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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
251/372

教室で

 学校の教室で子供達が楽しそうに語らっています。


 「じゃあリファラは年齢毎に教室が違うんだな」


 ロハスが足をブラブラさせながら興味津々に聞いています。


 「それに専門分野を学ぶ学校もあるよ」


 それに応えるのは元リファラの民のディオです。

 男の子は男の子。女の子は女の子で集まって話す内容は「リファラってどんなとこ?」が大半を占めています。好奇心旺盛な子供達にとって外の世界は魅力的に映るのでしょう。


 「でもここの人達は学校に行っていないのに色んな知識があるし、強いから凄いわ」


 元リファラの女の子がほっぺを両手で挟んで「ほぅ」と憧れの溜め息を吐いています。

 ミオラとミオは顔を合わせて首を傾げます。


 「?そんなに凄いかな?」

 「ロダお兄ちゃんは別格だけど、他のお姉ちゃんやお兄ちゃんは普通よね」


 灯台下暗し。自分達の事は案外わからなかったりするものです。

 三巳に鍛えられた(つもりはないけど)山の民達のスペックは実は下手な騎士や冒険者より上だったりします。けれども外に出た事がない山の民達はそれがわからないのです。


 「ロイドさん……」

 「ロザイヤさん……」

 「ロウ村長……」


 元リファラの女の子達は、其々が思う格好良い男の人を夢見る乙女の顔で言っていきます。最後の名前は憧憬を示すには止めたい名前でしたが。


 「そんなもんかな」

 「ロウ村長って大きい子供って感じなのにね」

 「たまにあたしよりこどもっぽいわ」


 山の民の女の子達は不思議そうな顔です。小さな子にまでロウ村長は無いと言われています。


 「そんな事ないわよ。ここに来るまでずっと守ってくれていたの。凄く強くて頼りになったのよ。どれだけ安心して来れたか」


 ロウ村長が格好良いと言った女の子は大人しそうな生徒会長みたいな子です。真面目な顔で諭すように言われては頷くしかありません。


 「ま、確かに村で一番強いのは確かだものね」


 何となく納得した所で教室にハンナが入って来ました。


 「皆さん席について下さい。授業を始めます」


 ハンナの合図で子供達はサッと近くの席に着きます。そして当番の子の


 「起立」


 の合図で立ち、


 「気を付け」


 の合図で姿勢を正し、


 「礼」


 の合図で一斉に礼をし、


 「着席」


 の合図でまた座ります。

 これもまた三巳の知識から導入された動作です。他にも給食は絶対に欠かせないものとして導入されています。勿論熱弁した三巳の影響です。ご飯大事絶対な三巳なのです。


 「では今日は朗読をしましょう。黒板に物語を書くので当てられた人から読んでください。では先ずは……」


 言いながら書くのは子供向けのお話です。恐らくリファラではごく普通に読まれている内容なのはディオ達の反応を見ればわかります。

 山の民もずっとハンナと青空教室で学んできました。だからそれが勇気ある若者が困った人達を助ける冒険譚だと直ぐにわかりました。


 「これをミッシーさんお願いします」

 「はい!ハンナ先生!えーと、街に来た若者は……」


 当てられたミッシーは立ち上がり黒板に書かれた内容を読み上げます。それを他の生徒達も黒板の文字を目で追って読まれているのと同じ言葉を心の中で読んでいきます。

 こうしてこれから日常となるそんな景色が真新しい校舎の中で紡がれていくのでした。


 因みに教科書はありません。一人一人に用意するには一つのクラスで全学年が集まっていて、通常の授業は難しいからです。

 ここから先はハンナの腕の見せ所です。勿論出来る侍女頭のハンナには朝飯前なんですけどね。

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