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野盗が携えた解放戦線への親書抜粋
白狼の王が顕現し我々に天啓を与えた。
南の桃源郷に巣食う堕落した民の血で<人を造りし神>を染め上る。
そしてそれを喰らうのだ。
かくして我々の王は神の門戸を開き隠り世を解き放つ。
これより七つ目の月が輝く夜、かの桃源郷で宴を催そう。
——野盗が携えた解放戦線への親書抜粋。
満点の夜空に星々が浮かぶ。
雲という雲は切れ端もなく、夜空は澄み渡った。
下に広がるは、見渡す限りの黒々とした草原。黒は兵士たちが流した鮮血。草原は兵士たちの血に染め上げられていたのだ。
星々は凄惨な草原を見下ろし瞬き、その一部始終を観ていた。
転げる骸は無惨で、四肢をまともに繋ぎ合わせたものは殆どない。頸は跳び、腕は切り離され、金属鎧を喰いやぶられ腹から臓物を撒き散らした。そんな骸が殆どだ。
ネリスウス・グローハーツ将軍が率いたリードラン解放戦線主力旅団は、たった一人の戦士の手により壊滅をした。