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始まり


 僕の世界は突然、大きく変わってしまった。


目の前には青い空の中に雲が浮かんでいて、周辺の草原に生い茂った草は風が吹く度に体を預けているように波打っていた。


少年は見たことがない景色の中でただ佇んでいた。


「ここはどこ、、、?」



ーーーーーーーーーーーーーーー


少年は友達と図書館に居た。


少年は図書館が好きだった。静かな空間で本をめくる音と文字を書いている音、そして、締め切っている窓から少し漏れてくる蝉の声。少年はこの空間がとても居心地が良かった。


 ここは丘の上にある図書館で、大きなガラスがあり、遠くの山まで見える最高の景色であることもより居心地の良さを引き立たせていた。


  ただ、自転車で来るしかないため、ここに辿り着くのにひと苦労することが難点であった。



 「その本好きだね。」


 真向かいに座っていたシャオが言った。


 彼はシャオ。

 細い目が特徴的な男の子だ。




「ん?そうだね。魔法が使えたら嬉しくない?」

トールは魔法使いが悪人を倒して英雄になる本を何回も繰り返し読んでいる。これで何度目だろうか。


シャオ

「まー。嬉しいし、楽しそうではあるけど、使えるわけがないから、考えたことがないよ。」


トール

「シャオは冷めてるなー。」


シャオ

「そんなことないよ。興味あるものは人それぞれだよ。」


トール

「シャオは何が好きなんだよ?」


シャオ

「僕は理科が好きだね。トールも勉強してみれば?まるで魔法みたいだよ?実験を繰り返しやっていけば、自分の知識と経験にもなるし。」


 トール

 「嫌だ。難しい話は嫌いだ。」

 そう言うと体を横に向けるトール。この図書館の椅子は円形で、座る部分だけ回るタイプの物であった。そして、横を向いた正面には大きなガラス越しに遠くの山が見える。


 シャオ

 「だろうね。ハハッ。」


 トール

 「今、馬鹿にされた?」とシャオを横目に見る。


 シャオ

 「そんなことないよ。」と言いながら、目を背けるシャオ。


 トール

 「やっぱり馬鹿にしたなー!」


 シャオ

 「ごめん。悪かったよ。」


 トール

 「いいよ、、、。あれなに?」


 シャオ

 「あれって?」とシャオもトールの目線の先を見る。




 青い空にはっきりと見える彗星がゆっくりと流れていた。





トール

「なんだ⁉︎あれ!」と興奮気味に言った。


シャオ

「彗星?テレビで見たことがある。」


明るい空にはっきりと見えた彗星。

そして、それはゆっくりと山の向こう側に消えていった。


数秒後、遠くのほうで大きな爆音が聞こえる。近くにカミナリが落ちた時の何倍もの音だった。


トール

 「なんなんだ⁉︎」

 驚きと戸惑いでトールはパニックになっていた。


シャオ

「分からない。でも、逃げた方が良い‼︎」

いつも冷静なシャオが叫ぶ。





次の瞬間。

衝撃波で正面の大きな窓ガラスが割れ、トール、シャオを含めた周りの人間が壁の奥に吹き飛ばされた。






トール・シャオ

「ぐっ!」






吹き飛ばされた人たちはトール達も含めて壁にぶつかった後、床にゆっくりと落ちていった。


シャオ

「痛っ!」


トール

「シャオ大丈夫か⁉︎、、、ゔっ!」

シャオに近づこうとした時に気づいた。




衝撃波で押しつぶされた感覚で吐き気と壁に当たった痛みがゆっくり込み上げてくる。





シャオ

「トールこそ大丈夫?」


トール

「。。。」

トールは答えることが出来ずに、手で口を塞ぎ、込み上げて来る吐き気を抑えることで精一杯だった。





周りの人達も同じ様な状態で、うめき声や泣き声が聞こえ始める。





図書館内はぐちゃぐちゃになっていた。




床には割れたガラスが散らばり、テーブルや椅子は衝撃波によって壁側に集まっていた。



本は元から本棚が壁側に設置されていたということもあってか、本はあまり散らばっていなかった。




トールは家具に押しつぶされなくて良かったと考えていた。


シャオ

「なにが起こってるんだろ?」


トール

「分からない。」

トールは吐き気も収まり、なんとか喋れる様になった。


手元にはさっきまで読んでいた魔法使いの本が落ちていた。


シャオ

「嘘⁉︎」


トールはシャオの顔を見て驚いた。その目は瞳孔が広がっていた。今までそんな目を見たことがなかった。その後、トールはシャオの目線の方を向く。


トール

「⁉︎、、、嘘だ。」


さっき衝撃波が来た方向から、土砂が波の様に迫って来た。まるで大波のように。誰一人逃すことはないと言われているように感じた。


その場にいた全員、恐怖で一歩も動くことが出来なかった。


トール

「シャオ‼︎」

トールはシャオに向かって手を伸ばした。


シャオ

「トール‼︎」

シャオも応えるようにトールに向かって手を伸ばした。






しかし、二人の手が届くことはなく、トールとシャオ含めてその場にいた全員が土砂に飲み込まれた。







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数多くある作品から「黄昏時に見る景色は何よりも美しい」をお読み頂きありがとうございます。


下へとスクロールすると『☆☆☆☆☆』が出て来ます。大変励みになりますので、評価お願いします。


Marty

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