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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編

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三巳の鼻

 三巳のお鼻は人間の形をしています。

 それは人型に変身しているからです。本当の姿はフェンリルの様な格好いい姿なのです。本当はお鼻も少し濡れている獣のヒクヒクお鼻です。


 今日の三巳はとあるお宅へかじり付いています。

 そこは新しく出来た村初めてのパン屋さんでした。

 これまでは、パンは各家庭が仕込んでいました。しかし村一番のパン作りの名手が山の民の熱い熱意に答えて開業したのでした。

 開業とはいっても村の中のお話です。お金なんて存在しません。パンは物々交換されるのです。


 しかし三巳にとってパン屋は魅惑の響きでした。

 それはそうでしょう。前世の幕を閉じてから何十年。いえ、何百年ぶりの邂逅でしょう。

 鼻をヒクヒクさせて香ばしい香りを堪能します。

 けれど残念。三巳は物々交換出来るものを持っていません。どうしたらいいのでしょう。

 三巳は考えています。


 「そうだ。再現できそうな前世のパンの材料を集めて交換して貰おう。

 あわよくば、再現して貰おう」


 と強かに考え付いた三巳は、美味しそうな匂いを求めて山を駆けまわります。


 山では、たわわに実ったオレンジやイチゴを発見しました。

 キノコもそこかしこに生えています。

 牛や山羊を放牧しているので、ミルクもチーズもバターもあります。

 これはもう作って貰うしかないでしょう。フルーツサンドにピザ。

 想像しただけで涎が止まりません。


 三巳は他にないか真剣に鼻をヒクヒクさせています。

 すると微かに香るものがあります。匂いを頼りに近寄ると野生のアスパラが生えていました。


 「やったー!アスパラ乗せたピザ大好き!」


 物凄いはしゃぎ様です。もう作って貰う気まんまんです。

 思わぬ収穫に機嫌よく、たったか、たったか村まで駆けます。アスパラは鮮度が命です。

 

 村に付いた三巳は早速パンの名手に鼻息荒くお願いしました。

 特に断る理由のない名手です。苦笑はしますが、快く引き受けます。


 「三巳は神様だから、交換無くてもいつでも食べに来て良いのよ」

 「それはダメだ。不公平だろ」


 不真面目そうで割と生真面目な三巳なのでした。



 ちなみに、出来上がったサンドやピザは村で大流行し、暫くどこの家庭でもサンドやピザが続いたのだとか。

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