道路を白い車が走る。
年の明ける直前の夜中、その1台以外に車はない。
ゆうに100キロを超えるスピードで走りぬける。
かすかに空いた窓からはテレビから流れる年越しの歌が漏れている。
時折エンジン音を無音な高速の空間に響かせ
排気が地面をかすめていく。
その白い車は
突然
カーレースのドラフトにも似た音と共に
工事中の防音壁へと
車はバランスを崩さず方向を変え
突っ込んでいく
赤いカラーコーンも
黄色い電飾の紐も
ブルーシートも
全てをはねのけ
進む。
まだ、傷跡の残る壁に突進し突き破る
そして、その先の空地へたどり着き
止まる。
そのために高速に乗ったかのように
一瞬のためらいも
タイヤを止めるブレーキ音も
ない。
それは鮮やかに描かれ消されていく
そうすることが当たり前のように
年が明けた1月1日
「おい、聞いたか?」
「例の事件だろ?もちろんだ」
「高速で車が一台暴走したっていうやつだけど、ほんと気味が悪りいよな」
「ああ、新年始ってそうそう止めて欲しいよな・・・」
「インターから10キロも移動した車に」
「誰も乗っていなかったなんて」
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