1/8
禁忌目録・創世記より
原初の大地と焔は其処にあった。
エルフは最初にその大地へ降り立った。
ドワーフはエルフに呼ばれやってきた。
セイレーンはドワーフに呼ばれやってきた。
原初の焔を取り囲んだ三種の影が澱みを造る。
暗闇から這い出て来たのは小鬼に大鬼。
歪んだ欲望の塊<魔物>だった。
そして最後に降り立ったのは<神>と名乗る者だった。
神は魔物を駆逐し三種の王へ云った。
「安心するがよい、もう魔物は姿を顕さない」
森の妖精王は神に訊ねた。
「魔物は我々の影より産まれし存在。どのようにして滅されたのか」
神は答えん。
「深淵に渦巻く澱みへ楔で繋ぎとめたのだ」
鋼鉄の王は神に訊ねた。
「ならば、我らはこの地に繋ぎ止められたのか」
神は答えん。
「然り」
大海原の蛇は神に訊ねた。
「神とはなんぞ」
神は答えた。
「神とは世界なり、神とはヒトなり」
そういうと神は自分の似姿で造りし第四の存在。
世界の善悪と狂気の欲望を秘めた第四の獣<ヒト>を大地に解き放ち、全てを喰らわせてしまった。
––––セントバ大図書館 禁忌目録・創世記より。