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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
27/372

至福のブラッシング

 三巳の尻尾はふあふあもふもふ。

 温泉上がりのしっとり尻尾を魔法のドライヤーでふわりと乾かします。

 そこへリリがすかさずブラシをかけました。


 (ああ~。本当に三巳の毛皮最高に気持ち良い~)


 梳くたびにふわりとする綺麗な毛を愛おしそうに撫でながら、丁寧に丁寧にブラシをかけていきます。


 「はにゃーん」


 撫で撫で、サッサ。


 「きゅきゅーん」


 撫で撫で、サッサ。


 尻尾の先では三巳が恍惚と悶えています。

 あまりに気持ち良くて耐えられなくて、床をカリカリ掻いたり、丸めた手をあむあむ噛んだりしています。


 満足行くまで尻尾のブラッシングをしたリリは、ブラシを替えて耳を含めた頭をブラッシングします。


 「はううー」


 とうとう三巳はゴロンと転がってお腹を出しました。


 「ああ、仰向けじゃブラッシングしづらいわ。

 うつ伏せになってね」

 「はーい」


 三巳は耳をしゅーんと垂らしてうつ伏せになります。

 それだと耐えられないので尻尾をくるん。

 足で挟む様に丸めて両手でぎゅーっと抱きしめました。


 「!!!」


 余りの可愛さにリリは悶えます。


 (ああっ可愛い!モフモフがっモフモフが~!)


 心の中では悶え苦しんでいましたが、表面上は目尻が下がるだけにとどめて三巳の耳と髪の毛を梳いていきます。


 「わふぅぅ」


 三巳はあまりの気持ち良さに目をつむり、悩まし気な吐息を漏らしました。


 (!だめよリリ!今はブラッシングに集中よ!)


 構い倒したくなる両腕を心の中で叱責するリリでしたが、その手は欲望と我慢の鬩ぎ合いで若干プルプルしています。

 プルプルの手で、ピルピル震える三巳の耳を優しく優しく丁寧に梳いていきます。

 三巳は気持ち良すぎてリリの状況を把握する余裕はありません。ですのでリリの手がプルプルしているのも気付きませんでした。


 「うにぅぅー」


 リリはリリで、三巳があまりにも可愛く気持ちよがるので、ブラッシングにどんどんのめりこのめり込んでしまいました。

 おかげでこの日のブラッシングは過去最高の仕上がりになったそうです。


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