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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
230/372

猫にマタタビ。三巳に……。

 広くて青い空に、綿菓子みたいな白くてモクモクの雲浮かんで夏らしさを伝えてくれている清々しい朝です。

 麦わら帽子を被った三巳は小玉のスイカを沢山貰って尻尾を元気良く振りつつスキップしています。

 今日は約束した川遊びの日です。現地待ち合わせなので三巳だけで貰ったスイカを両手で抱えています。


 「お待たせー♪」

 「わあっ!沢山貰ってきてくれたのね!ありがとう三巳!」


 川に着くともう既にフリルのついたワンピースタイプの水着に着替えていたリリが駆け寄ってくれます。そして両手いっぱいに積んで顔が隠れている三巳からスイカを2玉取って持ってくれました。


 「あははっ!流石三巳!大量だね!」


 それに続く様にスポーティなツーピースタイプの水着を着たミナミも2玉持ち、


 「まあ、こんなに沢山……スイカ割りと言うのは大量のスイカを使うのですか?」


 目を丸くしたハンナも3玉持ってくれました。

 すっかり顔を出した三巳は、ハンナの水着姿を見て耳と尻尾の毛をブワリと膨らませます。そしてほっぺを少し赤くしました。


 「にゃー……ハンナきれーなんだよー」


 ぽけ〜っと見つめて言われたハンナは恥ずかしそうにハニカミます。

 侍女一筋だったハンナはどうやら水着を着た事がないらしく、どうにも落ち着かない様子でフード付きのラッシュガードの裾に手を添えています。


 「リリとミナミに選んで頂いたのです」


 嬉しそうに言うのでとても気に入った事がとても良くわかり、三巳も嬉しそうに快活な笑みを見せるのでした。


 「それじゃあスイカは冷やしておいて先ずは泳ごー♪」


 水着に着替えたならば泳がな損です。

 スイカは川に大きな石を積み重ねて枠を作り、その中の川の水で冷やしておきます。

 三巳も早着替えで尻尾孔付きのワンピースの水着に着替えて海に飛び込もうとして、


 「柔軟してからね」


 ミナミに肩を掴まれ出来ませんでした。


 「うぬ」


 三巳は神妙に頷きました。準備大事です。

 ミナミの


 「いちにさんしっににさんしっ」


 という掛け声を聞きながら三巳も一緒に柔軟体操をしました。

 準備が終われば後はもう楽しむだけです。

 三巳達は「きゃー♪」と楽しげな声をあげながら川へと入って行きました。


 「三巳三巳」

 「んにゅ?どしたんミナミ」


 川の中ほどまで進んだ所でミナミが三巳に声を掛けます。

 三巳はそういえばと気付きました。


 (ミナミはさっきから手を後ろに隠してるんだよ)


 そしてミナミの顔がニヤリとしているので、それはとても楽しい事だと推測します。

 三巳はワクワクしてきて耳をピコピコ、尻尾をソワソワ振ってミナミの後ろをチラチラ見ました。


 「じゃーん♪橙からこんなの貰ったよ」


 ミナミは三巳が興味を持ってくれたので手を前に出して隠していた物を見せました。

 その手にはなんと。


 「水鉄砲!」


 そうです。水鉄砲があったのです。

 ポンプアクション型の水鉄砲です。しかも2つあります。


 「あら?三巳はこれ知ってるの?」


 山には無かったおもちゃです。ミナミは当然初めて見ました。三巳が知っていることに驚き目を瞬かせます。

 三巳はコクリと頷き水鉄砲を受け取ります。


 「うにゅ。こういうおっきいのは遊んだことないけど、小さいのなら子供の頃遊んだなー」


 ここで言う子供の頃とは勿論前世の話です。

 前世は昭和な生まれの三巳は子供の頃を懐かしみ思い出しました。


 (水鉄砲も年代とともに進化していったんだよなー。三巳の時は筒みたいなのだったっけ。その後ピストルみたいなのが出て憧れたものだなー)


 うんうんと頷きポンプに水を入れた三巳は、試しに打ってみました。

 すると水は勢いよく線を描いて飛び出します。その勢いは想像していたよりも強くて、三巳はビックリして毛を膨らませて飛び上がりました。


 「凄い!遠くまで飛んだんだよ!見て!虹出てる!」


 三巳が興奮してピューピュー水を出していると、リリの側から大きな毛の塊が飛び出してきました。


 『わおーん♪水!水!わふわふっはっはっ!』


 言わずと知れたネルビーです。ちゃっかりリリについて女子会に参加していたオス犬のネルビーです。

 水鉄砲の勢いに興奮して飛んで跳ねてバシャバシャと水を跳ねさせています。


 「わっぷ!ちょっネルビー落ち着いて!」


 近くにいたミナミはモロに水を被ってしまいました。

 勿論三巳も被っていますが同じく興奮しているのでそれどころではありません。ポンプに水が無くなるまで出し続け、そして水鉄砲の勢いが無くなって初めて我に返りました。


 「ぬ。にゅぬぬ。出なくなったんだよ」


 ショボンと尻尾を足らす三巳ですが、無くなったなら足せば良いのです。

 という訳でいそいそポンプを取り出した所でミナミの手が伸びました。


 「ワンコ属性に水鉄砲は猫にマタタビだったか……」

 「え?あれ?もっと遊びたいんだよ」


 水鉄砲に夢中になり過ぎる三巳から水鉄砲を回収したミナミは乾いた笑みを貼り付けて片付けてしまいました。


 「三巳、水鉄砲はまた今度にしようね。今日は私達と遊んで欲しいな」


 リリにまで頭を撫でられてしまいます。それ程我を忘れてはしゃいでいたのです。


 「うにゅ!遊ぼう!」


 三巳は本人無自覚なので然程気にせず誘いに乗りました。

 その後は泳いだり潜ったりと仲良く遊び、気付いたら太陽は真上に登っていたのでした。

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