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18話 変身。


 18話 変身。


「ちっ。クソの役にもたたないわね」


 呆れたようにそう言いながら、A1は闘気を集中させる。

 鼻で息を吸い、ゆっくりと口から吐く。

 全身が闘気で充満していくのを感じる。


(大丈夫。ゲイルの力は大体分かった。ギリギリだが勝てる。私はA1。御大とS1・S2を除けば、人類最強の戦士。この程度なら、なんとかなる)


 A1の目に、より強い光がともったのを見て、

 ゲイルは、


「フンっ」


 と鼻で笑い、


「ウザったい目だ。気に食わん。必要ないかもしれないが……まあ、害虫(人間)駆除の役目もあることだし、こんなところでグズグズ遊んではいられない。変身して一気に終わらせる事にしよう」


「……へ、変身?」


「と言っても、闘気の質が変わるだけだがね」


 そう言うと、ゲイルは、腹の底に力を込めた。

 その直後、彼を包んでいたオーラが漆黒に輝きだす。


 ギチギチ、バチバチと、大気に干渉するほどの高エネルギー。


(なっ……圧力が大幅に増した。……こ、ここまで上がるのかっっ!)


 爆発的な力の増加を感じ取ったA1は、


「A7、逃げろ! こいつは、私たちよりも強い!」


「は、はいっ!」


「ははは、逃走を簡単に許すほど愚かに見えるかね?」


 逃がすまいと腰を落とし、襲撃の構えをとったゲイルに、

 A7は、両手を向けて、闘気を集中させ、叫んだ。


「閃光闘気!!」


 カッッっと、特殊な輝きがゲイルの視界を包み込む。

 刺さったような輝きに、視力を奪われた!


「ん……なっ! ちぃい、目が……ただの光じゃないな……ちぃい!」


「急げ、A7! モタモタするな! この男の潜在能力は我々よりも遙かに上! S1の力が必要だ!」


「は、はい!」



 ★



「――ちぃっ」


 十秒ほどで視力は戻ったが、


「あのクソアマ、角理粒子を捻出できるとは、ザコのくせに、こしゃくな……ふん、まあいい。あいつらは、間違いなく、この世界の『防人さきもり』。防人には、例外なく、その世界の最強種をそろえるもの」


 世界を守るための盾は、どの世界も、例外なく、最も強い者を配備する。

 つまりは、防人のレベルが、その世界のレベルとイコールになる。


「くくく、あいつら程度なら、何人いても問題無い」


 ゲイルは、首をポキポキと鳴らし、

 背後の『ルート』を見ながら、


「軍が通れるほどの大きさになるまで……あと三日といった所か。害虫駆除は、二日目以降に回してもいいな。まずは、殺戮と蹂躙を楽しませてもらう。とりあえず、どこかで一人攫って、一般人の耐久度チェックから……ん?」


 人通りの少ない路地裏を、一人の男が歩いていた。

 杖を持ち、白い半纏を着たその男は、


「意味わかんねぇよ。どういうことだよ。アガリが熱いって、そんなもん当たり前じゃねぇか。なのに、杖振り回してどなり散らしたあげく、勝手にへし折っておきながら弁償しろ? ふざけんな。死ね、あのジジイ、マジで地獄に堕ちろ。まだ今日の分の包丁、研ぎ終わってないんだぞ。これ、絶対、片付け0時過ぎコースだよ、クソが。おまけに手土産の御菓子も買ってこい? いい加減にしろよ。てか、このメモ、字が読めねぇ。どこの店だよ……ジ、ジオーク……ノウカ……読めねぇんだよ、クソが。達筆も過ぎれば、ただの読めない下手な字なんだよ、ボケが」


 ブツブツ言いながら歩いている男。

 その男は、ゲイルが通ってきたルートを見つけると、


「ん? うわ、なんか、空間が歪んでる。なんじゃ、こりゃ」


 おののきながらも、その男――ゴード・ザナルキアは、内面はそれなりに冷静なようで、


「……この世界特有の現象かな? ……なんか、いろいろとおかしな世界だなぁ……」


 ブツブツとそんな事を言っている。

 非常にみすぼらしいゴードの姿をジっとみつめるゲイル。


(トロそうだが、頑丈そうだ……こいつにするか)


 ゴードをロックオンしたゲイルは、


「おい」


 天から見下ろすような眼で、虫にでも言っているかのように、


「貴様は今から私のペットだ。光栄に思え」


「……はぁ?」


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