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ロリコンであることを神に感謝した(3)

そう、陰湿ないじめである。


ネット発のなろうなんとかとか、韓国発のスマ―なんとかとか、その他多数の乙女ゲームで主人公の少女のみを愛でてきた私の経験値がものをいう。


恐らく皇女は、侍女にいじめられている。

もしかしたら、皇帝や側室とその娘たちにも嫌な思いをさせられているのかもしれない。


理由は簡単だ。


第一に、皇帝が正室や正室の娘にそれほど愛情を注いでいない。


第二に、正室が住んでいた皇后宮の扱い。


第三に、そもそも皇后がいないことがゆえの権力基盤のなさ。


これぞ、皇女がいじめられる理由ベスト3である。


何より、皇后宮から来たという正室の侍女に対してこの態度。皇帝の宮殿に勤めているとはいえ、この露骨な態度。


「皇后宮の侍女の分際で不躾な。まあ、いいでしょう」


こういう世界のいじめキャラって何か一言言わないと死ぬんだろうか?


「はいはーい、失礼しますねマダム」


私は手紙を片手に、宮殿の中へと入る。


「はいは一回でよろしい。アリエス皇女様のお部屋へご案内します」


マダム・タンジーはそう言って近くにいた小柄な侍女を呼びつけた。


「アンと申します」


侍女。にしては、ドレスがボロボロだった。

こういう扱いを受けるのは大体が平民上がりの貴族か、貴族の中でも私生児的なやつだ。

メイドから生まれたとかそんな感じのやつだ。


アンは、赤毛だった。

なるほど、確かにそばかすがあって、眉も少し太い。ドレスは緑色で、少し流行に遅れた感が否めないデザインだ。


しかし、とても心が落ち着く少女だった。


これもまたよし!


「ご、ご案内します」


アンは私の顔色を伺いながら、皇女の部屋へと案内した。

普段からいじめられているのか、手も足もすり傷だらけだ。


なんだろう、この掻き立てられる庇護欲は?

抱きしめてあげたい衝動に駆られる。いや、むしゃぶりつきたい。


三つ編みヘアというのは、当然ながらうなじが露出するという、何とも計算された芸術的髪型である。

なんとも、罪なヘアスタイルだ。


それを年端もいかない少女であるなら、なおさらやばい。ぬれる。


「あ、あの? 大丈夫ですか?」


「大問題だ……」


「え?」


私は気付かないうちに何か言ってしまったらしく、よく覚えていなかった。


アンは首を傾げながら、皇女の部屋の前まで私を案内した。


「アリエス皇女様、お手紙が届いております」


アンが白を基調とした金色の細工が施された重厚な扉の前で声をかけた。


「どうぞ」


扉の向こうから、とても幼い、理知的で静かな声が聞こえてきた。

おお、アリエス姫。なんとも愛嬌のある涼やかな声だろうか。

どこか影があるように、掠れてはいるが、そんなの問題ない。


アンは扉を開け、私は部屋に入る前の一礼をする。


「失礼いたします、皇女様」


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