表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
94/372

雪ん子

 「ゆぅきや吹雪♪

 アラレも吹雪♪

 降っては降っては埋め尽くすー♪」


 今日も今日とて元気いっぱいの三巳が、猛吹雪の雪山をスキップ踏んで駆け回っています。

 山も大きくなると雪が沢山降る側とあまり降らない側があります。村はあまり降らない側ですが、それでもしっかりと降り積もります。

 この日は稀に見る猛吹雪で、山の民達も自宅で家を守りつつ待機です。

 でも三巳はどんな大災害でもヘッチャラなので、こうして一人遊びを楽しんでいました。


 「にょほほー!

 踏んでも踏んでもあっという間に足跡消えるー!」


 あっちにズボリ。

 こっちにズボリ。

 足跡を付けては消えていく様を楽しんでいます。

 因みに本来積りたての雪でスキップなんて踏めません。埋まるし、場合によっては滑ります。でも三巳は物理現象を無視して駆け回っています。


 「とおー!」


 三巳は一番ふかふかそうな真っ白いなだらかな雪を見つけて勢いよくジャンプしました。そして大の字になるとそのまま腹からダイブしました。

 バフン!っと良い音立てて埋まると、雪の中でクプクプ笑い声を上げます。形を崩さない様に上半身を上手に上げて、三巳型を見たらニヤリと口角が上がって更に大笑いです。


 「にょほほーっ、銀世界の独り占めー」


 ジッとしてると直ぐに吹雪に埋まるので、満足したら駆け出します。

 今日は流石に人間も動物もモンスターでさえジッと吹雪が過ぎ去るのを待っています。動いているのは三巳だけです。ハイテンションで駆け回っても身咎める生き物はいません。

 三巳は飽きるまで雪山を転がって大笑いしていました。

 その時です。

 小さな振動と何かがズレる音がしました。

 けれど遊びに夢中の三巳はちっとも気付きません。

 楽しそうにピョンピョン跳ねている所に、ゴッという音と振動と共に雪崩が起きました。

 三巳はあっという間に雪に埋れて見えなくなってしまいました。

 普通なら命が無くなる大惨事です。

 でも三巳は無事でした。

 雪に押し潰されてギュウギュウです。けれど三巳はそれさえも然も可笑しそうに笑っていました。顔が塞がっているので忍び笑いになっていますが。


 「むーっ!むがーっ!むきょー!」


 くぐもった叫び声と共にジタバタ手足を動かせば、あっという間に空洞が出来ました。

 三巳は自由になった体で右拳を高く上げて大ジャンプをしました。

 するとバカーン!っと雪を上に押し上げて自力で雪崩から脱出したのです。


 「にゃはー。ちと暴れすぎたかな?」


 上空高く飛び上がった三巳は雪崩後を見て反省するのでした。

 雪崩に巻き込まれた子がいないかサーチで確認したら、この日は満足げに診療所に帰って行きましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ