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イカサマ

作者: 黛 優雨

イカサマという言葉。


あたしはそれが大好きで大嫌い。

あたしはまがい物でいつも見せている姿なんて偽物。

あたしを表すような言葉で私はイカサマだらけの自分なんて嫌いだ。


私はもう逃げ出したいし、こんな自分なんて捨ててしまいたい。


遊びだし今までのことは楽しくやれた。

何もしなくても私は暮らしていけた。

この生活とこれが一番好かれるってわかってそれになってきた。


けど、私はもう取り返しのつかないとこまできてしまった。

今更恋なんてダサいし、今の私はもう終わってる。

逃げたくてしょうがない。

こんな可愛くもなくて求められてるあたしじゃない私を見せて嫌われることなんて嫌だし、この感情を知られることも嫌。


醜くて最悪な私。


家に来て虚無感に襲われるくらいならふらっと消えてしまいたい。

泣きたくもないのに涙が出てくる。

せっかく家に来てるのに。


そんな最悪なときに気づかれてしまった。


なんで泣いてるんだ、


そんな言葉をかけてくれる。

私は嬉しくもあるけどこんな姿を見られたことが苦しくて泣きたくてしょうがない。

なんでもない、なんて笑顔で告げるけど涙はいくら立っても止まってくれなくて、


なんでもなくないだろ。


そんなことを言ってくれるのも嬉しいけど、今は何も触れないでほしかった。


なんでもないっていってるじゃん、!


私は怒鳴ってしまって言った瞬間何を言ってるんだろうって後悔した。

弁解しようとしてももう無理で、そうか、って言って部屋から出てしまった。

面倒くさい女って思われただろうな、めんどくさくないことが私の取り柄なのに、なんて思うけど追いかけることもできなくて、結局その場で泣くだけだった。


そのまま泣き疲れてその場で寝てしまった。

朝起きたら私はベッドの上で、寝かせられてた。


サブテーブルにはポピーの花束が、

昨日の夜にはこんなのなかったはず、って思ってここの部屋に入るのは私以外はあの人しかいない。

花言葉を調べて私は驚いた。


「慰め」、「感謝」


これを見てまた泣いてしまった。


数分すると部屋に戻ってきて、急いで泣き止んで謝ろうとした。

鼻水を啜って、涙を必死に拭うと頬に手が添えられた。


急いで泣き止もうとしなくていい、大丈夫だから、


そんなことを言われたら私はもっと泣いてしまった。

面倒くさい女と思われたかな、なんて気持ちはもうなくて、ただただ泣いていた。


ひとしきり泣いて、私は泣いてしまったことが急に恥ずかしくなって顔を隠してこういった。


ごめんね、


目の前の貴方はくすり、と笑って気にしてない、と言ってくれた。


私はこの人がわざわざ花束まで買ってくれる女だと思ったらちょっとだけ元気が出た。

私はまだあたしでいようかな、なんて思えた。



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