電車に乗ると何故か眠たくなるけど、疲れは取れない。-アース-
男はこんな状況になると想像していなかった。たまたま見つけた人の群れが子連れだったことで、気が緩んでいた。大人はたったの2人、あとは子供が3人。人数こそ自分たちよりも多いが、簡単な相手だろうとたかを括っていた。
この世界に家族で草原を移動する事はあり得ない。ならば、帝国軍の試験受験者である事は明白だった。
仲間の3人に人がいる事を伝えると、仲間は言葉を交わす事なく、お互いに視線をやり、ただ頷いた。
男は体を出来るだけ小さくし、物音をたてないように必死に努めて、目標へと近づいた。そして、男達は息を合わせるように一斉に飛び掛かった。
その後の事は一瞬の出来事の様に感じた。
男達は誰一人、一矢報いることなく、倒れ込んでいた。
大の大人が非力であるはずの子供相手に横たわり、身長では自身の2/3程度の子供に見下ろされている。男はとても自分が小さく、感じた。
仲間の一人はどこからともなく、放たれた矢に倒れた。別の仲間は、少女目掛けて剣を振るったが、容易く躱された。また別の仲間は女相手に剣を抜くこともされずに倒された。
男の目は涙があった。
「このガキッ!」
「はい、子供です。でも、貴方よりも僕は強い。」
「ッ!」
男は声にならず、奥歯を噛み締め、顎の周りの筋肉が盛り上がり、噛み締めるための力を支えている事を感じた。
「プレート、いただきます。」
子供はそう言うと、男の服を探り、プレート1枚を手に取った。
「何故負けた。俺たちは負けるはずがなかった!俺たちには大切な人を探して、見つける目的があるんだよ!…はぁはぁ、だからッ!負けるはずがない!プレートを返せッ!」
男は立ち上がり、手にしていたナイフを握りしめていた。
男の足はしっかりと地面に力を伝えていた。それはまるで、樹木が高く聳え立っているかの様に、力強く、生命力に溢れた立ち姿だった。
「トール!そいつ、なんかヤバイぞッ!」
スキンヘッドの男は片手斧を右手に持ち、男の前にいる少年に向かって言った。
男の前にいる少年も何かを察知したのであろう。武器こそ持っていなかったが、素早く、体の前で両手をクロスして構えた。
「俺たちはッ!負けない!会いに行くッ!邪魔をするなッ!」
男の前にいた少年は男の気迫に圧倒され、一歩足を引いた。
男の気迫は周りの木々や地面をゆっくりと揺らしていた。
男は握っていたナイフを振りかぶった。そして、その凶刃は少年へと向けられた。
「俺たちはッ—————————」
男の刃は少年に届く事はなかった。
「自分勝手な男はタイプじゃないの。でも最後の貴方はとても良かったわ。ふふっ。」
男の視線は横になり、地べたから見上げていた。体を動かす事は出来ず、ただ少年を見ている事をしか出来なかった。
(なにが、どうなった、、、。)
男は考える間もなく、視界が真っ暗になった。
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Marty




