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きみについた嘘
不思議なんだ
友達や恋人には平気で嘘がつけるのに
きみに嘘をつくとき
ほんとうにこころが痛む
あとでお散歩に行こうね
あとでおでかけしようか
あとで遊んであげるね
きみは目をきらきらさせ
大喜びでしっぽをふる
このやさしい小さな魂へ
嘘をつくにみあうほどの理由は
このぼくにあっただろうか
そしてある日、年老いたきみは
冷たく固くなってしまった
もう二度としっぽをふってはくれない
そしてぼくは
空っぽのきみの寝床や皿を見ながら
きみのいた毎日と
きみについた数多の嘘を思い出す
ごめん
きっときみはとっくの昔に
許してくれてたろうけども
ごめん