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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

失恋したと思ってました

作者: バミダ

初のBLものなのでおかしなところが多いと思いますが、何卒よろしくお願いします。

 

「高橋ー!俺、彼女できた!可愛いだろ?」


 その言葉がやつから発せられた時、俺の心にズシンッと重くなった。






 俺、高橋晃大は谷山祐樹というやつと高校からの親友である。そいつはさっき俺に彼女ができたと報告してきた、写真を見せながら。


 まぁ、あいつは高校の時から顔良し運動神経よし性格良しの三拍子揃ったやつだったからか女子から異様にモテていた。そんなやつが親友だったため俺はよくあいつと女子の仲人役をさせられていた。

(それに俺よりも10センチ身長が高い、恨めしい)


 俺みたいな平々凡々を描いたような奴とどうして親友になったのかは知らない。学校の七不思議の一つとされていた。解せぬ。



 まぁ、そんな訳であいつは女を取っ替え引っ替えーーというより来るもの拒まず去る者追わずだったがーーをしていた。あいつは彼女ができても俺という()()を第一に考えてくれていた。だから、それでいいって思ってた。


 人間、いつどこで欲張りになるのかわからない。俺は、親友()を一番にしてくれるあいつの優しさに甘えてそれ以上にあいつを欲しいと思ってしまった。


 このままではダメだと思った。なにせ男が男を好きだなんて今の時代そういうことに寛容になってきたとはいえまだまだ受け入れられにくい。それに、あいつに想いを告げて仕舞えば今までの関係は崩れ去ってしまう。この想いは消さなければと思っていた。いや、思っている。


 でも、いざあいつを前にすると好きだという想いが溢れて結局は消せないままでいた。


 あいつに彼女ができたから俺も新しい恋をしないと、そして心から祝えれるようになろう。そう、何度目かの決意を胸にあいつのノロケ話を聞いていた。


「なぁ、高橋ぃ。本当に俺の彼女可愛いんだよ〜。ちっちゃくてさ、『谷山さん、好きです!』なんて言われたら断る理由ないよな?!」


「あー、うん。そうだね〜」


「おいおいおい、シラけんなよ。なんだよ、ウザいか?」


「うん、かなりウザい」


 そんな嬉しそうな顔で告白話なんて聞かせないでくれ、お願いだから。なんて願いは届かないのを俺は知っている。しょうがない、だって相手は俺が好意を持ってるなんて知らないんだからな。


「それよりさ、お前はどうなんだよ」


「何がだ」


「彼女とかまたつくんねーの?」


 でたよ。一応こいつに好意を寄せていると気付く前は俺も何人かの女の子とお付き合いをさせていただいた。けど、お付き合いと呼べるほどのものでもなく毎度振られたので今はもう誰とも付き合っていない。それに、俺の心はたった一人が占めてしまっているから。


「なんか俺そういうのに向いてねぇらしいからそのまま独身貴族かな?っては思ってる」


「えー、もったいねー。高橋お前結構モテるのに」


「イケメンに言われると癪に触るな」


 と笑い合うが本心は隠しきる。バレたらこの関係もなくなってしまう。それは嫌だ。たとえ笑顔の裏で泣いていようとも。

 少し谷山の顔が嬉々としていたが、きっと彼女ができて嬉しいのだろう。



 そのあとは谷山と別れた足でそのままゲイバーに向かう。あいつへの恋心を忘れるために。ゲイバーのママに言われた言葉が頭をかすめた。


『失恋は新しい恋で乗り越えるのよ』


 それもそうだと、行きつけのゲイバーに行く。



 ドアを開けるとカランカランカランッと少し軽快な音が鳴り響く。


「あら晃ちゃん、いらっしゃーい。今日はどうしたの?飲みたい気分?」


 と、このバーのママことミチヨさんに声をかけられた。


「うん、飲みたい気分かな?失恋しちゃったからね」


 できるだけ明るく言った言葉にママは眉を顰める。


「高校時代からずっと片想いしてた子?彼に恋人ができても動じてなかったじゃない。何かあったの?」


 心配してくれる人がいる、ただそれだけで嬉しいことはないなんて思えるくらいには復活してるみたいだ。不死身かよ、俺。


「いや、ただあいつにまた彼女ができたしこれを機にあいつへの恋を断ち切って新しい恋でもしてみようかなって。はら、ママが言ったじゃないか、『失恋は新しい恋で乗り越える』って」


「うーん、確かに言ったけれども……」


 とママは少し困った表情をするがそれもそうね、と笑って答えてくれた。


 この世界はカップルになれる確率が低い、だから切り替えが大事なのだ。まるで自分に言い聞かせるように酒を煽った。







「お兄さん、ちょっと飲みすぎじゃない?」


 そう声をかけてきたのは俺よりも少し若そうな男だった。


「あぁ?んなことオメーにはカンケーねーだろ」


「いやいや、飲みすぎだから。目の焦点合ってないよ、大丈夫?歩ける?」


「あ?んなのできるにきまってるだろ」


 しかし、思いに反して体は動かない。飲みすぎたなぁ、なんて考えてももう遅い。


「お兄さん、お家どこ?送ってってあげるからさ」


「んー?家ー?」


「そう、家。わかる?」


「今日は、帰り、たくない」


 帰ったらあいつのことを考えてしまう、きっと。だから今日は帰りたくない。


「じゃあお兄さん、俺ん家来る?ここの近くなんだけど」


「ん、それでいい」


 もう、なんでもいい。ヤケだ、それだけは確信できた。この名前も知らない男にお持ち帰りされめちゃくちゃにされてもいいって思えるくらいに忘れたいんだ。あいつのこと、それだけ本気(マジ)だったんだ。


 俺は今どこに行くんだろう。あいつを、谷山を忘れられるところに連れてってくれ。


「でも嬉しいなぁ、お兄さんみたいな人俺、超タイプなんだよね。それに、前から目つけてたし。何を忘れたいのか知らないけど、俺のテクで忘れさせてあげるからさ」


 ね、おにーさん!と言われる。忘れさせてくれるならどういう手段でも構わない。


 そう思ったその時ーーーー




「おい、そこの坊主。その男は俺のだ、どこに連れてくつもりだ?」


 谷山の声が聞こえた気がした。俺のことをあいつのだって言ってもらえるなんてこれは幻聴なんだろう、それにあいつはこんなところに来るような奴じゃない。そうだ、これは全て俺にとって都合のいい夢に違いない。言い合う声が聞こえる中俺は意識を手放した。











 目を覚ますとベッドの中にいた。そして隣には谷山がいた。というより谷山の腕の中に俺はいた。


 驚きすぎて固まってしまった俺は谷山の顔を見ることしかできなかった。


 固まってしまっている俺をよそにあいつは起きた。寝起きスマイルと掠れた声のおはようという特典をつけて。こんなエロい谷山は見たことがない。何度か泊まったりしていたがこんな経験は初めてだ。


 いや、もしかしたら神様が最後のお情けでくれた夢なのかもしれない。うん、きっとそうに違いn……


「夢じゃないよ?」


 と、声が上から降ってきてギュッと抱きしめられる。それどころかつむじにキスまでされた。俺はお前の彼女じゃないぞ。あ、なんかそんなこと考えたら悲しくなってきた。


「高橋、俺が本当に想ってるのはな……その、」


 珍しく歯切れの悪い谷山を見ようと思ったがさらに抱きしめられて今は顔を見ないでくれとお願いされれば素直に聞くしかない。


 黙ってされるがままになっていたら、何やら覚悟を決めたらしい谷山。


「あのな、高橋。俺は高校の時からその、お前が好きなんだよ。昨日のはドッキリでそのあと告白しようと思ってたんだ。でも言えなくて、言い出せなくて。解散した後、やっぱり言わなきゃって思ってお前の後を追ったらバーに入っていくのが見えて。でもそこはゲイバーで、高橋も俺と一緒なのかって嬉しくなって。でも入ったら恋を忘れるとか言ってるの聞いちゃってさ」


 嘘だろ、こいつが俺のこと好き?何かの冗談だろ。それに俺を追ってバーまで来たって?てことは昨日の声は幻聴じゃない?あ、でもそうでないと俺が今ここにいる意味がわからねぇな。


「俺、お前のこと好きってこと認めたくなくって。ほら、男同士の恋愛って前途多難じゃん?それにそんな趣味ない!って思って女の子取っ替え引っ替えしてたけどさ、デートした時とかお前だったらこういう反応するんだろうな、とかエッチの時もお前だったらどういう表情で啼いてくれるのかな?って思ったらやっぱりお前のこと好きなんだって気づいて。俺と同じ境遇の人にも相談に乗ってもらったりしてさ。10年もお前に片想いしてた」


 谷山も、俺と同じ想いだった?俺、まだ好きでいていいの?本当に?でもこいつは彼女がいて、あれ?いないんだっけ?


「ま、まて谷山。お前彼女がいるんだろ?昨日あんなにデレデレして報告してたじゃねーか」


「あー、あれ?あれはお前の写真を女に加工したんだよ、だからあれは俺の願望。お前が俺のものになればいいのにって、あれだったら他のやつらとかも勘違いするだろ?それに、昨日俺が言った告白の仕方は俺が夜な夜な妄想したお前からの告白だよ」



だから、彼女はいない。好きな()ならいるけどな。



 谷山に彼女はいないってこと?それに、俺のこと好きって、信じてもいいのか?



「本当に?お前が俺のこと好きって信じてもいいの?好きのベクトルが違うとかいうなよ?」


「言わねぇよ、俺がお前に思ってる好きはラブの方だからな」


 谷山が俺のこと好き。信じられない、けどこいつの鼓動を聞けば嘘じゃないってことはわかる。



 谷山、と呼べば俺の好きな顔が俺の好きな表情でこちらを見る。うん、やっぱり好きだ。何度も殺そうと思ったこの想いは殺さなくてよかったのかもしれない。


 もう一度名前を呼べばなんだよって少し笑いながら目を合わせてくれる。


「谷山、俺お前のこと好きだよ…んっ…んっ?!」


 想いを告げると口を塞がれた。もちろん谷山によって。






 その後俺は立てなくなると思う程貪られた。谷山曰く、『煽ったお前が悪い』

 そんなの知ったこっちゃねーよ!



 でも、想い人と一つになれるなはいいもんだなってあいつの寝顔を見ながら思った。


 俺は今、きっと世界で一番の幸せ者なのかも知れない。



失恋したと思ってましたが、恋が実ったようです。




最後までお読みいただきありがとうございます。


実はミチヨママは高橋と谷山、2人の恋愛相談を受けていたという裏設定があります。なので高橋が失恋したと言った時に(そんなことはないって言いたいけどここは本人たちが乗り越えていくものよね)と傍観を選びました。そして名前も出なかったバーの当て馬君ですが、実は前々から高橋を狙っていました。なので、酔いつぶれたことをいいことにお持ち帰りしようとするものの谷山によって阻止されます。哀れ、当て馬君。きっと慰めてくれた人と恋に落ちるんだと思います。(テキトー)

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