空元気?
「おはよう三巳」
リリは和かに朝の挨拶をしました。
(元気そうに見えるけど。
やっぱりから元気だよなー)
三巳は探る様に耳と尻尾をソヨソヨ動かします。
「三巳?」
「ああ、ゴメンなー。ちっと考え事してたー。
おはようリリ」
怪訝そうな声に我に返って、三巳は慌てて朝の挨拶を返しました。
「考え事?」
「おー、今日は勉強の日か?」
首を捻って疑問に思うリリに、三巳は曖昧に返します。
「うん。今日は山の薬草を教えてもらえる日なの」
リリは嬉しそうに話します。
ロキ医師に教わる事がとても楽しいのだとわかります。
「そっかー、良かったなー」
「うん」
リリが嬉しそうだと三巳まで嬉しくなります。
尻尾が左右にサワサワ揺れています。
「おはようリリ。
準備は出来て居るかのぅ」
三巳とリリが揃ってヘニャリと笑んでいると、ロキ医師がやって来ました。
「おはようございますロキ医師。
準備は万端です!」
元気良く答えるリリに、ロキ医師は「そうか、そうか」とニコニコしました。
「おはよーロキ医師。
今日は山に行くんだって?三巳は着いてかなくて平気か?」
リリが心配な三巳は、耳と尻尾をソワソワさせて尋ねます。
そんな三巳の頭を、ロキ医師はホケホケと笑いながら優しく優しく撫でました。
「大丈夫じゃよ。ロイドとミレイとロダが一緒じゃからのう」
三巳はホッとした様な残念な様な複雑な顔で「そっかー」と静かに笑いました。
「それじゃあ行って来るね」
「うん。危なくなったら直ぐ帰ってくんだぞー」
リリは楽しそうに手を振って出て行きます。
三巳はそれを尻尾をショーンと項垂らせて見送ります。
(なんだか三巳の元気が無いわ。どうしたのかしら)
三巳の耳と尻尾の様子からそう察したリリは心配になりました。
(ロキ医師は普通にしてるし……。帰ったらお話ししよう)
三巳の事で頭がいっぱいになりましたが、山は危険です。ほっぺたをペチペチ叩いて気合を入れ直します。
「ほっほ。リリや、大丈夫じゃよ。
三巳のはただの心配性じゃからのう。
無事に帰れば安心するだろうて」
リリの様子に気付いたロキ医師は、優しく頭を撫でてあげます。
するとリリは安心した様に、「うん」と微笑みを返しました。
元気を取り戻したリリは、ロキ医師に従って山に入って行くのでした。




