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10話 ざまぁないね、ふぅ!!


 10話 ざまぁないね、ふぅ!!


 半ば無理矢理やらされている修行の合間、わずかな時間をみつけて、大東京帝国皇帝アイム・ソーリは、『例の連中』の一人、コードネーム『A2』と密談していた。


「無限の悪意を纏う邪悪の象徴、生まれたばかりの赤子の血肉をすすり嗤う悪神。生死の全てをオモチャにする、混沌と殺戮を司る邪神……か。また、厄介な神が降臨してしまったものだ」


 黒いフードを深くかぶったままそう言うA2に、アイムは、焦った顔で、


「はやくっ! 一刻もはやく、『サバキ』の方で対策を!」


 歴史の外側で世界を守ってきた人類最後の希望。

 完全不可視の最終防衛ライン。

 究極にして最強のメンバーで構成された、世界を守る秘密結社『サバキ』。

 そのメンバーの一人であるA2に、アイムは、すがるように、


「神々はヤバい! やつらは異常だ! 力よりも何より、あのイカれた思想がヤバい。邪神を崇拝している段階で完全にアウト。あの連中は――」


「落ち着け。理解している。そう、あわてるな。最悪の時は、『御大』に出張っていただくだけの話。御大に勝てる者など存在しない。それがたとえ神であろうとな」


(そうである事を願いたいが……噂の無双仙女が、一体どれほどの存在なのか、実際の所はまるで知らないから、安心などできるはずがない。というか、無双仙女なんて、本当にいるのか? こいつらが信仰している神でしかない……そんなオチじゃないだろうな)


 アイムが、つい、不安を顔に出してしまったのを見て、A2の背後にいた、まったく同じ形状のフードで顔を隠している女が、


「ひとついいかしら。その、降臨したという神々が、ビッグを弟子にしたというのは本当?」


「え、あ、ああ。らしい」


「そう。じゃあ、心配することないわ。所詮はその程度ってことでしょ?」


「……ん? 意味がわからんのだが……」


「私の視点ではビッグなどゴミに等しい。時間の無駄でしかないから、どんなに懇願されても育てようなんて思わない。あの程度のカスを弟子に取ったという事実が、神を自称するバカ共の底を如実に表している」


 フードで顔を隠した女――『S1』の言葉に、同じくフードで顔を隠したA2が鼻で笑いながら、


「人類史上二番目に強い化物超人であるあなた……S1を基準に考えられても困りますがね。あなたは強すぎる」


「その私をはるかに超える究極の力を持った偉大なる御方――『無双仙女』という最強超人が人類側についている。結局のところは、それだけが、この世界の答え」


「ですね、ははっ」


 A2は、余裕の笑みを浮かべて、


「すべて、S1のおっしゃる通り。人類は、人類の意志を尊重し、人類の意志を基盤として推進していく。その道に壁は必要ない。悪神には退場願おう。今すぐにでも」


 こうして、人類の最終兵器『サバキ』が動き出す。

 世界がうねりだす。



 ★



 ――なぜ、こんなことになっているのですか?

 ゴードは、神に問いかける。


 ちょっと、流石に、あまりにも理不尽が過ぎませんか?

 返事などない。

 きっと、神などいないのだろう。

 答えのない問いだけが、いつだって虚しく、ゴードの心の中で溶けていく。


「とりあえず、男は殺しておくのがベストだろ」

「だな」

「間違いない」


「で、方法だが、時間もないことだし、頭を一撃で粉砕するってことでいいか?」

「だな」

「問題ない」


 今、ゴードの目の前では、三人の暴漢が、自分の殺し方について話し合っている。


 マイに『近道だ』と言われて入った路地裏で、二人は絡まれた。

 そして現状。


 ゴードは三人の暴漢の会話を黙って聞いていた。

 自分の後ろでは、震えているマイがいる。

 自分を荷物持ちのパシリにしていた、いけすかない金持ち女。


 薄暗い路地裏でも鮮やかに輝くピンクの髪を、小刻みに揺らして身を縮めている。

 そんな、怯えきっている彼女を見て、ゴードは、



(ざまぁないね! ふぅ! ざまぁないねぇ!)



 心底からそう思った。

 正直な話、マイが犯されようが殺されようが自業自得だとしか思わない。


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[一言] 組織とゴードの関係はP1戦感がある。 P1がゴード
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