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燃える、覚悟。

  雲が通り過ぎていき、月明かりが差し込んだ。トールはそこでやっと自身が何処どこにいるのか、確認する事が出来た。




 「森の中…?」



 トールは森の中にいた。立ち上がる時に着いた手と背中は濡れていた。しかし、トールはそんな事を気にしている状況ではないと思った。



 シンとの間は崖になっており、その崖は木製の橋で繋がっていた。崖に掛かった橋は風が吹く度に小さく揺れていた。

 



 「シンーーッ!なんで僕、森の中にいるんだよーーッ⁉それに、下山しろって、家からの場所は⁉︎」



 トールは思い付いた疑問をシンに向かって叫んだ。





 「説明が面倒だから端的に言うぞ!俺が寝ているお前を連れて来た!特訓は始まったから、自力で家まで帰って来い!アドバイスはない!じゃあな!」



 そう言うとシンは手に持っていた松明の火を木製の橋へと近づけた。



 「何やってるんだよ!」



 トールはシンの行動を見て、勝手にあると思い込んでいた安心感がなくなる様な気がした。



 たった1日ではあるが、シンと一緒にいる事で転生されてからの不安から目を背ける事が出来ていた。

 


 あの孤独を味わう事を想像するとトールは心が痛くなった。


 

 松明の火は橋へと移り、吹き抜ける風が後押ししたのだろう。橋を這う様にゆっくりと燃え出した。点火された炎はシンの足元で時折、弾けた音を出し、




 炎が「こちらへ来るな。」とトールに言っている様だった。



 トールはその炎を見続ける事しか出来なかった。橋は長く、橋が燃え落ちるまでに駆け抜ける事はトールには出来なかった。





 「退路を断つ。」





 そう言い残すとシンは猛々(たけだけ)しく燃える炎の奥へと姿を消した。

 

 



(くそッ、なんでッ⁉︎…いや、違う。これぐらいの事、超えていかないと試験に合格出来ない!)




「でもッ!シンッ!!絶対に許さないからなー!」




 トールは拳を握り締め、振り返り、燃える橋を背中に歩き出した。




——————————————————-

数多くある作品から「黄昏時に見る景色は何よりも美しい」をお読み頂きありがとうございます。


下へとスクロールすると『☆☆☆☆☆』が出て来ます。大変励みになりますので、評価お願いします。


Marty

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