恋する少年・ロダの決意
悩める少年、ロダは落ち込んでいました。
「リリが恋愛恐怖症だなんて……」
「三巳、恐怖症とまでは言ってないぞー」
事の次第を掻い摘んで、且つ差し障りの無い範囲でロダに教えてあげた三巳です。
「だって!酷い事しないなんて、そんな当たり前の事……」
ロダの中では憶測が憶測を呼び、酷い目に遭うリリが助けを呼んでいます。
うるっと来たロダは、ぐしぐしと乱暴に目元を拭います。
そして両頬をパンパンと小気味良い音で叩くと気合を入れて立ち上がります。
いやもう立っていたのですが、雰囲気です。
「リリの笑顔は僕が守る!」
「おおー、なら手始めに普通に会話出来る様になろうなー」
三巳に至極真っ当な事を言われたロダは、耳まで真っ赤になって固まりました。
「かい、かいかいかかか!?」
(こりゃダメだ)
見事に挙動不審になるロダに、三巳は呆れて「こりゃダメだ」のポーズを取りました。
「そもそもリリ、ロダの事何処まで認識してるんだろうなー」
今更な事実確認に、ロダはピタリと動きを止めて青くなりました。
「え?え?名前位知ってるよね?」
「未だにその程度なのも如何なものかー」
縋る様に三巳を揺さぶるロダに、三巳は乾笑いで遠い目になりました。
「取り敢えず暇が合えばリリと遊んどけー」
「み、三巳も一緒だよね!?ね!?」
「ヘタレめー」
ガックンガックン揺らすロダに、三巳は揺られながら呆れた笑いが止まりません。
「そんなんだと横からトンビに奪われるぞー」
「な!?誰だ!?ロブか!?ロゼか!?ああ!まさか、ロッカじゃ無いだろぶげ!?」
あまりにも頓珍漢な誤解に、高速で三巳を揺するロダです。
堪らず三巳はその脳天にチョップをかましました。
「例え話だぞ。愚か者」
「ごめんなさいぃ……」
三巳はプシューと湯気が出ているチョップをそのままに、目を眇めて窘めます。
ロダはプシューと湯気が出ている脳天を両手で押さえて涙目です。
「そんなんじゃとてもじゃ無いが、リリを任せられないぞ。
もっと心身共に強くなれ。リリには心の広い奴が必要だ」
「!うん、そうだね。大事なのはリリの心だもんね。
よし決めた!僕はこれから沢山勉強と修行するよ!」
「うんうん。その調子。その調子」
気合い新たにガッツポーズで意思表明をするロダに、三巳はうんうん頷きます。
「手始めにリリと遊ぶ時混ぜてください」
「うん。ヘタレめー」
「だ、だって!リリだって男と二人きりより三巳いた方が安心だと思うと思うんだっ」
「全く。しょうがないなー。
リリの為にもそういう事にしといてやるかー」
あまりに必死なロダに、三巳は大人として折れてあげる事にしました。
ロダは嬉しそうに笑います。
「但し、混ざるなら自分で来るように」
ロダは衝撃に慄きました。
(ロダで大丈夫かな……)
今更不安になる三巳でした。




