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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
334/372

洞窟×三巳×神族達×精霊達=?

 洞窟を進む事数時間が経ちました。


 『?』


 三巳は今不思議そうな顔で洞窟を見回しています。

 レオはそんな後ろ姿に若干の不安が拭えません。


 『どうした』

 『にゅ?んー……にゅ?にゅぅーん……』


 前に進んではキョロキョロ景色を確認するを繰り返す三巳は、レオをチラリと見て冷や汗一つ掻きます。そして耳と尻尾をシューンと垂らすので、レオは確信を持ちました。


 『迷ったか』

 『にゅぐっ!』


 決定的な一言に三巳は息を詰めます。わかり易くギクリと体を強張らせるおまけ付きです。

 山は全てが三巳の領分です。今まで道に迷う経験がありません。なのに今は前に来たのと違う景色に戸惑っているのです。

 要は迷子です。


『ま、前来た時はこんなと違かったんだよ』


 最後に来てからまだ何年かしか経っていません。けれども明らかに雰囲気が違いました。

 

 (グッちんは何も言ってなかったんだけどなー)


 と思う三巳ですが、三巳は忘れています。

 グッちんは洞窟の奥深くへは行きません。灼熱に耐えれず、且つ温泉には入らないから用事も無いからです。

 三巳は地魔法の探査を通して調べてみる事にしました。

 するとどうした事でしょう。本当に洞窟の中が少し変容していたではありませんか。


 『成長してる!?』


 毛を逆立て飛び上がる位にビックリ仰天です。

 レオはそれに特に動じません。


 『へえ、ダンジョンなのか』

 『だ、ダンジョン??って何なんだ?』


 ゲームなんて殆どした事ない三巳にはダンジョンがわかりません。何かの病気か呪いかとアタフタしてしまいます。

 レオは


 (ホント知識が偏ってんのな)


 と思いましたが言わないでおきました。

 代わりに説明する為の魔力を練ります。ちゃっかり三巳のプロジェクターマッピング魔法を習得していたのです。


 『ダンジョンってのは変異や成長をする不思議な場所だ』


 言いながら現在知られているダンジョンの種類を魔法で形作ります。

 三巳は大人しくワンコ座りでそれを食い入る様に見ます。気分は生徒です。


 『森はたまに変異するんだよ?篩の森は木の位置変わる』


 ダンジョンの種類に森を見つけて三巳は首を傾げます。


 『まああれだけ樹木人がいりゃな』


 そしてレオの指摘にそう言えば彼等の寝ぐらだったと得心します。

 改めて良く見るとダンジョンは多種多様だとわかります。中でも多いのが洞窟だと聞いて、改めて今いる洞窟を見回しました。


 『でも変わったの初めてなんだよ』

 『ダンジョンの成り立ちってのは諸説ある。その中でも何かしらの力が濃く集まると起こる、ってのが主流らしいぜ』

 『つまり今までは力足んなくて成ってなくて、今は足りた?』

 『かもな、って話だ』


 三巳は改めて最近の山の出来事を思い出してみました。


 (サラちゃんが地獄谷に住んだ)


 地獄谷には洞窟の出口が有ります。


 (母ちゃん来た)


 山の獣神が2柱に増えました。


 (年神のひとが遊び来る様になった)


 つまりは山には精霊と妖精と神族が集まっているという事です。力の坩堝です。

 三巳は成る程と思うと同時にでもと思います。


 (ならチロチロの住む川の中もダンジョンとかいうの成ってたりして)


 チロチロとて亜種とはいえリヴァイアサンです。海で会ったら一般人は回れ右で逃げなさいな龍です。

 三巳は今度探検してみようとワクワクしてきました。

 とはいえ今はレオの案内中です。


 『うーにゅ。案内したかったけど、これじゃ三巳も殆ど初見と一緒なんだよ』


 地形が変わった事は地魔法の探査をした事で一応わかりました。けれどもドーナツ島で学び、今日まで母獣に鍛え上げられてきた“観光案内出来る程の空間魔法の探査”はまだ使っていません。それでは初めっから攻略本を読んでゲームをする様なものです。ゲーム性なんてわからない三巳ですが、探検をするからこその楽しさは前世の山で学んでいるのです。

 とは言えうーんと悩んでいても道が開ける訳でもありません。

 レオを見た三巳は、パーッと顔を輝かせました。そしてモフンとレオの鬣に顔を埋めて頭を擦ります。


 『ならレオと一緒にダンジョン洞窟探検するんだよ♪』


 何となくで口に出た言葉でしたが、それは絶対楽しいと三巳の尻尾もご機嫌です。


 『なら、ダンジョン攻略しますかね』


 レオもダンジョンが楽しみなのか、とっても良い顔で口端を上げて笑います。


 『レッツらゴー♪』


 こうして獣2匹のダンジョン攻略が始まったのでした。

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