人の話の内容を覚えるのは3つが限界。
「友達と家族に会いたいからか。まあ、大体、そうだよな。
でも、魔法を教える事は出来ない。」
ニックの師匠はトールを見据えたまま、トールに向かって言った。トールは頭を上げずに、深々とお辞儀した姿勢のままだった。
トールは簡単に引く事は出来ないと思った。ここで簡単に引いてしまえば、トールはこの先、シャオや家族を見つけて、会うことが出来ないと感じていたからだ。
「頭を上げろ。
別に、魔法を教えたくないからじゃない。」
「えっ?」
トールは思わず、ニックの師匠の言葉に反応して、頭を上げた。
「ハハッ、簡単に頭を上げたな。」
ニックの師匠は大股を開いて、椅子に座っていた。腕組みが癖なのか、椅子に座っている時も腕組みしていた。
「師匠は意地悪ですね。
でも、簡単に魔法を教える事が出来ない理由があるんだよ。」
ニックは棚から皿を出しながら、トールに向かって言った。
「理由?」
「そうだ。私達は魔法教会に所属している。その魔法協会には掟があってな。」
「どんな?」
ニックの師匠は人差指をピシッと立てて、話を始めた。
「
・魔法を教えて良いのは師弟関係にあるもの。もしくは、準師弟関係にあるもの。また、魔法士同士もこれを許可する。
・準師弟関係とは教会から師弟認定の為の条件を通達されてから達成する為の期間を指す。
・上記の魔法とは紋章魔法を差す。
・上記を破りし者は例外なく、教会から追放となる。また、上記掟を破った者には刺客が差し向けられる。
・指令や依頼は教会所属の魔法士にのみ与えらえれる。
・教会所属の魔法士になる為には魔法学校を卒業することが条件となる。
以上だ。」
トールの目は先はどの力強さを失い、その表情は生気を失っていた。
「ハハッ!おい、ニック!コイツ見てみろ。スゲー面白い顔してるぞ!」
ニックの師匠は大きく口を開け、眉を八の字にして、家の外にも聞こえそうな声で笑っていた。
「師匠…そんなに笑わなくても。」
「いやいや!こ、コイツの顔が!ハハッ!」
ニックの師匠は蹲り、お腹を押さえて、込み上げてくる笑いの衝動を抑えていた。
「ハハ…いや、悪かった。」
ニックの師匠は先程よりも落ち着いていたが、目には涙が浮かんでいた。
(どんだけ、笑ってるんだ。)
トールは次第に怒りが込み上げ、眉がピクピクっと反応した。
「まあ、そう怒るな。そう言う理由で、お前には魔法を教える事は無理だ!」
トールは拳をギュッと握り、奥歯を噛み締めて、ニックの師匠を見た。いや、見たと言うより、睨んでいると言う表現の方が正しいだろう。
「ハハッ、ここで師弟関係にツッコミがないって事は、もう既に誰かと師弟関係を結んでるって事でいいか?」
ニックの師匠はしたり顔でトールを見た。
「ッ!」
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Marty




