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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
51/372

三巳もモテるんですよ?

 三巳は今日も立派な尻尾を揺らして山巡りをしています。

 最近はリリに丁寧にお手入れして貰っているお陰か、サラフワのモフモフにキラキラまで加わっています。

 今日も陽光に照らされてキラキラ、キラキラ。その様子を興味深そうに生き物達が覗いています。

 ふと、こちらにやってくるワーウルフがいました。


 「およん?ワーさんがこっち来るの珍しいなー」


 直ぐ様気付いた三巳も近寄ります。


 『獣神の娘からいい匂いがする』


 ワーウルフのワーさんは三巳の毛に鼻面を入れてフンスフンスと匂いを嗅ぎます。余程心地よい匂いなのか、尻尾もフサフサ揺れています。


 「はわ!?ワーさんそこは嗅ぐのなし!」


 ついついお尻まで嗅ぎ始めたので、三巳は慌ててお尻を隠して待ったをかけました。一応うら若き乙女として、また元人間として恥ずかしいのです。


 『む。信頼無いのか』

 「そーじゃなくて三巳にとってそこは恥ずかしいトコなんだよー」


 不機嫌に唸るワーさんに、眉をへの字に曲げて困ってしまいます。


 『ん。そうか。それはすまん』


 三巳が尻尾をクルンと丸めて完全防備で赤くなるので、ワーさんは憮然として謝りました。

 人間には驚異のワーウルフでも、三巳にとっては素直なワンコです。


 「わかってくれればいーさー」

 『すまん。いい匂いで子作りしたくなったのだ』


 ホッとしたのもつかの間、ワーさんの一言にピシリと固まってしまいました。

 如何に獣の性に慣れたとはいえ、流石に恋愛対象までは及んでいない様です。困った様に引きつった笑いが漏れ出ます。


 「あーはははー。そーかー。子作りかー。

 ごめんなー。三巳には発情期ないからワーさんとは番ないかなー?」

 『む。獣神の発情期はその気にならないと起きないのは知っている』


 え?あるの?と三巳は驚いて一瞬呼吸が止まりました。

 けれど考えてみれば母獣は三巳を産んだ母神です。産んだからにはそれは発情期が来たのでしょう。


 (あれ?今更だけど三巳の父ちゃんは何者なんだ?)


 母獣は父親の事は一切三巳に教えていません。聞かれていませんから。

 なので三巳は自分の父親が神か人かそれともモンスターや動物か全く知りません。寧ろ母体だけで産めるのではないかとすら思わなくも無いです。

 一度気にしたらどんどんとモヤモヤ、モヤモヤ父親が気になってが仕様がなくなりました。


 「今度母ちゃんに父ちゃんの事聞いてみるかなー」

 『ん。そうするといい。一度も里帰りしていないだろう』


 なかなか大人な対応のモンスターです。

 三巳はワーさんのセクハラ?を忘れてわしゃわしゃ撫でて和みました。


 好意を寄せている相手に撫でられているワーさんは発情したいのを我慢する紳士ですが、ワーさんみたいな父親だといーなーとか思いながら撫で続ける三巳は全くその様子に気付かないのでした。



 リリも鈍感ですが、三巳も割と鈍感な様です。


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