惨めになったので婚約を破棄しました。(2)
最初の投稿三部が毎日投稿しているので次も早いかなとおもった読者の方。……いるかな。いるのかな。
土日はちょっとやることあるから少し遅れるからね。すみません。
さてこれで四度目の投稿になります。
あくまでここまでがプロローグと思い込みながらキーボードをカタカタしています。
前書きに終わらず短いですが最後まで読んていただけたら毎度のこと(まだ四度目だけど)ながら嬉しいです。
俺の誕生日まではもうすぐで時間があまり残っていない。
ぐーたらしていたら帰ってきてしまう。そもそももうほぼ三年たっていて同じ学び舎には多くの同世代や尊敬できる先輩がいるなかで昔の婚約を大事にして一途でいつづけられるのだろうか。
剣聖になったのだから逆に先輩から尊敬の眼差しを向けられているからとか?
剣聖になったのだから貴族のクズみたいなやつからもまたは人徳があり人として完成している人間とかにも出会ったりしたんじゃないだろうか。
そして実はこの考え方が契約を失くすための大きな一手となる。
ギルドの酒場で聞いた契約破棄の方法。正式な方法であれば契約した者同士が教会に行き神に解約を求めるものだがもう一つの手段として契約を破棄したいものが不利益を被り、もう片方が利益を得ることだ。
さて説明しなくてもこの<スキル>で文字を既に変形させたこの手紙を見れば誰でも理解するだろう。
手紙を持ち自室を出ると美味しそうな匂いが香ってきて思わず、
「いい匂い!」
とおはようの挨拶よりも食に対しての欲が声に出てしまった。
「「おはよう」」
「お、おはよう」
ふふふと柔らかな笑みを浮かべる母さんと新聞を読む父さんに挨拶をされそこで遅れて俺も朝の挨拶をした。
待ってくれていたのか机の上には俺の分も含め白いパンとスープ、ドレッシングのかかったサラダと朝の朝食としては豪華な食事が準備されていた。
俺が席に着くと立っていた母さんも座り「今日もこの食をとれることに感謝を」という我が家の食べ物への感謝、この食べ物を作ってくれた農家の人への感謝、この食べ物を運んでくれた人達、色んな人たちへの感謝の言葉とともに食べ始めた。
ギルドでは食べていたものが肉ばかりでサラダをあまり食べなかったのでとても新鮮に感じられ、ドレッシングのほのかなリンゴの甘味がとてもおいしかった。
パンは少し硬いがスープにひたすと丁度良い柔らかさになりスープの塩コショウがまたよくパンとマッチングしてすぐにたいらげてしまった。
食べ終わるを見図り部屋を出たときに一緒に持ってきた手紙を二人に差し出した。
「どうしたのアル?あら、この手紙ー、貴方が帰ってきた三日前くらいに届いたのよ~」
「おうお前宛に送られてきてずっと気になってたんだが結局誰だったんだ?」
「あー、幼馴染からだったよ。」
「それでどうして見せようと思ったの~?」
「単純に見てほしいのと今度はもっと遠くに冒険に出ることにしたんだよ…」
そう言うと母さんはとても寂しそうな、父さんはなにやら悩むような厳しい顔になった。
父さんは手紙を母さんにも見えるように開け中を読み始めた。
ただ中の文はすでに変わってしまっている。
「アル、これ本当にいいの?」
「お前たちの婚約は神にも認めてもらったものだ。だから別に――」
「いいんだ、もう昔の話だし、そもそも契約しにいった当時のことを大して覚えてないんだ。もうしばらく会ってないし、同世代が近くに沢山いたんだ。こうなってもおかしくはない。俺は彼女の幸せを願うよ
」
既に変わってしまった手紙の内容はこう。
学校に通っているうちに仲良くなった男の子がいてその人のことが好きになってしまった。
もう別れてから時間がたってお互い変わってしまっただろうから昔の約束はなしにしましょう。
私からは既に教会に行き契約を解除するように言ってあるのであとは貴方が言えばそれで良い。
昔のことは忘れてお互い幸せになりましょうてきな文。
内容からしたら一方的に切り離されているように見えるがそこはちゃんと自分も納得しこれから教会に行ってくること、この手紙と俺がどう思っているのかお隣さんの両親に伝えてほしいということ。教会に行き契約を解除したらもうすぐこの村をでて旅に出ることを伝えた。
色々持たせてくれようとしたが冒険者稼業で稼いでいるから問題ないと言って、立ち上がった二人と抱擁を交わし自室に戻り契約の書かれた紙を手にあとは冒険者として活動しているときに使っていた小さいバッグ片手に別れの言葉を残して家を出た。
既に朝で朝食を済ませ外に出ている人もいるなか話しかけられて遅れるのは嫌なので軽く挨拶をする程度に教会までダッシュした。
教会に着き、その大きな扉を開けた。
中は昔と変わらず朝日を受けたガラスが様々な色を伴い中を照らし、入口から正面奥の女神様の像と言われている像まで伸びた赤の絨毯とその絨毯に合わせて横に並べられた長椅子。
中には誰もいなかったが掃除は有志の者がやってくれているのだろうか、ゴミがほとんどなかった。
ふさふさの絨毯の上を歩き像の目の前まで行き、紙を片手に突き出し頭を下げ告げる。
父さんと母さんにはあれで納得させることができたが神様を騙すことはできないだろう。契約を結ぶこと自体は結ぶ同士が互いに認めることだけで成立するが解除することは難しい。きっと神様は俺の心を読んてくるに違いないと思う。だとしてもただ利益を与え、不利益を被ればいい話なのだから。
「お願いします。この契約をなかったことにしていただきたい。なかったことになれば私は剣聖になったこの世の中でも一二を争う女性という結婚できないことになります、彼女はなくなることで私のような才能のない惨めな男ではなくもっと素敵な人と結婚をすることができる。私は彼女の幸せを願うためこの契約をなかったことにしていただきたい」
言葉は言い終わった。
誰かが何か言ったわけでもない。頭を上げたそのさきの女神像が光ったわけでもない。
だがその契約が解除されたことを確信した。
絶対に破れず燃やすことのできない契約の書かれた紙。右手から契約した日同様いきなり現れた時と同じように気づけば無くなっていた。
「よし!」
感謝の意味で上げた顔をもう一度下げ入口からではなく教会右奥にある扉から出た。
教会の後ろはすでに森が広がっており、ここから出れば誰にも出会うことはない。村付近の森には魔物除けが貼られているので一気に走り抜ける。
さて自由気ままな旅を始めますか。
…
…
…
…
今までも自由気ままな生活だったわ。
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アリタル・ロードが契約を解除するほんの少し前。
王都の国の王が住む王城、その一角。
国を守る騎士団のその頂点にたつ騎士団長、まだ学生にして剣聖になった上にその座についた彼女は学校が休みで騎士団の仕事も特になかったが、買い物等に出かけるとすぐに話しかけられ、買い物どころではなくなってしまうため出かけないでいた。変装してもよいのだが黄金色の誰もが目を魅かれてしまうその絹のように透き通った髪は隠すことができずばれてしまう。実際ばれたことが数回ある。
まるで貴族のように上品で清楚な姿は学堂でも誰もが魅了されているが頬をゆるませ一枚の紙を見て足をソワソワさせているその姿はまだその年相応の姿だ。
「アル―、アル―、わたしのアル~」
彼女は12の年に別れそれより前婚約を結んだ男の名前を歌のようにつぶやいた。
彼女が見ている紙は婚約を契約として神様に認められた証だ。
別れた時に男は村から出て行ってしまったが、この紙がまだ存在していることが男の生存を確かなものにしていた。
村から出て行ってしまったがあれからもう幾分も時間がたっていて男の15の年になる日も近づいていてこれまで待っていた時間を埋めるため色んな妄想を浮かべ、15の年になる二日前に村に帰る予定を立てていた。
また別の妄想をしてその過激な妄想に自分で顔を赤くし目を瞑った時、違和感を感じた。
確かに手にしていた紙の重さ、それが消えた。目を開けると確かに紙は消えていた。
「アル?」
紅く染められていた頬は一転して青く染まり嫌な予感を振り払うように部屋を飛び出した。
彼女はその足を神殿につくまでとめることはなかった。
今回も後書き(前の後書き読んでもらっているかわからないけど)までよんでくださりありがとうございます。
変換忘れて所々ひらがなのままのところあると思いますが気にしないでいただけると幸いです。
さて前書きでも書いていますが私のなかでプロローグが終わりました。
次から本編に入っていきます。
また次回もよろしくお願いします。