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仮染めの名

ガキンッ


「何を…何をしているのだナイト!!」


ナイトの剣はアリスの首ではなく、繋がれていた鎖を断ち切っていた。先程まで叫んでいた人間達もシンっと静まり返っている。


「僕には彼女を殺すことは出来ません」


「なにを馬鹿なことを、今更怖気ついたのか?お前は家族を殺した魔族共に復讐するのではなかったのか!」


「その通りです、それだけが僕の生きる意味でした」


「ならばそいつを殺せ!今まで散々殺してきただろう、今ならまだ間に合うそいつの首をはねろ!」


ナイトは黙ってアリスの身体を抱えた。


「何を…する気だ?」


「彼女を連れて行きます」


どういう事だ?何が起こった?まさか、この魔族に洗脳されたか?今更心変わりするなど有り得ん、その様に育てたはずだ。


「その意味を分かっているのか?私を、いや人間を敵に回すのだぞ」


「それでも構わない、僕は彼女を助ける」


「っぐ…逃げ切れると思うのか」


ナイトは何も言わず背を向けた。


「ナイト!!」


「違う!僕は…僕はアルト・アレイスタだ!」


そう言うと走り出した。


「ど、どうしましょうか神父様」


「ナイトは血迷ったようだ、直ぐに捕らえろ!抵抗するようなら殺しても構わん!」


「はっ!」


育ててやった恩を忘れおって、まぁ代わりはいくらでもいる。それよりも聖剣だ、あれを回収せねば。


アルトは正門まで一直線に走っていた。


「な…にをしているのナイト…」


「見てわかるだろ、君を助け出しているのさ」


「駄目よ、そんな事をしたら…貴方人間も敵に回すのよ?」


「元よりあの時から僕は1人さ、今更孤独になった所で何も困りはしない」


「馬鹿…お前は本当に馬鹿だよ」


「僕はもう姉さんを見捨てたりしない、()()()()()()()()()()()()


「…アルト」


「そっちに行ったぞ!」


「回り込め!」


正門まで着いた時だった、アルトは足を止めた。


ゴゴゴゴ


正門の横にあった巨大な像が急に動き始める。


「っち、ガーディアンゴーレムか」


ゴーレムは持っていた巨大な剣を振り下ろすと、軽々と地面を抉りとった。


ボガッ


「ハアッ!」


ガキンッ


くそっ、駄目だ聖剣では神聖の力を帯びたガーディアンゴーレムを傷つけられない。


「アルト、私を置いて逃げて、あなた一人なら逃げ切れる」


「言っただろう、もう見捨てたりしないって」


グオオオォォ


ドガッ


「こっちだ、急げ!」


くそっもう衛兵が集まってきた、このままじゃ囲まれる。


アリスはゴーレムへ視線を送った。魔力の流れは魔族とは違うけど、これなら操れるはず。


ガッゴゴッ


ゴーレムの動きが鈍った!?これなら抜けられる。


アルトはゴーレムの隙間をぬい、正門をくぐり抜けた。


「神父様、ナイトは正門を抜け、森の中へと逃げた模様です」


「絶対に逃がすな!何としても聖剣を取り戻すのだ!」


「はっ!」


くそっ、何でこうなった?この処刑で私への支持も上がったというのに!このままではナイトを育てた私への不満を言い出すやつが出てくる。そうなる前にナイトを捕えなければ。


久しぶりに魔眼を使ったせいか、反動で頭の中がクラクラする。


「何処に…向かっている?」


「魔族の領土に君の故郷に行く」


「…無理だ」


「ははっ、走ってそこまで行くのは確かに堪えるだろうね、でも大丈夫聖剣は僕に生命エネルギーを与えてくれる、だから…」


「そうじゃない!お前が魔族領へ行けば結局殺される」


「…構わない、それで姉さんが助かるのなら」


「駄目だ…そんなのは…」


「…」


「はい、そこまで」


「!?」


ボッ


急に目の前に炎の壁が現れ2人の行く手を阻んだ。


「お前は…アルフレッド」


「ピンポーン、最強魔術師のアルフレッド様よ。でもまさかあんたが裏切るなんてね、あれだけ魔族を憎んでいたのに、まぁでもこれで正式にあんたを殺せるって訳、前から気に食わなかったのよね、坊やのくせにさ」


「邪魔するなら、斬る」


「アハハ、あんた調子にのってるわね?神父様の命令だったからあんたの下に付いていたけど、私の実力はあんたより上よ、それにソイツを守りながら私と戦えるのかしら?」


「さぁ、黒焦げになりなさいな!」


???「させないわ!」


不意にフード姿の人物が二人の間に割って入った。


「お前は…」

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