ロリコンは、死んだ
ロリコン。
其れは神の定めた原罪。
現代社会における最大の罪。
神の定めた「ロリコン三原則」
一、触らずの誓い
二、愛でまくりの誓い
三、見守りの誓い
これを守れば、あなたも今日から幼女ライフ。
さぁ、愛でましょう!
禁断の……。
従姉が結婚し、その半年後に娘を出産した。
さらに数年が経過して、すくすくとかわいらしい幼女に育った。
私、愛染竜子はその日、従姉の娘の誕生日プレゼントを買いに出ていた。
職業は人にいうものではないが、「外人部隊」に所属していた。筋肉ムキムキ、マッチョマンの変態とは私のことを意味するのだろう。
某コマンドー先輩に憧れていた。
なぜかって?
幼女ジェニーが大好きだからさ!
私はシュワちゃんがジェニーを救う物語に憧れ、あんな風に大惨事世界大戦を巻き起こしたかった。
まず、陸上自衛官になり、米軍との交流を通し、フランスへと渡った。 中東でテロリストを倒し、中東の幼女を救ったこともある。
正直、濡れた。
外国の幼女に不埒なことをなす民兵のイチモツをナイフ一つで掻っ捌き、東南アジアの幼女を売春窟に追いやった裏社会の連中に硫酸の雨を降らせた。
そう。
世界のペドフィリアというペドフィリアを抹殺し、幼女たちの平和的な世界を築きたい。
それが私のレゾンテール。
しかし、そんな私の生涯は、親戚の幼女のために散った。
悔いは……ある!
老人が車を運転し、ブレーキと間違えてアクセルを踏んで急加速をしたのだ。
さすがに訓練を受けた私も突然の鉄の塊をかわすことはできず、三十二年の生涯を終えた。
悔いはある!
悔いがある!
悔いしかない!
神様、お願いします!
私の! 私のための! 私だけの幼女を!
――――愛染、愛染竜子
「こいつ、直接脳内に……じゃなくて、どちらさんでしょうか!?」
いつの間にか、私は海のようなコバルトブルーの空間にいた。
体がふわふわと宙に浮いている。
――――どちらさんというか、私は君たち人間でいうところの「神様」ってやつだ。
「おお、神よ! お願いしゃっす!」
私は鍛えぬいた体幹を武器に、宙に浮いた無重力の空間の中で全力土下座をした。
「どうか! どうか来世は幼女を! ロリを堪能できる充実ライフをぉ!!」
――――えぇ……。
「お願いします! なんでもします! 世界を魔王から救えと言われれば、人類を救いつつ幼女を堪能します!」
――――義務がついで!?
神と呼ばれた存在は実体がないのか、頭上に広がっている光明からエコーがかった声が聞こえるだけだ。
「パワーをメテオにして悪魔を討ち滅ぼせとおっしゃるなら、サタンの首を献上いたします! 幼女を愛でながら!」
――――あのね、君。君の欲望のせいで現世で何人殺したと思っているんだ?
「そりゃあもう殺しまくりましたとも! ロリを守るために!」
――――その罪を悔いたりしないのか?
「は? 何言ってんの神様。殺したの幼女を食い物にしてる連中ですよ? 生かしとく価値ありますか?」
この神様とかいうやつもロリコンかな。
私はとっさに身構えた。
――――では、なにがなんでも人を殺した罪は悔いないんだな?
「ええ! 悔いるくらいなら、この世の幼女全てを救済します! 私の命を賭けて!」
――――ほう、自己犠牲か。見上げたものだ。ならば、その覚悟、いつまでつづくか見ものだな。
「ええ、お任せください! 世界中の幼女は無理かもしれませんが、目の前の幼女は救って見せましょう!」
しょう! しょう! しょう! しょう! しょう! しょう……
――――エコーさせるな!では、愛染竜子。貴様の来世はとても険しいものだ。これから貴様が守る幼女には好かれないだろう。その子は神の恩寵を授かっているが、その世界の誰も彼女を愛さなかったからだ。
「なんてかわいそうな子! 今すぐ抱きしめたい!」
――――愛染竜子。頼んだぞ。
高圧的な神様だったが、その一言だけはまるで親のような優しさの帯びた声色だった。