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先へ

「ところで、この左手の紋章は何かな?気が付いたらあったんだけど、擦っても消えないし」


ギクリ


「ね、ねぇハリルには本当の事を言った方がいいんじゃない?」


「でも、ハリルに余計な心配かけたくないし…」


「なんか二人共隠してる事ある?」


「ぜ、全然?隠し事なんかないんだからっ!」


イルミナ、嘘つくの下手だなぁ。


「ふーん、まぁいいけどさ。ところで僕達また人間の領土に向かってるんだよね?」


「そうよ、ランテールっていう町に向かってるわ」


「何か目的があるんだね」


「そこにいる勇者に会うの」


「へー、勇者か‥‥勇者!?イルミナ、ちょっと待って、勇者ってあの勇者!?」


「そうよその勇者よ」


「勇者といえば、僕達魔族の王、魔王に相対する相手じゃないの?」


「そうなのよねぇ‥」


「そうなのよねぇってそれだけ?あった途端に斬りかかってくるんじゃないの?」


「かもねぇ‥」


「えぇ‥」


二人の不安をよそにアリスは黙々と目的地へ向かっている。


「‥姉さんと関係あるの?」


「あるわね、貴方が倒れたあと色々あったのよ」


イルミナは、ハリルが斬られたあとアリスが攫われたこと等を詳しく話聞かせた。


「なるほど、じゃあ僕はそのナイトっていう人に助けられたんだね」


イルミナは、アルトのことについては話さなかったがその経緯だけはハリルに話した。


「その話と、この紋章は関係あるのかな?」


ビクッ


「さ、さぁ〜?」


「ぷっ」


「あ、今笑ったわね!」


「だってイルミナ嘘つくの下手なんだもん」


「う、嘘なんかついてないんだからっ!笑うなー!」


「あはは、ごめんごめん」


「二人共、そろそろつくわ」


三人はコルピの実を飲み込むと町へと入っていった。


「結構賑やかな町だね」


「そうね、でもあまり目立つことはしないほうが‥」


「すみません、ちょっと聞きたいのですが」


「ちょっと、アリス!?」


アリスは一人の老婆に話しかける。


「はいはいなんでしょうお嬢ちゃん」


「この村に勇者がいるって聞いたのですが」


「おやおや、貴方旅人かい?勇者様なら今は神殿の方へいらっしゃるよ」


「神殿?」


そういえば、アルトがいた町にも教会があったな。


「隣の町にもそういう場所がありますよね」


そういうと、老婆は急に不機嫌な顔をした。


「ヴァリアントなんかと一緒にするんじゃないよ!あんな野蛮な奴らとは一切関係ないのさ」


「ヴァリアント?」


「あぁ、私達のやり方が気に入らないからって、別れた宗派の奴らだよ。奴らは隣町にヴァリアントとかいう自分達の宗派を立ち上げてね、おまけに擬似勇者ってのを人工的に作り出しちまったらしいじゃないか、そんな奴らと一緒にせんでくれ」


擬似勇者‥、アルトのこと?つまりここの町とは対立しているみたいね。


「すみません、ありがとうございました」


「あんたら、勇者様に会いにいくのかい?今は無理だと思うわよ」


「どうして?」


「今は神殿に籠もってらっしゃるから、次出てくるのは何時になることやら」


「‥そうですか、ありがとうございました」


話が終わると建物の影からイルミナとハリルがこそこそ近寄ってくる。


「‥どうしたの?こそこそして」


「姉さん大胆すぎるよ」


「そうよ、貴方すでに一回捕まってるのに、よくそんなに普通に話せるわね」


そういえば、二人は人間の町に入るのは初めてなのか。


「大丈夫よ、今の見た目は人間だし」


「そ、そうだけど‥」


「それより、場所が分かったわ」


「ほ、本当に行くの?」


「ここで、待っててもいいけど」


「い、いくわよ!」


おどおどしながらも、結局三人で神殿へ向かうことになった。神殿はすぐに見つけられた、周りの建物とは明らかに違う場所が町の中心部にあったからだ。入口だろうかそこには何やら光の紋章のようなものがあり、その前には見張りが付いている。


「あれは、結界ねあれがある限り中へは入れないわよ?」


アリスは目を凝らす。


分厚い魔力の障壁が張られているのが見える。だけど、ある一定の波だけは中へ流れ込んでいる。つまり、資格のある者だけ入れるようなものということ。


「なんとかなるかも」


そう言うとそのまま門の方へと迷いなく進んでいく。


「止まれ!」


案の定門兵に阻止された。


「貴様たち、ここは神聖なる場所だ。貴様らのような子供が入れるような場所ではない、立ち去れ」


「この中へはどうやって入るのですか?」


「お前達、話を聞いていたか?ここは選ばれた人間しか入れぬ場所だ、私達ですら中へは入ったことはない。分かったら早く立ち去るがいい」


「は、ははそうですよね!失礼しました!」


ハリルはそう言うとアリスの手を引っ張るがアリスは門の前から動こうとしない。


「ちょ、ちょっと姉さん?」


この紋章、見たことある。


チラッ


ハリルの手の甲に刻まれた紋章、アルトがハリルを助けるために受け渡した擬似紋章だ。


アリスはハリルの手を取ると、その結界へとかざした。すると、紋章が共鳴し始めた。


キィィィィイ


途端にハリルが光の中へ吸い込まれていく、それに続くようにアリスはイルミナを半ば強引に手を引きその中へと入っていった。残された門兵は、何が起きたかわからぬ様子で顔を見合わせていた。


「ちょっと、ここどこよ!?」


「神殿の中」


「えぇ!?どうやって入ったの?」


神殿の中はキラキラと光り輝いており、水のせせらぎの音と一面の花が心を三人の目を釘付けにした。


「綺麗」


「室内とは思えないわ」


???「誰ですか?」


神殿の中心部に人影が見えた。それは、こちらを振り向かずゆっくりと立ち上がるときれいな金髪をなびかせていた。おそらくあれがアルトの言っていた勇者だろう。


「客人を呼んだ覚えはないのだけど、それも、魔族の客人だなんて」

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