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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

恋の結末は代償と共に。

掲載日:2026/05/19



「私ってそんなに性格悪いかなー」


ーー「そういうのは自分で考えるべきなんですよ?」


「石巻くんは黙ってて」


ーー「独り言だったんですか!?」


「そうよ...はぁ...、いい人こないかなー」



 私の名前は、一ノ瀬恵美(いちのせ えみ)

 下でも上でもない、ザ・普通を貫いている占い師。


 何事にも上手くはいかないようだ。

 嘘をついてイケメン彼氏を作ろうとチャレンジしているが、中々常連として来てくれない。



ーー「僕もそろそろ彼女とか作りたいですねー...」


「そうねー...こんな公園でシート引いてやってるようじゃ誰も不審に思って来ないし」


ーー「もっとちゃんとした場所でやりません?」



 石巻くんは、不用意に私の手を握ってきた。



「残念だけど、私達はそんな裕福じゃない。でしょ?」


ーー「確かにそうですね...」



 手を振り解く。

私たちは、人気の少ない公園でシートを引いて商売をしている。

 この私と話しているのは石巻くん。彼女なし高校生ニートで私の話し相手なだけ。


すると、1人のお客さんがやってきた。



ーー「...あのーここってやってますかね?」


「ええ、やってるわよ....え!?」


ーー「どうかしたんですか?」


「...いや、なんでもない...ですよ?」



(イケメン男子きたぁぁあ!!この機を逃すわけにはいかない!!)



なんと、やってきたのは石巻くんと同い年くらいであろう高校男子イケメンだった。

 私は高校2年生なので、同い年くらいだ。



ーー「あのいくらですか?」


「え、えーっと...なし!」


ーー「なし!?そんなのいいんですか?」


「...夜は無料サービス中なの!」


(今だけだけどね!)



ーー「それじゃ早速いいですか?」


「どうぞ!なんでも大丈夫でぇす!」


ーー「率直にいうと、彼女が欲しいんです。どうしたらいいですか?」


「.....え、え?」



 これはもはや運命だった。

 虫の声が響き渡るが、静寂な夜にこんなイケメンが彼女ほしさに相談してくるなんて。

 ここからは、私が得意とする占いテクニックの時間



「彼女...いないんですか?そんなにイケメンで?」


ーー「へへっ...そうなんです..」


「そうなんです...か。わかりました!」


ーー「お願いします!」


「えー...っと、手相を見せてもらってもいいですか?」


ーー「はい!」


「待って...この手相は!!」


ーー「!?...なんですか!」



 ここで披露してあげよう。

 私の虚言テクニックを!



「身近な人にいい人がいるでしょう!」


ーー「身近な人....?」


「まあ...ね?例えば...学校とか...いややっぱり、、ここら辺...とか?」


ーー「そう...なんですか!?」


「そういうこと!!」


ーー「あの...なら、」


「...?なんですか?」


ーー「連絡先...交換してもらっていいですか..?」


「.....今...なんて?」


ーー「連絡先を交換してください!」



 これが運命だ。

 私は飛び跳ねる喜びを抑えて、連絡先を交換した。

 この先の展開を考えるとワクワクしてしまう。



「あの...なんで連絡先交換してくれたんですか?」


ーー「実は...遠目で見たら怪しい場所だなって思ったんですけど、あなたは全然怪しくなかったっていうか...一目惚れ?ってやつ...です」


「本当に!?」


ーー「そうです...!その喜び方も凄い素敵だと思います!」


「えへへ...なんか照れるからやめてー....」



 その後は雑談話となった。

 夜も更け、閉店の時間となり男の子は帰っていった


 そして私は、連絡先に登録された名前と存在を見てニヤニヤしてしまった。



「綾波蓮くんかー...。名前もかっこいぃ!」


ーー「よかったじゃないですか!いいなー本当に」


「石巻くんも!こんな出会いが!あるといいね!」


ーー「いやハイテンションすぎません!?」


「そりゃあさっきの見たらわかるでしょ?」


ーー「.....、、そうですね...」


「...どうかした?」


ーー「いや、もう閉店の時間ですよ一ノ瀬さん!早く店閉じましょ?」


「そうね!はあーメッセージ来ないかなー!」



 私の心は今、最高に輝いている。

 綾野蓮くんは今頃何してるのだろうと考えるたびに心が踊り出す。


 店も閉じ、私は石巻くんと別れて家へ帰った。

 部屋の布団に潜り込み、来るはずもないメッセージ画面をジロジロと見つめてしまう。



「へへっ...蓮ー?なんちゃって...そうやって呼び合える日が来たらいいなー」


ーー「恵美ーー?お風呂入りなさーい」


「わかったぁぁ!!」



 お風呂が沸きましたという同じみの声が聞こえ、私はスマホを持って一階に降りていく。

 ただその瞬間、メッセージの通知音が響いた。



「....通知!?やったぁぁきたぁぁ!!」


ーー「どうしたのー?そんなに騒いで」


「あ、別に?なんでもないよ!!」


ーー「そう?」


「.....はぁ!?」



 私が期待したのがバカだった。

 メッセージが届いたのは蓮くんではなく、石巻くんだった。

 内容は、明日もよろしく!だそう。



「はぁ...現実は甘くないよね...」


ーー「本当にどうしたの?」


「いやなんで...もってえ!?」


ーー「今度はなに!?」



 そのままトーク画面を開いていると、次は蓮くんからメッセージが届いた。

 内容は、仲良くしてくれたら嬉しいです。だった。

 そして即既読をして返信も返した。



「やったぁ!仲良くするに決まってるじゃんっと!」


ーー「もしかして彼氏でもいるー?お母さん気になっちゃうなー」


「え、違うよ!!別にそんなんじゃないし...?」


ーー「ま、お母さんは何も知らないふりしておこうかな?」


「.....え、うん...」



 すると、また返信が返ってきた。

 内容は、明日も行きますね!だった。

 このまま距離を縮め、告白して大成功!まだ持って行きたいところだ。


翌日の夜、また私は石巻くんと店を開けていた。



「石巻くん?...今日は静かなんだね」


ーー「まあ夜ですしね...そういえばあの人また来るといいですね!」


「絶対くるよ!!実は昨日のメッセージで最後に約束したんだー」


ーー「今日くるっていうことですか?」


「そういうこと!」



 私たちが話していると、約束通りに蓮くんはやってきた。

 約束を守る人、話した内容を覚えている人はモテる



「蓮くん!きてくれたの!?」


ーー「いや昨日話したじゃないですかー!」


「そうだね!あ...そういえば占いしていく?」


ーー「すみません。今日は雑談だけしにきたんです」


「そっか!でも全然大歓迎だよ!」


ーー「話しましょ!」



 蓮くんと私は、雑談を開始した。

 好きな食べ物や特技などを教え合い、趣味なども教えてくれた。

 

 話が終わって蓮くんが帰ると、石巻くんは気づけば帰っていた。

 いなくなっていたという感じだった。



「帰る時は私に一言いってからってことだったのに!」



 そしてメッセージが届く。

 相手は蓮くんだった。



「なになに...?...明日休みなので時間あったら2人でどこかに....いきませんか!?」



 デートのお誘いが来てしまった。

 早急に、もちろん返信で行きます!とだけ伝えた。


 そして、翌朝になった。

 待ち合わせの場所は水族館で、私は少し遅刻してしまったが蓮くんは軽く許してくれた。



「この魚すごいね!」


ーー「でっかいですね!!」


「あのーさ...タメ口でいいよ?」


ーー「あ、ははい、、。あ、...わかった!」


「それでおっけー!!」



 その後も、いろんな魚を見て回った。

 ペンギンエリアだったり、カワウソがいたりしてとても可愛かった。


 次の場所はお昼!イタリアン!ということだったのだが、急に蓮くんが焦り出した。



「え...やばい!えっと...一ノ瀬さん?ごめん。緊急の用事が入っちゃって...ここで解散かも...」


ーー「え?...まあ大丈夫だけど緊急?誰から?」


「それは...いえないけど...ごめん!ほんとにー!」



 そう言って、蓮くんは帰っていってしまった。

 仕方ないことなので、私は近くの商店街を歩きまくった。


 すると偶然にも石巻くんと会った。



ーー「あれ...?一ノ瀬さんじゃん!ここで何してるんですか?」


「石巻くん!?...偶然ね。あなたも何してるの?」


ーー「またちょっと買い物でね。キッチン用品って感じです」


「へぇー。石巻くんって料理するんだ。」


ーー「まあね...。暇ならどこか行きません?」


「遠慮しとく。もう帰るところだったしね」


ーー「そうですかー...。わかりました。それでは!」



 石巻くんと会ったが、私は乗り気になれなかったので家に帰ることにした。

 その日の夜、蓮くんから思いがけぬメッセージが届いた。


内容はこうだった。



ーー「一ノ瀬さんごめん。もう俺はあなたと釣り合わないかもしれない...」


「え?どういうこと!?」


ーー「俺よりもっといい人がいると思って...今日もわざわざ予定空けてくれたのに、急に用事が入っちゃって」


「そんなことないよ...!!私は蓮くんがいいの!」


ーー「ごめん...」


「待って...ちゃんと理由教えて欲しい。」


ーー「実は...「身近」で君のことが好きだっていう人がいて...。俺よりそっちの人の方が知ってると思うし」


「.....。わかった。明日、また店に来てくれる?」


ーー「わかりました...」



 予想はついた。

 身近で私のことをよく知っている人なんて1人しかいなかった。

 明日、私は店で蓮くんと話し合うことにした。


翌日の夜。

 石巻くんと私は店を開けていたが、いつもより静かな時間が過ぎていた。



「あ、...蓮くん!」


ーー「.....。すいません。遅くなってしまって」


「いや...いいんだよ。ただ、話し合いたかっただけ」


ーー「そうです....よね、、」



 ふと、蓮くんは石巻くんの顔を見た。

 石巻くんは今日、一度も私と話さなかった。

 状況を何かしらの方法で理解していたのだろう。


 ありえるとするならば、石巻くんと蓮くんはメッセージで繋がっていたことだけだった。


 そして、話し合いが始まる。

 修羅場のような雰囲気だった。



ーー「石巻くん...俺はやっぱり....、」


ーー「綾波...でも..、俺の方が長く....いた、んだ...」


「..........。」



 2人が話す中、私はただ座って2人の会話を聞いているしかなかった。

 割り込む暇などどこにもなかった。


 ただ、だんだんと話を聞くたびに石巻くんが私の事を気にかけていたのは分かった。

 蓮くんと同じくらい、気にかけてくれていたのだ。



ーー「石巻くん....俺は決めたよ。」


ーー「そうか....。」



 ついに、その時はやってきた。

 私は身を構える。

 蓮くんも心に決めたそうだ。



ーー「一ノ瀬さん...昨日は本当にごめんなさい...。けど、決めました。これから!僕と付き合っ....」



グサッ。



「.......え、、、?」



 蓮くんが私に何か伝えようとした瞬間、背後から蓮くんのお腹にナイフが刺さった。


 私は理解してしまった。

 理解を...したくなかったのに、してしまった。


 蓮くんの背後に、ナイフを掴んで立っていたのは石巻くんだった。

 蓮くんはそのまま地面に倒れ込み、血を流している



ーー「は、はは...!!どうだよ蓮!僕のいうことに従わなかったからだ!!一ノ瀬さんは僕のものだ!誰もよりも長くいて、一番知っているのは僕だけだ!!」


「や、、やめて、、」


ーー「一ノ瀬さん...?ほら、帰ろう?今日から君は僕のものだ、、、」



 私は椅子から転げ落ちる。

 あんなに一緒にいて、絆も芽生えてきたところだったのに。

 私の助手として、占い師の店を開けようと始めた時から一緒だった石巻くんが、今は、、


 左手で血のついたナイフを持ちながら、右手で私と手をとろうとしている。

 本来あるべきだった絆は、敵を持つことで脅威に変わったのだ。



ーー「ほら一ノ瀬さん?僕の手をとって家に帰ろう。そして、明日からも店を続けていこう?」


「嫌....こんなの...誰かぁぁぁぁ!!!助けてえぇぇぇ!!!」



 私は心の底から溢れ出す感情を、悲鳴にして助けを求めた。

 雨が降ってくる。そして人気のない公園。

 田舎で明かりもついていないこの場所。


 その状態を見て、私はその場から一旦逃げた。

 走って、走って走って足を動かす。

 後ろからは、もはや人間ではないかのような叫びと共に足音が近づいてくる。


すでに溜まっている水たまりを踏みつけながら走る。

 私は走りながら、なんとか110番と119番に通報し、状況を説明することができた。



 そしていつの間にか私は病院のベッドの上にいた。

 個室の部屋で、私は静かに目を開ける。



「あれ...ここって...。!!蓮くんは!?」


ーー「大丈夫ですよー」



 ベッドの横にいたのは、心配そうに見ているお母さんと看護師さんだった。


 看護師さんは、蓮くんを大丈夫だと教えてくれた。


あの時の私は体力を完全に失って倒れたが、石巻くんが私の元へ到着する頃には、警察に捕まったらしい。 

 あとは蓮くん。

 蓮くんは、そのまま一緒にきた救急車と共にこの病院まできたのだそう。


 そして、蓮くんがこの病院にいると知った私は即座に部屋を出た。



「私...蓮くんのところいってくるから!!」


ーー「ちょっと恵美!?待ちなさい!」


ーー「一ノ瀬さん!」



 2人の声を背後に遠ざけていく。

 いくつもの部屋を駆け回りながら、蓮くんをやっと見つけることができた。


 謝らなければならない。

 私を気にかけたことで、こんな目にあってしまったことを。



「!!いた!!...蓮くん大丈夫!?」


ーー「.......。」


「寝てる.....本当に...ごめん」



 蓮くんは眠っていた。

 人工呼吸器をつけており、お腹は包帯のようなものでグルグル巻きにしてあった。

 ただ心拍数は聞こえるため、生きていることがわかった。


 誰もいない静かなこの個室で、ただ私と蓮くんだけがいた。


 私は蓮くんの手を握る。

 こんなことになってしまったのを謝る。



「蓮くん....ごめん...本当に...ごめんなさい...、」


ーー「.....う...っ..」


「蓮くん!?...大丈夫なの!?」


ーー「一ノ瀬....さん..、、?...本当に....ごめん」


「謝るのは私だよ...!!蓮くんは何も悪くない!」


ーー「ありがとう....実はあの後....石巻くん..が、、、」


「.......え、、、」



 蓮くんが目を覚まし、苦しそうにあの時の状況を説明してくれた。

 蓮くんによると、石巻くんは......もうこの世にいないということがわかった。


 私のせいだ。

 あの時は怖かったけど、必ずといっていいほど石巻くんは悪い人ではなかったはずだった。


 私は涙が大量に溢れ出した。

 また強く、蓮くんの手を握る。

 蓮くんは、わずかな力で握り返してくれている。



「ごめん....蓮くん...」


ーー「いいんだよ....ただ....、」


「ただ....?」



ーーーーー「これからはずっと...一緒だ」


ーーーーー「.........うんっ!!」



 そして私と蓮くんは、石巻くんの「命」と引き換えに、「愛」を手に入れたのだった。

 










 
























 


短編書いてみました!

よかったらブクマや感想など、評価もよろしくお願いします!!

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