40話 最終決定権。
40話 最終決定権。
「今日から、この国は、先生の国だ! 先生の先生による先生のための国! 先生を崇め、先生を称えるだけの国に生まれ変わった! つーわけだ! いいなぁああああああ、てめぇらああああ!!」
その場にいるすべての者に、宣言をするデビナ。
呆けた顔をしているパナーや、トースの元側近たち。
「とりあえず、先生が帰ってくるまでの間は、あたしらが、この国のすべてを支配すっから! そこんとこよろしく!」
「し、支配……と、いいますと……」
「ま、最終的には先生の意向次第だから、結果的にどうなるかは知らんけど、殺戮と暴虐がこの国……いや、『この世界』の『ベース』になるのは間違いねぇ。なんせ、あたしらの先生は究極の邪神だからな!」
「邪……神……?」
絶句しているパナーの顔を見て、
「かははははは!」
「おほほほほほ」
二人の女神は、禍々しく笑った。
その邪悪な笑顔を、数秒ほど茫然と見ていたパナーは、
「……ん、んん……んー……ん」
決意したような顔をして、
「と、闘神様!」
「あぁ?!」
「あのクソ野郎を成敗してくださった事、心から感謝しております。あのクズを排除してくださった闘神様たちの支配ならば、喜んで受けさせていただきます。ボードロの民は、闘神様の忠実なる下僕として働くことを誓います。神々の意向に異を唱える愚か者は、この私が、この手で切り捨てると誓います! ですので、どうか! わずかでもいいので、御慈悲を! この国を繁栄させてくださるのなら、どんな命令にも従いますゆえ、どうか、どうかぁ!」
「だから、方針の最終決定権は、絶対神である先生次第だぁ、つってんだろ」
「けれど、お師匠様が御帰りになられるまでは、あるていど、わたくしたちに裁量権があるわけですし、この者の願いを一時的に叶えてあげてもいいのではないですか?」
「んー、まあ、そうだな! てか、ぶっちゃけ、支配とか、ガチでやると、鬼メンドくせーからな!」
「決まりですね。えっと、あなた、お名前はなんでしたっけ?」
「は! 元ボードロ神国第三皇女、パナー・ザル・ハイアルス・クライエルと申します!」
「なげぇよ!」
「パナーとお呼びいただければ!」
「はーん、つーか、お前、元王女なんだ。へー。マジもんのお姫さまか。……全然、想像してたのと違うんだけど」
「あのカスに王位を奪われた後は、勇者として、レジスタンスのリーダーをしておりましたゆえ!」
「かはは! ゲームの主人公みてぇな経歴だな! おもしれぇ! よし、お前がこの国を仕切っていけ! あたしらの命令がない内は、なんでも、お前の好きにしていいぜ!」
「よ、よろしいのですか!」
「ああ! ぶっちゃけ国を動かすとかタルいし、特にやりたい事とかもねぇからなぁ! な、いいだろ、色雪!」
「別に、なんでもかまいません。比較的女が多いということ以外、この国に、さほど価値があるとは思えませんので」
「よし、決まりだな! あ、でも、女の選別だけはさせてもらうぜ! 今、あたしの兄弟子が、なんか知らんが、弟子を募集してんだ!」
「闘神様の御弟子に……なんと……あの、わ、私も、是非、弟子にしていただきたいのですが!」
「んー、ま、いいんじゃね? ビッグよりは才能ありそうだしな! でも、この国の指揮も同時進行でやってもらうぞ!」
「あぁあ! すべての願いが、今、叶いました! 絶望の底でも、希望を捨てず、必死に生き抜いてきてよかった! 偉大なる闘神様! 究極たる女神さま! 心から感謝いたします!」