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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
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観光プランB②

 妖精達に妖精の粉を掛けられた三巳達は、驚く間も無く妖精の世界をひとっ飛びしていました。ひとっ飛びとは言っても距離はそう遠く無く、着いた先は大きな大きなシャボン玉が地上にも空にも溢れている場所でした。


 「ここはシャボンポリンの公園だよ♪」


 言うが早いか、妖精達はロダとタウろんを突き落としてしまいました。

 いきなり突き落とされたロダとタウろんは堪ったものじゃありません。魔法を構築する余裕も無く、情け無い声を上げて落ちて行きます。


 「うわ―――!?」

 『モ―――!?』


 そしてそのまま地上のシャボン玉に激突します。

 そして跳ね上がります。


 「へあ――!?」

 『モモ――!?』


 そのまま違うシャボン玉に激突しては跳ね飛ばされ、シャボンポリンの公園を縦横無尽に行き交います。

 なんとシャボンポリンとは、シャボン玉で出来たトランポリンだったのです。


 「ふわー!私もやる!」

 「にゃはー!行っくぞー!」

 「ガオガオグオン!」


 涙目で騒ぐロダとタウろんでしたが、リリの目にはとっても楽しそうに見えました。勢い良くシャボン玉に向かって身を投げ出します。

 その後を追う様に三巳と熊五郎も落下します。

 ロダは現金なもので、リリが楽しそうにポヨンポヨンと跳ねながら近寄って来ると、途端に嬉しそうにポヨンポヨン跳ねて近寄ろうともがきました。けれどシャボンポリンは丸くてブヨンブヨンしているので、慣れない内は思う方向に跳べません。リリに向かいたいのに明後日の方向へポヨンポヨンと跳ねてしまいます。


 「うわっ、これっ、難しいっ、足場っ、不安定っ、でっ、あーっもう!」

 「あははははは!慣れると楽しいわよ!」

 「にゃはーっ、リリこういう遊びに慣れてるのか?」


 始終楽しそうに笑い転げながら、ポヨンポヨン跳ね続けるリリに、三巳は意外そうに尋ねます。


 「シャボンポリンは勿論初めてよっ。でも故郷じゃお転婆だったからっ」


 リリはテヘッと舌を出して、軽快に跳ねて行きます。あまりの楽しさに、今は全てを忘れて童心に返っているのです。まだ少女の身で童心も可笑しな話ですが。


 「うーぅ♪やったねやったね大成功♪」

 「みんなで楽しく跳ねようよ♪」

 「誰が一番上手に跳ねるかな?」

 「「「勿論自分に決まってる!」」」

 「何おーっ」

 「何さーっ」

 「「「こうなりゃみんなで勝負勝負♪」」」


 妖精達は、悪戯が成功した子供の様にはしゃぎます。

 そして楽しく跳ねる三巳達に、賑やかな妖精達も加わって、誰が一番跳ねるか勝負が始まるのでした。

 シャボンポリンで跳ねて、跳ねられて楽しく可笑しく遊ぶ声が辺りに響きます。

 普段は大人に混ざってお仕事しているリリ達も、今回ばかりは大人気なくも手なんか抜かずに勝負を楽しんでいます。


 「うむ。ビデオカメラが欲しい」


 運動会の様な盛り上がりに、三巳は保護者な気分で無い物ねだりをしています。機械製品は無いし、作り方どころか原理も知らないので再現が出来ないのが口惜しく思います。

 仕方が無いので三巳も一緒に勝負に参戦しました。けれど三巳には大きなモフモフ尻尾が邪魔をして、威力が軽減されてしまって勝負になりませんでした。上手く跳べても空中のシャボンポリンに尻尾が当たってしまうのです。

 熊五郎も全身がモフモフですが、毛は左程長くなく、自身の体重でそこそこ楽しく跳べています。


 「ううーっ、久し振りになんだか悔しい気分だっ」

 「ふふっ、モフモフしてて癒しだけどね。

 うーん。あ、そうだわ。尻尾を丸めたら少しはマシにならないかしら」


 熊五郎を羨ましそうに眺める三巳に、リリは可愛いと内心悶えながらも三巳の為に改善案を考えました。

 三巳はリリの提案に「おおっ」と感じ入ると、早速尻尾を丸めて股の間に挟んで前方で抱き抱えました。そして改めて跳び始めると、先程よりも高く跳ねれる様になりました。


 「リリー!ありがとなー!」


 感動した三巳は、上空のシャボンポリンで景気よく跳ねながら上機嫌でリリにお礼を言いました。

 リリはそんな三巳の姿に悶えが止まらなくて、心の中で「こちらこそ!」と良い笑顔が止まりません。モフ毛をギュッと掴むモフモフの破壊力は、凄まじいものだった様です。

 三巳が参戦して勝負が直ぐに付くかと思い気や、なかなか妖精達も熊五郎もやるもので、簡単には勝たせて貰えません。

 結局その後も勝負が中々付かず、リリが疲れてお開きになるまで続きました。


 シャボンポリンを後にした三巳達は、妖精達の案内で次の場所に飛んで向かいます。

 次なる目的地は疲れたリリの為に、運動はしない場所に連れて行ってくれる様です。


 「ふふふー♪これから行く場所は僕達のお気に入りの場所さ♪」

 「あ!三巳はわかっても言っちゃ駄目だからね!」


 黄色い妖精が特に嬉しそうにお腹を摩って言っています。

 そんな仲間の様子を見た三巳に気付いた他の妖精が、しっかり釘を刺していざ出発です。

 



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