思い出ぽつぽつ【ベンツとアルトワークス】
【クリスマスまで、あと20日】
19歳の頃の話。車を貰った話。
社会人1年目、1人暮らし1年目の頃の話。
全てが1年生だった。
私は新潟の専門学校を卒業後、群馬に就職した。
(卒業後まだ実家には帰りたくないと、いろんなところに面接に行った結果、群馬で就職が決まった。)
新潟では寮暮らしだったので、1人暮らしは新鮮だった。
群馬で私を知る人は誰もいない。
わくわくした。
何でもできる気がした。
そして流れ流れて、私は車椅子バスケにハマった。
「イスバス(※車椅子バスケのこと)やってみない?健常者でも楽しいと思う」と誘ってくれた車椅子のお兄さん。
お兄さんとは、仕事場で仲良くなり、私は何でもやってみよう!という軽いノリで「はい!」と言った。
社会人1年目はお金がなく、私は自転車通勤していた。
イスバスをやる体育館は遠かった。
「車で送り迎えしてあげる」と言うお兄さんに私は何も考えずに家を教えた。
そして何も考えず待っていた。
約束の時間に駐車場に来たのはベンツだった。
私はベンツの価値を知らず、助手席に能天気に座った。
イスバスの練習が終わって、帰る時に助手席でベンツが高級車でこの車は〇〇〇〇円だ!と少し怒られたのを覚えている。笑
その後1年くらいはベンツの送り迎えが続いた。
◇◇◇◇◇
とある日お兄さんの体調が悪い時があり、イスバスに行けない日が続く時があった。
「車あげるから、自分で練習行きな」と言われた時は寂しかった。
車なんて要らない、ずっと一緒に行きたかった。
だけど、その時はお兄さんと超ミラクルスーパー複雑な関係になりそうだったので、私は仕方なく車をもらうことにした。
お兄さんから送られてきたメールに書いてある場所に行き、車を確認し、名義変更をして、私はお兄さんの知り合いの方から車をタダで頂いた。
あと半年で車検のアルトワークスという車だった。
アルトワークスはボロボロの車だったけど、初めて車を手に入れた私は浮かれていた。
後にタダより高いものはないと知ることを知らずに…笑
アルトワークスに乗ってからは、ベンツには乗らなくなった。
私は助手席を卒業したのだ。
自由なんだ。
どこへでも行ける気がするのに、行きたい場所がお兄さんがいる体育館だった。
私は私なりに、仕事もイスバスも恋愛も頑張った。
よく笑い、よく泣いた。
その後、タダで頂いたアルトワークスの車検代はかなり高く、自分で新古車を購入した。
気持ちは山あり谷ありだったが、私は新しい車に夢を乗せて走り出したのだった。




