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小さな体 -アース-

今後の方針を話していた3人の頭上に小石がパラパラと落ちて来た。


3人は上を見上げた。


グリーデン

「ん?」

グリーデンは頭上を凝視するが何も見えなかった。誰かが居ると思ったが、その姿を確認することは出来なかった。蒼く澄み渡った空が見えるだけだった。


シャオ

「グリーデン‼︎頭を下げろ‼︎」


グリーデン

「ん⁉︎」

グリーデンはシャオの方を見ると自身が腰に携えていた片手斧をシャオが持っていた。グリーデンは理解が出来ていなかった。目の前のシャオは刃をグリーデンに向けていた。


グリーデン

『俺の斧⁉︎、、、なんで⁉︎、、、俺、このままじゃ、、、』


アン

「グリーデン‼︎」

アンの言葉でハッと我に返ったグリーデン。その後は咄嗟とっさの行動だった。体を地面につけてシャオが振り抜く片手斧の軌道から己の身を守った。




『イヂヂヂヂ』




シャオ

「何なんだ、この奇妙な生き物は⁉︎」

シャオが片手斧を振り切った相手は胴体の左下から右肩にかけて、裂け目が出来ていた。


その奇妙な生物はやせ細った体に体毛はなく、大きな目がギョロっとして体は褐色の色をしていた。

傷口を抑えるように手を当てて、一歩引き下がった。


アン

「嫌だ!なんなの⁉︎」

アンは一歩引き下がった。目の前の見た事がない生物に恐怖していた。


グリーデン

「おいっ!お前何するんだ⁉︎」

グリーデンは混乱している中、シャオに問いかけた。


シャオ

「グリーデン、後ろ見て。」

シャオは奇妙な生物を見たまま言った。


グリーデン

「後ろ⁉︎」

グリーデンは地面に伏せたまま首を後ろに向けて、シャオの目線を追った。


グリーデン

「こいつは、、、″悪魔″だな。」


シャオ

「″悪魔″、、、」


アン

「″悪魔″なんて本当にいるの?」


グリーデン

「ああ、この世界じゃあ結構いるぞ。見たところこいつは下位の″悪魔″だな。」


シャオ

「じゃあ、これくらい倒せないと、この世界じゃ生きて行けないってことですね。」

シャオは伏せていたグリーデンの後ろを向いた顔まで僅か数cmというところまで、足を踏み込んで、更にもう一太刀浴びせた。


″悪魔″は奇声を上げながら、後ろに倒れた。

シャオは初めて遭遇した″悪魔″を見事、討伐した。


アン

「凄い。」

アンは″悪魔″を倒したシャオの後姿を見て、頼もしく感じたと同時に恐怖と切なさを感じていた。『本当に一体今までどんな生活をして来たのだろうか。』とアンは心の中で呟いた。


グリーデン

「ああ、本当に凄いな。」

″悪魔″を倒したシャオを見上げて、グリーデンは呟いた。

今、目の前にいる子供は自身の脅威となる生物を瞬時に討伐し、最善、最適の行動を取った。グリーデンは同じ状況で同じ行動が取れるとは思えなかった。


シャオ

「何なんだ、一体。気配が全然なかった。」


グリーデンは立ち上がり、倒れた″悪魔″を見て、その後、シャオを見た。


グリーデン

「やっぱり、お前は凄いよ。戦闘訓練でも受けていたのか?」


シャオ

「戦闘訓練?いいや、受けていないよ。ただ目の前の敵を倒すことに夢中だった。」

シャオ自身も驚いていた。体がどうやって動いていたのか、覚えていないのである。

ただ目の前が真っ暗になり、気が付くと奇妙な生物が倒れていた。


グリーデン

「カッカッカッ!頼りになるな!」

グリーデンは体全体を動かすように笑った。



『バサッ』



シャオとグリーデンが音の方を見るとアンが腰を落としていた。


アン

「、、、どうしよう、、、立てない。」


アンは一瞬の恐怖から解放されて、腰が抜けてしまったのである。


シャオ

「もう、大丈夫だよ。」


シャオはそう言って片手斧を地面に置き、アンを優しく抱きしめた。

アンはシャオの背中の服を握りしめて、シャオの小さな胸の中で小さく震えた。


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