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獣神娘と山の民  作者: 蒼穹月
本編
196/372

雪下ろし

 雪深く、白く埋もれる銀世界。

 冬も盛りになると山の中腹にある村は雪壁に囲まれて家が見えなくなってしまいます。だからこそ大雪が降った翌日は雪下ろしで朝から大忙しです。


 「また積もったな」

 「今冬一番じゃないか?」


 山の男衆が屋根に積もった雪の上で汗を拭っています。

 屋根に高く積もった雪は放っておくと重みで家を壊してしまいます。だから体力と力自慢の男衆が集まり、自宅は勿論の事、男手がいない家の屋根の雪下ろしをするのです。


 「あ゛。おい!そこ!壁が脆いから近寄るでねぇ!」


 雪下ろしはとっても危険なので子供達は離れた所の除雪を手伝っています。屋根の上にいると村の様子が良く見えるので、子供達に危険があると上から注意の声を飛ばしています。


 「「「はーい!」」」


 声が聞こえた子供達は良い返事を返してお母さんやお姉さんの元へと駆けて行きました。キャラキャラ笑って楽しそうです。


 「ああ!!コラッ!ロハス坊!雪下ろし中は危険だからツララ遊び禁止って言ったろうが!」

 「!ごめんなさーい!」


 大きいツララに惹かれた男の子達が屋根の下にフラフラと寄って来たのも直ぐに注意します。

 雪下ろしはその名の通り雪を下に落とす作業です。屋根の下になんか行ったら落ちてきた雪に押し潰されて命を落とす危険があるのです。雪下ろし中は屋根の下は絶対立ち入り禁止なのです。


 「にしてもこりゃ屋根の下の除雪足らんかったかな」

 「だなぁ。途中で除雪し直さんとならんか」

 「なら雪解けで自然落下する前にした方が良いだろ。まあ、除雪中は落ちない様に魔法で止めるが」

 「まあ、魔法に頼らないに越した事はないわな」


 雪下ろしは重労働です。真冬なのにタンクトップ姿で汗を拭う男衆は頷きあって途中で屋根を降りました。そして屋根の下の除雪を開始します。

 除雪用スコップを手にした男衆は上腕二頭筋を盛り上げました。そしてスコップを雪に突っ込むと、


 「うりゃぁぁぁー!」

 「とぅりゃぁぁぁ!」


 という掛け声を上げて次々と雪を堆雪場へと放り投げて行きました。見事な連携、見事なコントロールです。餅つきの合いの手が如く息の合った雪掻きで、あっという間に屋根の下はまた空間が空きました。


 「ところでよ」

 「なんだ?」

 「初めから屋根の雪を堆雪場に投げ捨てれば良かったんじゃないか?」

 「あ……」


 真冬にひゅるりと冷たい風が背後を駆け抜けました。

 しかも雪下ろしと違って上から減らしていけるので通常のやり方より安全です。

 男衆は温かいお茶で一息吐くと、何事も無かった顔で雪下ろしを雪投げ下ろしに変更して次々と屋根の除雪を完了させたのでした。


 ※注;尚、これは山の民だから出来る事なので一般の地球人は真似をしない様にして下さい。

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